日本人にはお馴染みの昔話桃から生まれた桃太郎!

桃太郎とお供の犬・猿・雉
ご存じの通り、お婆さんが川で拾ってきた桃から生まれた男の子が、猿、雉、犬を連れて悪い鬼を退治する物語ですね。
ところで、この桃太郎に関して以下のような疑問を感じたことがありませんか?
- なんで桃から生まれたんだろう?
- なんで鬼は角があって虎柄のパンツを履いているのだろう?
- なんで猿、雉、犬を連れて、鬼退治に行く必要があったんだろう?
実は、これらにはちゃんとした理由があるのです。
今回は、知っていると思わず誰かに話したくなる『桃太郎』の裏に隠された真実をご紹介します。
※今回ご紹介する内容はひとつの説であることをご了承ください。
桃太郎はなぜ桃から生まれたのか?
むかしむかし、ある所にお爺さんとお婆さんが暮らしていました。お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川で洗濯をしていました。すると川の上流から大きな桃が流れてきました。
お婆さんは、その桃を持ち帰って割ってみると、中から元気な男の子が生まれたのです。
お馴染みの桃太郎の冒頭部分ですね。
このように、でっかい桃から生まれた男の子が桃太郎なわけですが、桃から生まれてきたのには明確な理由があります。蜜柑から生まれた蜜柑太郎、柿から生まれた柿太郎でも良かったのでは?と思ってしまうのですが、それではダメなんですね。
結論から言いますと、桃というフルーツは古代中国で神聖な果実として扱われていました。
これは古代中国の神仙思想という考えが元になっています。神仙思想とか言うと難しく感じるのでざっくり言いますと、『桃は不老長寿をもたらす聖なるフルーツ』として扱われていました。
この考えが、昔の日本にも伝わっていたようで、その証拠に奈良県の纏向遺跡(まきむくいせき)では、数千個に及ぶ桃の種が出土しました。これにより、3世紀頃の日本でも桃が聖なるフルーツとして、祭祀などに使われていたこと判明しています。
また日本神話でも、桃を投げつけて悪霊を退治する場面がでてきます。
つまり、桃太郎は神聖な桃から生まれることで、悪い鬼を退治する正当性が担保されているのです。逆に言うと、柿太郎では鬼退治をする正当性が担保されないのです。
なぜ鬼は角が生えていて、虎柄のパンツなのか?
『鬼』と言えば、角が生えていて虎柄のパンツを履いている姿を想像する方も多いのではないでしょうか?
↑こんな感じですね。鬼のイメージは、恐らくこんな感じではないかと思います。では、誰もがイメージする鬼の風貌には、どんな理由があるのでしょうか?
まずは、こちらをご覧ください。
これは、十二支(じゅうにし)を円にしたものです。
子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、未(ひつじ)、申(さる)、酉(とり)、戌(いぬ)、亥(い)
昔は十二支を十二等分にわけて、方角や時間を表すのに使われていました。この図はそれを表したものです。
ここで注目してほしいのが、丑と寅の方角です。
この丑と寅の方角は、東西南北だと『北東』にあたります。
この北東という方角は『陰陽五行思想』では『鬼門』と呼ばれています。陰陽五行思想の詳細は難しくなるので避けますが、要するに北東は災いをもたらす良くない方角ということです。
現代でも家の玄関は北東にしない、といった考えがありますが、これは鬼門を嫌う考えの名残です。また、平安京(京都)の北東には比叡山延暦寺がありますが、これは平安京を鬼門から守る為だったという話もあります。
この『鬼門』はその名が示す通り、鬼が住む災いをもたらす方角なのです。そしてこの鬼門を『丑虎(うしとら)の方角』と言いいます。
『牛』と『虎』です。
つまり、鬼(鬼門)は丑虎の方角にいるから、牛のような角が生えていて、虎柄のパンツを履いているのです。
なぜ家来は猿、雉、犬なのか?
では、最後に桃太郎の家来について解説します。
桃太郎からキビ団子をもらって家来になったのが猿と雉と犬です。仮に、ウサギと馬と羊ではダメだったのか??というと、もちろんダメです。
この家来たちも、猿、雉、犬である理由が存在するのです。
再び、この図をご覧ください。
前述の通り、丑虎の方角、つまり赤字の東北の方角が鬼門です。
では、この鬼門の逆方向には、どんな動物がいるでしょうか?
猿(申)です。そして、この猿に続くのが『鳥(雉)』と『犬』です。
この鬼門と真逆の方角を『裏鬼門』と言います。
災いをもたらす鬼門の真逆にいる猿、そしてそれに続く鳥(雉)と犬。これが猿、雉、犬が桃太郎の家来である理由なのです。
まとめ ~桃太郎とキビ団子~
以上が、桃太郎の裏話です。
昔話というと荒唐無稽なおとぎ話と思われるかもしれませんが、桃太郎のように起源となるエピソードが裏に潜んでいるケースがほとんどです。
『鬼は何も悪いことしてないんだから、勝手に退治した桃太郎の方が悪者だ!!』という考えを時々聞きますが、桃太郎には鬼を退治する正当性があったんですね。
最後に少し余談です。桃太郎が持っていた『キビ団子』。これにも面白い偶然があるので紹介しておきます。
桃太郎は、岡山県発祥の物語です。岡山県の昔の名称は『吉備国(きびのくに)』。 桃太郎が持っていたのは『黍団子(きびだんご)』。
これにちなんでキビ団子を『吉備団子』と書いたりもしますね。
なお、冒頭でもお伝えした通り、今回の内容はひとつの説であることをご了承ください。
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