この記事では、ミステリーの女王と呼ばれるアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」をネタバレなしでご紹介。
本書のポイントをお伝えすると・・・。
でした。
この記事では、「そして誰もいなくなった」の大まかな展開や見所、オススメできる人できない人、作品の特徴など、ネタバレを避けつつご紹介していきます。これから読んでみようか悩んでいる方は、ぜひ参考になさってください。
※本記事では、物語の核心に触れるようなネタバレはしていませんが、できるだけ事前情報が無い状態で作品を読みたい方は、自己責任の上、本記事を読み進めて頂ければと思います。
書籍データ
書名:そして誰もいなくなった(原題:And Then There Were None)
著者:アガサ・クリスティ
翻訳:青木久恵さん
項数:387ページ(文庫本)
ジャンル:ミステリー
【あらすじ】(「BOOK」データベースより引用)
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く…そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく!強烈なサスペンスに彩られた最高傑作。新訳決定版。
【筆者の所感】
「そして誰もいなくなった」はミステリ小説として極めて有名な作品。外部との接触が絶たれた孤島に閉じ込められた10名の男女が次々と殺害されていき・・・という、いわゆる「クローズドサークル作品」です。
日本のミステリ作品としてとても有名な綾辻行人さんの「十角館の殺人」も、「そして誰もいなくなった」の影響を受けたオマージュ作品とされています。
こんな人にオススメ
「そして誰もいなくなった」をおすすめしたい方を3つのポイントに絞ってお伝えします。
- 推理ものの映像作品が好きな方、ミステリ初心者の方
- 十角館の殺人が好きな方
- 初めてアガサ・クリスティの作品を読む方
おすすめ① 推理ものが好きな方、ミステリ初心者の方
「そして誰もいなくなった」はミステリ小説を代表する世界的な有名作品です。
筆者的には、ミステリ小説が好きな人で「そして誰もいなくなった」を未読の人はいないんじゃないかと思っています。
1939年に発刊されたそうですが、今読んでも全く色褪せることなく、ミステリジャンルを代表する傑作と今でも言われています。
これだけ長く、そして多くの人に愛されている作品なので、普段小説は読まなくても「名探偵コナン」などの推理ものの漫画や映像作品が好きな方も、ぜひお勧めしたいです。
また、読書はするけどミステリ小説には触れてこなかった方も、本書からミステリ小説に触れてみるのもおすすめです。
世間と隔絶された場所で次々と殺人が起こるという、非常にオーソドックスな「クローズドサークル作品」なので、まさにミステリの王道展開なので、「ミステリ小説ってこんな感じなんだ」といったミステリの感覚を味わうのにも最適ですよ。
おすすめ② 十角館の殺人が好きな
日本の本格ミステリの金字塔「十角館の殺人」は、「そして誰もいなくなった」の影響を強く受けた作品と言われ、確かに「絶海の孤島に閉じ込められる」という設定はよく似ています。(とは言え、全然別の作品として楽しめますが・・・)
なので、「十角館の殺人」が好きな方は、「そして誰もいなくなった」も楽しめるのではないかと感じます。
ちなみに、「十角館の殺人」も「そして誰もいなくなった」も両方未読の方は、本書「そして誰もいなくなった」を最初に読むことを強くオススメします。
どちらから読んでも内容を理解するのに支障はないのですが、「十角館の殺人」が「そして誰もいなくなった」のオマージュであることと、なにより「十角館の殺人」で少しだけ「そして誰もいなくなった」のネタバレをしている箇所があります。
本当に軽く触れているだけなのですが、ネタバレなしで読んだ方が圧倒的に楽しめますので、可能であれば「そして誰もいなくなった」から読んでみてください。
オススメ③ 初めてアガサ・クリスティの作品を読む方
作者のアガサ・クリスティは「ミステリーの女王」と呼ばれるだけあって、凄まじい数の作品が発売されています。なので、興味はあるもののどのクリスティ作品から読めばよいのか迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな時は、クリスティ作品の中では最も有名で、なおかつ最も評価されているのが「そして誰もいなくなった」から読んでみるのが良いでしょう。
内容が面白いのはもちろんのこと、翻訳もそこまで癖がないので安定した読み心地を得られますので、まずは「そして誰もいなくなった」を手に取ってみてはいかがでしょうか?
オススメできないケース
海外作家の作品には「翻訳に癖がある」場合が少なくありません。では本書はどうかというと、癖はかなり少ない方だと感じます。
とは言え、海外の作品であることには変わりが無いので、どうしても表現が日本的ではないというか、少し引っかかる部分が全くないわけではありませんでした。
なので海外の翻訳作品がとてつもなく苦手と言う方は、どうしても気になってしまうかもしれません。ただし、かなり読みやすい方ではあるので、この辺は個人の感覚次第かと思います。
ちなみに筆者が所持しているのは「ハヤカワ書房」から出ていて、青木久恵さんた訳されたものです。
「そして誰もいなくなった」感想
物語のテンポ
前述の通り、本書の翻訳にはそこまで癖がなくとても読みやすいです。
それに合わせてお伝えしたいことが「テンポの良さ」。決して冗長になることなく、かと言って淡白にもならない絶妙な筆致で物語が進むので、とてもテンポよく読み進められます。
ストーリーや登場人物をしっかりと描きつつも、ストレスなく読めるところはさすがだなと感じました。
先の気になる 展開とラストの意外性
ミステリー小説の醍醐味のひとつが「犯人は誰なのか?」といった部分かと思います。(倒叙ミステリーを除く)
ご多分に漏れず「そして誰もいなくなった」も、犯人予想を存分に楽しませてくれる作品です。
犯人はだれなのか?次に犠牲となるのは誰なのか?そいった部分にドキドキしながら、次々とページをめくってしまいました。
ラストの意外性もあるので、先が気になって最後まで飽きずに読める作品です。
残酷描写はある?
「そして誰もいなくなった」では、多くの人物が亡くなります。ミステリものなので仕方のないことですが、作品によっては殺害シーンや遺体の描写がかなりエグイものがあるのですが・・・。
そういった残酷描写の観点でいうと、「そして誰もいなくなった」はマイルドな方だと感じます。
よほど苦手でない限り、問題なく読めるのではないでしょうか。
登場人物の魅力や個性はある?
「そして誰もいなくなった」の主要人物は10名。生い立ちや立場もそれぞれなので、個性的な登場人物と言えるでしょう。
また、「なぜこの10人が絶海の孤島に集められてしまったのか?」といった部分も見所のひとつかと思います。
なお、海外文学なので登場人物の名前は全員カタカナです。なので人によっては名前が覚えられないと感じる方もいるかもしれませんが、冒頭に登場人物の紹介が書かれているので、まぁ問題ないかなと思います。
そして誰もいなくなったネタバレなしレビューまとめ
以上、そして誰もいなくなったネタバレなしレビューでした。
記事中でも触れた通り、「そして誰もいなくなった」はミステリ小説の金字塔とも呼べる作品です。1939年から現在に至るまで、海を越えて読み継がれているということは、やはり傑作と言って良いでしょう。
筆者も一気読みでしたし、内容にもオチにも非常に満足しています。
興味はあるもののまだ未読の方には、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか?