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拓麻呂です。
戦国一の美女と言われる『お市』。
お市は信長の妹とされ、北近江(現在の滋賀県の北側)の『浅井長政(あざい ながまさ)』に嫁ぎました。
お市と長政の夫婦はオシドリ夫婦とされ、たいへん仲睦まじい関係だったと言われています。
しかしながら、僕は後世に言われているような、特筆するような仲の良い夫婦ではなかったような気がしています。
だからと言って仲が悪かったわけでもなく、『戦国武将によくある至って普通の夫婦』だったと思っています。
この記事では、お市と長政夫妻は本当に仲が良かったのかを、個人的な妄想も含めながら考察してみたいと思います。
浅井長政とお市の方
戦国時代の結婚観
まず、この時代の武家同士の結婚は、政略結婚が普通です。
戦国時代ですから、基本的には四方八方が敵だらけなので、同盟を結んで良好な関係を築くために政略結婚は用いられます。
もちろん浅井長政とお市も政略結婚です。
そして、政略結婚には、他にも重要な意味があります。
一つはスパイとしての意味。
お市の場合ですと、信長の妹なので元は織田家の人間です。
なので、お市が長政に嫁ぐことで、織田家にとっては、浅井家の内部事情を知ることが出来るようになります。
もう一つは人質としての意味です。
もし、織田家が同盟を破棄するようなことがあれば、浅井家にいるお市の身が危なくなります。
いわば、お市は浅井家に身柄を拘束されているような状態で、同盟の一方的な破棄を抑制できることになります。
両家にとっては、同盟締結により武力衝突を回避できる。
織田家にしてみれば、お市が人質になる代わりに、浅井家の内部事情を知ることができる。
浅井家にしてみれば、内部事情が漏れる代わりに、お市が居ることで同盟破棄を抑制できる。
こんな感じで、政略結婚には、両家にとって一長一短な側面があるのです。
これらが、戦国時代の政略結婚が持つ意味です。
小豆袋の逸話
真偽のほどは定かではありませんが、お市の立ち位置を示す面白い逸話が残っています。
織田信長が朝倉義景を攻めた時、信長の元にお市から小豆の入った袋が届きました。
その小豆袋は、両端が紐で結ばれていました。
これにはお市からのメッセージが込められていました。
そのメッセージとは『浅井長政の裏切り』です。
つまり、『浅井長政が裏切ったことにより、このままだと信長は、浅井、朝倉両軍に挟撃され、逃げ道が無くなり袋のねずみになる』
まさに、両端を結ばれ、袋から出られなくなった小豆のように・・。
このメッセージを理解した信長は、さっそく退却を始め、なんとか挟み撃ちになることを免れたのでした。
どうでしょうか。
まさしく、浅井家の内部事情を知っていたお市だからこそのメッセージです。
どこまでが史実かは難しいところですが、当時の政略結婚が持つ意味を物語っているのではないかと思います。
人質のお市
上記のように、浅井長政の裏切りによって同盟は破綻しました。
浅井家が朝倉家と旧知の間柄であったという理由もありますが、この裏切りによって織田家と浅井家は険悪になりました。
こうなってくると、お市の身が危なくなります。
普通に考えれば、敵対した織田の人間であるお市は処刑されたりというケースも考えられます。
しかし、お市は浅井家滅亡まで生かされており、最終的には小谷城(浅井家の居城)から脱出しています。
これにも人質としての意味合いが含まれています。
お市を処刑してしまったら、抑止力が無くなり、織田家が浅井攻めを躊躇する理由が無くなってしまいます。
なので、お市を人質として最大限利用する為には、あえて生かしておくと言う選択肢も十分にあり得るわけです。
なので、お市が生かされていること自体が、人質であることを証明しているとも言えます。
その一方で、同盟が破綻すれば離縁させることもあり得ます。
ですが離縁していない事実からは、長政を愛していたからこそお市は残り、長政がお市を愛していたからこそ生かしておいたと考えることも出来ます。
この辺は完全に想像ですが・・。
小谷城落城時の美談
最終的に、小谷城は落城し、浅井長政は信長に敗れます。
そして、お市と三人の娘が城から脱出しているのですが、この時にある美談が残っています。
お市は覚悟を決め、長政と共に自害しようと思っていました。
しかし、お市を想う長政の計らいにより、生きて城から逃げ出すように言われます。
結果、お市と娘たちは燃え盛る小谷城から脱出し、織田家に戻ったのでした。
長政とお市がオシドリ夫婦だったという説の根本は、このエピソードに起因しているように感じます。
この逸話が事実であるかは確かめようがないのですが、まぁ夫婦仲が悪かった訳ではないと思います。
ただ、一つだけ思うことがあります。
織田信長って戦国時代の主役のような立ち位置で、これまで多くの創作物語で取り上げられてきました。
そして、信長の生涯を描く上で、お市と浅井長政を避けて通ることは出来ません。
お市って、戦国No.1美女でありながら、幸の薄い女性っていうイメージが強いです。
このキャラクターって、物語の登場人物としては、とても映えるんです。
言い換えるなら、悲劇のヒロインという感じでしょうか。
特に日本人の場合、薄幸の美男美女、あるいは志半ばで倒れた人物、こういったタイプのキャラクターを好む傾向があり、美談として持ち上げるケースが結構あります。
平敦盛、源義経、静御前、織田信長、森蘭丸、天草四郎、坂本龍馬、西郷隆盛。
彼らは皆、志半ばで倒れた英雄、もしくは美男美女として伝わる人物たちです。
そして、お市の場合、戦国一の美女と言われていますし、最後は秀吉に攻められ自害しているので日本人が特に好みやすい運命を辿っています。
そうなってくると、長政と不仲だったよりも、お互い愛し合っていたのに離れ離れになってしまう方が、よりドラマチックになります。
おそらく、こういった日本人好みに割り当てやすいキャラクターだったので、多くの創作物語の中で、徐々に定着していったイメージ。
それが、浅井長政とお市の夫婦仲なのかなと、個人的には思っています。
まとめ
以上、お市と浅井長政の夫婦仲でした。
想像もおおいにに入っていますが、特筆するほど仲が良かった訳でも、悪かった訳でもなく、戦国時代によくある政略結婚で生まれた夫婦。
それが、浅井長政とお市の夫婦仲なのかなと思います。
とは言え、長政とお市の夫婦仲は良くあってほしいのが本音だったりします。
この辺の結論は、それぞれの理想でいいとかなとも思います。
あなたは、浅井長政とお市の夫婦仲をとのように思いますか?
お市は本当に戦国一の美女だったのかを考察、復元した記事はコチラです。
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。