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拓麻呂です。
日本に含め、世界各国の歴史を見てみると『側室』というものがあります。
『側室』とは簡単に言ってしまえば、奥さん(正妻)の他にも複数の奥さんを娶る制度のことです。
いわゆる『一夫多妻制』みたいなものです。
現在の価値観で見てみれば、あまり良い制度とは言い難い制度です。
そして、この側室の観点から、現在は側室が認められていないから、皇族の『男系継承』が難しいという意見を、時折耳にします。
『男系継承』とは何なのかはコチラをご覧ください。
ですが、側室の制度がないと、本当に男系継承が難しくなるのでしょうか?
僕は、男系継承を維持するのに側室の問題は無関係だと思っています。
この記事では、側室の制度があった本当の意味と、側室と男系継承の関係性を見ていきたいと思います。
側室がいないと男系継承は難しいのか?
なぜ側室が必要だったのか?
昔の日本を見てみると、側室制度は普通にありました。
戦国時代あたりに嗜みがある方は、側室制度があったことはよくご存知かと思います。
基本的に、側室制度とは『子供をたくさん授かるため』の制度です。
決して男性の欲望を優先していた制度ではありません。
子供がたくさん生まれるので、その対策として授乳や子育てをするために『乳母(うば、めのと)』が存在がいたという側面もあります。
ここまでは何となく想像できるかと思います。
ですが、なぜ子供を多く授かる必要があったのでしょうか?
ここに『側室制度』が必要だった本当の理由があります。
理由はものすごく単純です。
『現在より死亡率が高かったから』です。
とくに乳幼児の死亡率は高く、昭和初年の段階で10人に一人の割合で亡くなっています。
近代化が進んだ昭和初年で10人に1人ですから、それより前の時代は、同等かそれ以上に亡くなっていることは容易に想像できるかと思います。
戦国武将なんかも、合戦で後継者が亡くなることが多かったから、子供を多く授かる必要がありました。
こういった前提があった上で、家を繁栄させるために子供をたくさん授かる必要があったわけです。
さらに言えば、出産した母親が亡くなるケースも昔の方が多いです。
昔の出産は母子ともに死と隣り合わせの、とてもリスクが高いものだったのです。
だから側室が必要で、子供を多く授かる必要があったのです。
では、現在の乳幼児の死亡率はどのくらいなのかというと、250人に1人です。
250人に一人と言うとかなり高い確率のように感じますが、昔に比べれば生存率がかなり上がっていることがお分かりかと思います。
さらに言えば、現在の皇室は決して子宝に恵まれていないわけではなく、偶然にも男系女子の方々が連続してお生まれになり、その結果、女性天皇の問題が浮上しているわけです。
これは、側室がいても起こりうることです。
男系継承と側室の問題はイコールではない
このような背景を考えると、現在の皇室には、側室がいなくても問題ないのではないかと僕は思っています。
なので『側室が認められない現在に男系継承は難しい、相応しくない』といった論調は、必ずしも正しくないのではないでしょうか。
よくあることなのですが、現在の価値観、あるいは現在軸の視野で歴史を見ようとする場合が結構あります。
この側室の問題も、これに当てはまります。
確かに現在の価値観で言えば側室は相応しくありません。
僕も個人的な感情で言えば、現在の皇室に側室制度を設けることは反対です。
ですが、側室制度が必要だった歴史的な意味を知れば、『乳幼児の生存率が挙がっているのだから側室は必要ない』という結論が導けるはずです。
『側室がダメ=男系継承が無理』とはならないはずです。
『今は側室が認められないから男系継承は無理、だから女系を容認しよう』という論調は、まさしく現在軸の視点でしか歴史を見ていないと言うか・・。
こういった現在の価値観や常識で歴史を捉えることが、歴史の捏造や歪曲に発展します。
どこかの国が、それを如実に物語っています。
また、『側室がダメだから男系継承は無理、なので女系天皇容認』という論調自体が、もはや思考停止というか・・
側室に関しては、個人的には反対ですし必要はないと思ってますが、もし仮に『側室がダメだから男系継承は無理』なのだとしたら、まずは歴史的背景を踏まえた上で、『じゃあ皇室に側室制度を設けるのはどうか?』というところから話を始めるのが『建設的な議論』なのではないでしょうか?
その結果、倫理的に問題な上、乳幼児の生存率が昔と違うことが分かれば、側室は必要ないことが分かり、現在の価値観とも合致し丸くおさまる訳ですし。
現在も、次の代までは男系継承が問題ないこと、そして旧皇族の皇籍復帰などの道も残されているのに、いきなり『女性天皇容認』とか『女性宮家創設』とかいう論調なること自体、おかしいというか・・・議論の順番が間違っているような気がしてなりません。
まずは、男系継承を維持するためにどうするかを議論する必要があるのではないでしょうか?
まとめ
以上、側室がいないと男系継承は難しいのか?でした。
歴史的背景を考えれば、男系継承を維持するために側室は必要ないと思っています。
なんというか、『男系継承は難しい、だから女系天皇を容認しよう』ではなくて、まずは『男系継承を維持するにはどんな方法があるか?』を考えるべきだと思っています。
『男系』と『女系』、『女性天皇』と『女系天皇』の違いはコチラをご覧ください。
『女性天皇』と『女系天皇』の違いを学ぶには、この本が最適です。
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。