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『清少納言に恋した男』拓麻呂でございます。
今からおよそ千年前に書かれた枕草子。
この作品の中に『えせものの所得るをり』という章段があります。
作者の清少納言は、この章段で不思議な事を言っています。
『ふん!大根のくせに・・』
これは一体どういうことなのか?
今回は、枕草子一五六段『えせものの所得るをり』に記された生意気な大根に迫ってみたいと思います。
生意気な大根
原文
まずは、清少納言が『えせものの所得るをり』の中で、どのように言っているのか原文を確認してみましょう。
枕草子一五六段『えせものの所得るをり』
正月の大根。行幸のをりの、姫大夫。御即位の御門司。・・・・・・
『えせものの所得るをり』は、このように始まります。
つまり清少納言は、この章段の最初で大根について触れています。
そして、『正月』の大根と言っています。
ひとまずここでは、『正月』の大根であることを覚えておいてください。
『えせものの所得るをり』とは?
では、この章段のタイトル『えせものの所得るをり』とは、現代語に訳すとそのような意味になるのでしょうか?
簡単に言うと
大した物でもないくせに幅を利かせるもの
というような意味になります。
つまり清少納言は、大根に対してこのように感じていたことになります。
大根は大した物でもないのに幅を利かせている・・
清少納言に言わせると、大根は生意気なのです・・。
何故『正月』の大根が生意気なのか?
それでは、清少納言が大根を生意気だと思っていた理由をお伝えします。
なお、かなり彼女独特の感性なので、理解に苦しむかもしれません。
ここでポイントとなるのが『正月の大根』であることです。
まず前提として、清少納言は『大根』そのものを、大したことのない物と感じていたようです。
そんな大したことのない大根が幅を利かせる時・・・清少納言に言わせると、それが正月なのです。
ちょっと分かりづらいですが、彼女は要するに正月に食べる大根料理の事を言っています。
つまり『おせち料理』です。
重箱の中で、様々な彩りを放つ食材たち・・。
その中で大したことのない大根が偉そうに自己主張をしている・・。
これが、清少納言が感じた『生意気な大根』なのです。
どのような大根料理の事を言っているのかはよく分かりませんが、おそらく漬物の類か何かだったんじゃないでしょうか。
清少納言の面白い感性
解釈の仕方はいろいろあるかと思うのですが、『えせものの所得るをり』に書かれている『正月の大根』はおおむね以上のような意味になります。
実際に清少納言が見たおせち料理で、大根がどれほど目立っていたのかは不明です。
しかし、現代人でも『おせち料理で自己主張している・・生意気!!』なんて感性を持っている人がいるでしょうか?
よく意味の分からない感性ではありますが、これこそが清少納言の面白さなのです。
そんな清少納言の、ちょっとぶっ飛んだ感性が随所に散りばめられた枕草子。
日本史を代表する才女の目の付け所を、あなたも楽しんでみませんか?
では、今回はこの辺で!ありがとうございました。