紫式部日記に登場する紫式部のお友達『大納言の君』の実像とは?

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平安時代の女性たち

紫式部の友人として言われている『大納言の君(だいなごんのきみ)』という女性。

同じく紫式部の親友として知られる小少将の君と並び、紫式部日記にたびたび登場する女性です。

 

かなりマニアックで、ネット上にも情報がほとんどない大納言の君の人物像に関して、お伝えしていきます。

 

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大納言の君のプロフィール

大納言の君は、紫式部と同じく藤原彰子の女房として活躍しました。

本名は『源廉子(みなもとのれんし)』。

紫式部の親友小少将の君の姉にあたります。

 

大納言の君と小少将の君の父親は、源時通という人物(所説あり)。

この源時通は、藤原道長の正妻『源倫子』の兄弟。

つまり大納言の君は、道長夫妻から見れば姪に当たります。

 

さらに、大納言の君が仕えていた『彰子』は藤原道長、源倫子夫妻の娘です。

つまり、彰子と大納言の君は主従関係でありながら、血縁では従妹(いとこ)になります。

 

女房には階級があり、大きく分けて三段階『上臈(じょうろう)』、『中臈(ちゅうろう)』、『下臈(げろう)』に分けられます。

大納言の君、小少将の君の姉妹は、血縁関係がかなり高貴なので上臈女房に位置していました。

ちなみに、紫式部や清少納言、和泉式部といった有名人たちは、その知名度とは裏腹に中臈女房だったと見られています。

 

大納言の君の見た目と雰囲気

大納言の君の容姿や雰囲気は、紫式部が日記に書き残しています。

まずは、その内容を確認してみましょう。

 

【原文】

大納言の君は、いとささやかに、小さしといふべきかたなる人の、白ううつくしげに、つぶつぶとこえたるが、うはべはいとそびやかに、髪、たけに三寸ばかりあまりたる裾つき、髪ざしなどぞ、すべて似るものなくこまかにうつくしき。顔もいとらうらうしく、もてなしなど、らうたげになよびかなり。

 

現代風に言い換えてみます。

大納言の君は小ぢんまりとした方で、どちらかと言うと小さい感じの方で、色白で可愛らしいく、丸っこくて背が高い、髪が身長より三寸くらい長いけど、毛先の感じ、生え際の感じなど、すべて可愛らしい。

顔だちもとても上品で、物腰にも可愛げがあって、おしとやかです。

 

おおよそ上記のような意味になるのですが、『小ぢんまりとした方』『小さい感じ』としながらも、『丸っこくて背が高い』と言っているので、結局身長が高いのか低いのかが良くわかりません。

おそらく、ちょっと太っていて寸詰まりのように見えるけど、実際は高めの身長だったということなのかもしれません。

 

また髪の毛が三寸(約10センチ弱)ほど身長より長かったようで、かなりのロングヘアーだったことが分かります。

とは言え、この時代の宮廷女性の髪は、身長より長いのは珍しくありませんでした。

 

多少のふくよかさや、長い髪の毛は、この時代の美しさの象徴ですから、大納言の君は上品で美人な女性だったのかもしれません。

紫式部も上品な顔立ちだと言っていますが、あながち間違っていないのではないでしょうか。

 

紫式部日記で大納言の君が登場するシーン

大納言の君は、紫式部の日記、いわゆる『紫式部日記』にたびたび登場します。

 

最後に、紫式部日記で大納言の君は登場する箇所を纏めておきます。なお、紫式部日記は、大きく分けで69の段落で構成されていますので、その段落番号も付記します。

 

7 九月九日【兆し】
9 九月十一日 未明【大事を見守る人々】
12 九月十一日 酉の刻【御湯殿の儀】
30 十一月一日 五十日の祝い【若宮の御前】
32 五十日の祝い【酔い乱れる公卿たち】
37 物思い【変わってしまった私】
49 寛弘六年正月【女房たちの正月装束】
69 敦良親王五十日【盛大な宴】

 

なお、大納言の君の容姿に言及しているのは、49の寛弘六年正月【女房たちの正月装束】です。

 

大納言の君まとめ

以上、紫式部の友人『大納言の君』についてでした。

 

紫式部にしてみれば、大納言の君と小少将の君の姉妹は、心を許せる数少ない友人でした。紫式部日記では、大納言の君や小少将の君以外の女房たちにも触れています。

 

とても面白い人間模様が描かれているので、この時代をより深く知りたい方にはお勧めですよ。

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