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拓麻呂です。
古事記に記された日本神話の中でも、比較的有名な天の岩戸神話。
天照大御神(以下アマテラス)が、弟の須佐之男命(以下スサノオ)の暴れっぷりに嫌気が差し、天の岩屋戸という洞窟に身を隠してしまうエピソードです。
太陽の女神であるアマテラスが隠れてしまったことで、世界は暗闇に閉ざされ、困った神々はアマテラスに出てきてもらう為、一計を案じます。
この逸話の中には、世界最古のいろいろなものが登場するのです。
初物尽くしの天の岩戸神話
世界最古の引きこもり
まず、天の岩戸神話は『世界で最古の引きこもり』のお話です。
スサノオという弟との人間関係(正確には神様関係)に悩み、天の岩戸に隠れてしまったアマテラス。
古事記では『お引きこもりになった』という丁寧な言い方をしていますが、これは現代で言う引きこもりそのものです。
天の岩戸神話とは、言ってしまえばアマテラスがヘソを曲げて引きこもってしまい、なんとか戻ってきてもらおうと神々が奮闘するお話です。
このように天の岩戸神話は、世界最古の引きこもりのエピソードが隠されているのです。
世界最古のストリップダンス
そんな感じで、世界最古の引きこもりをしてしまったアマテラスに戻ってきてもらおうと、神々は一計を案じます。
そこで神々は、宴を催してアマテラスの気を惹く作戦を決行します。
岩戸の中にまで聞こえるほどのドンちゃん騒ぎを始めた神々。
その最中、アメノウズメという女神が躍り始めます。
アメノウズメの上半身は露わになり、半裸の状態でセクシーダンスを披露、宴の盛り上がりは最高潮に達しました。
このアメノウズメのセクシーダンスこそ『世界最古のストリップダンス』です。
ちなみに、ちょっと真面目な話をすると、これが神楽(かぐら)の起源です。
神社に行くと神前で舞う巫女さんの姿を見ることもありますが、それが神楽です。
神様を楽しませるという意味で『神楽(かぐら)』なので、アマテラスに楽しそうな宴を見せつけようとした計画は、まさしく『神楽』なのです。
世界最古のドッキリ
アメノウズメの踊りが功を奏し、アマテラスは外の状況に興味を持ち始めます。
そしてついに我慢できなくなり、岩戸の入り口を塞いでいた岩をちょこっとだけ開けて、外の様子を覗き見しました。
すると、自身と同じ光り輝く太陽の女神の姿がありました。
アマテラスは、そこにいる光り輝く神は何者かと、宴に興じる神々に問いかけます。
すると神々は、こう答えました。
『アマテラス様と同じ太陽の女神様です。あなたより尊い神です。だから嬉しくて我々は宴を開いているのです!』
これを聞いたアマテラスは、太陽神と言う自分のポジションが無くなると焦り、入り口を塞いでいた岩をさらに開け、身を乗り出そうとしました。
その瞬間、岩影に隠れていた力自慢の神様が、アマテラスの腕を掴み、岩戸から引きずりだしました。
そして、別の神様が岩戸の入り口に注連縄(しめなわ)を張り、中に戻れないようにしました。
こうして、アマテラスが戻ってきたことで世界に光が戻ったのです。
という形で、天の岩戸神話は終わります。
ところで、アマテラスが見た光り輝く女神は、一体何者だったのでしょうか?
実はコレ、鏡に映ったアマテラス本人の姿だったんです。
日本神話の世界って、弥生時代くらいの出来事を抽象的に語っているイメージですが、この当時、鏡はそこまで普及していなかったと思われます。
なので、鏡に映った光り輝く神様が、自分の姿だと気づかなかったんですね。
つまり、アマテラスは騙されて外に引っ張り出されたということです。
これが『世界最古のドッキリ大作戦』です。
そして『大成功!』です。
そして、ここでも真面目な話ですが、アマテラスが騙された鏡こそが、現在三種の神器の一つとして伊勢の神宮の御神体となっている『八咫鏡(やたのかがみ)』です。
また、天の岩戸神話には、これも三種の神器のひとつである『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』も登場します。
(もうひとつの三種の神器である『天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)』は、この後のヤマタノオロチ神話で出てくる)
加えて、現在も神社で見かける注連縄も、天の岩戸神話が初出です。
他にも、太陽が昇らず真っ暗な状態だったので、ニワトリを鳴かせてみたりする逸話も描かれています。
この当時から、ニワトリのコケコッコーは、朝(日の出)を告げる鳴き声だったという事が分かりますね。
初出だらけの天の岩戸神話
以上、天の岩戸神話は世界最古の初物だらけだった、でした。
古事記は、現存している日本で一番古い歴史書です。
なので、古事記に描かれているものは、基本的に全て日本における初出、場合によっては世界最古になるわけです。
日本で一番古い和歌も古事記に登場しますし、いろいろなことの起源が垣間見えるのが古事記であり、日本の神話です。
日本神話は、物語としてもとても面白いものです。
ぜひ、一人でも多くの日本人が、日本の神話に触れて頂きたいなと思います。
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。