2002年のある日。
僕は中学から馴染のある友人の家で暇を持て余していました・・・。
季節は確か・・まだ夏の日差しが残る秋の始めの頃だったと記憶しています。
今から思えば何で家に帰らなかったのか・・・??
理由は覚えていません。
六畳くらいの友人の部屋。
僕は適度に散らかった少し蒸し暑いその部屋で、肘枕を付き寝っ転がっていました。
少し日が傾きかけており、窓の外に目をやると、オレンジがかった空が鮮やかに広がっています。
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・・・・・・
・・・・・・・『暇だ・・・』
歴史との出会い
思い起こせば、この時の僕は人生そのものが暇だったのかもしれない・・・。
僕はテレビ業界を目指すため上京し、都内で二年暮らしました。
上京当初は期待に胸躍らせて、ワクワクドキドキしていた記憶があります。
授業では、2時間ドラマの台本を書いたこともあります。
バラエティ番組の企画案も書きました。
有名映画を鑑賞し、その評論を週一で書いていました。
小さなお笑いライブのADみたいなことも経験しました。
しまいには、自主制作番組を作る課題で、自らグルメレポーターをしたこともあります。
ところが・・・
東京と言う、田舎者にとっては華やかすぎる環境。
そこで出会った様々な方言を話す新しい友人たち。
当時、渋谷では真っ黒に日焼けしたギャルたちが溢れる中、真っ白な肌をした可愛い彼女。
いつしか、東京という環境で遊ぶことに夢中になってしまい、テレビ業界に対する熱はすっかり冷めてしまいました。
髪はからしのような金髪、彼女との甘い半同棲生活、酔っぱらって終電を逃しファミレスで一夜を過ごして朝帰り・・・
さらに・・
路上で変な奴にいきなりぶん殴られる、深夜にスケボーの練習をしていたらヤンキーに絡まれる、原付の二人乗りで警察のお世話になる・・。
この時ほど、親不孝者だった時期はありません・・・。
完全に堕落し、当初の目標を見失った僕は、2年で華やかな東京を後にすることになりました。
しかし、実家に強制送還された後も定職には付かず、1年以上をフリーターとして過ごすことになります。
特にやりたいことも無く、ただただバイトと言う名の作業をこなし、バイトが無い時は友人とゲーセン通い。
おそらく家にいた時間の方が少なかったんじゃないだろうか・・・。
そんな時期に、僕は友人の家で暇を持て余していました。
いや、人生そのものに暇を持て余していました。
肘枕を付き、暇すぎた僕から1メートルくらい先に、ある一つのゲームが無造作に転がっている。
脱ぎ捨てたTシャツと一緒に床に置かれたそのゲームは、少し前から僕の視界に入っていました。
僕は体を起こし、そのゲームを手にとり友人に訪ねました。
「これ何?」
友人はこう答えました。
「トイザらスの投げ売りワゴンで100円で売ってた。ほとんどやってないけど」
そのパッケージにはこう書いてありました。
『信長の野望 覇王伝』
信長の野望??なんか聞いたことある。
僕を新たな世界に導いた歴史との出会い。これが全ての始まりでした。