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拓麻呂です。
戦国時代に今川家に仕え活躍した『太原雪斎(たいげん せっさい)』という僧をご存じでしょうか?
あるいは『太原崇孚(たいげん そうふ)』の名で呼ばれることもあります。
本来であれば『最強』の定義は曖昧なので、あまり『最強』という言葉を使いたくないのですが、僧侶枠の中で雪斎以上の人物が見当たらないので、今回は良しとしています。
そのくらい、雪斎は凄い人物だったのです。
今川義元のブレーンとして大活躍した大僧侶『太原雪斎』。
そんな太原雪斎の人物像や逸話を纏めていきます。
黒衣の宰相『太原雪斎』
巧みな外交術
雪斎の最大の活躍と言えば、いわゆる『甲相駿三国同盟(こうそうすんさんごくどうめい)』の締結を実現したことです。
雪斎の主君は『海道一の弓取り』と称された『今川義元』。
義元は今川家を戦国大名化させ、駿河、遠江、三河、尾張に跨る広大な領地を手にした名将です。
そんな今川家と領地を接していたのが、これまた戦国時代を代表する大大名。
武田晴信(後の信玄)と北条氏康です。
【海道一の弓取り】今川義元
【甲斐の虎】武田信玄
【相模の獅子】北条氏康
この戦国時代を代表する名将3人が凌ぎを削る静岡県、山梨県、神奈川県の辺りは、戦国屈指の大激戦区でした。
甲斐の武田、相模の北条、そして駿河の今川。
このライバル三家を、奇跡の同盟へと導いたのが雪斎だと言われています。
1対1の同盟ならまだしも、三家同時に同盟を結ぶと言う、どう考えても無理だろうと思われる同盟を発案し、雪斎自らが外交を担い同盟締結に尽力しました。
一説によると、今川義元、武田信玄、北条氏康の大物3名による、三者会談(善得寺の会盟)が実現したとも言われています。
そして、義元の娘(嶺松院)が武田家に嫁ぎ、信玄の娘(黄梅院)が北条家に嫁ぎ、北条家の娘(早川殿)が今川家に嫁ぐという形での縁組が実現。
ここに『甲相駿三国同盟』が結ばれることになりました。
なお『甲相駿(こうそうすん)』とは、武田、北条、今川の領国であった甲斐、相模、駿河の頭文字を取ったものです。
この同盟により、三家は後顧の憂いなく、武田は北へ、北条は関東制覇へ、今川は西への進出が可能となったのです。
また、織田家との戦いの最中で拉致されていた、三河から人質に来る予定であった『竹千代(後の徳川家康)』を、織田家から奪還するという大活躍を見せ、今川家の三河への進出を盤石なものとしました。
雪斎と今川義元
このように今川家の勢力拡大に尽力した雪斎ですが、今川家に仕えは始めたのは義元の父『今川氏親』の代からです。
氏親の家臣『庵原氏(いはらし)』の息子だった雪斎は、普通の僧侶として京都の寺で暮らしていました。
しかし27歳の頃に、氏親の要請で今川家に仕えることとなり、義元の教育係を任されます。
これが、義元と雪斎の出会いです。
その後、氏親が亡くなり、さらに当主の座を継いだ嫡子の『氏輝』も早世、今川家では家中を二分するお家騒動が起こりました。
『花倉の乱』です。
当時、出家していた『栴岳承芳(せんがくしょうほう)』、後の今川義元と、同じく出家していた『玄広恵探(げんこう えたん)』による、腹違いの兄弟による家督争いです。
この争いでも、雪斎は一貫して義元を支持。
籠城する玄広恵探を追い詰め自刃させ、義元の当主擁立に尽力しました。
まさに、雪斎なくして今川家の隆盛はありませんでした。
このように、多くの面で義元を助け、今川家の最盛期を築き上げた大僧侶が、太原雪斎という人物だったのです。
桶狭間の戦いまで雪斎が生きていたら・・
そんな雪斎ですが、弘治元年(1555年)に60歳で世を去りました。
それから約5年後、悲劇の桶狭間の戦いが起こります。
結果は、不運としか言いようのない結末で、義元は首を取られました。
戦国ファンであれば、どうしても考えてしまうことがあります。
もしこの時、太原雪斎が存命であったならば・・・。
もしかしたら、織田信長を退け、あるいは事前の外交でねじ伏せ、また別の結果になっていたかもしれません。
そうなってくると、今川家の勢力は桶狭間以降も保たれ続け、徳川家康の独立も怪しくなってきます。
家康が今川に従属したままだったなら、当然、江戸時代はやってきていません。
そう考えると、雪斎の存在って物凄く大きかったのだと、改めて感じることが出来ます。
生前も今川家の飛躍に大きく貢献した雪斎でしたが、彼が亡くなったことでも今川家の歴史に大きな影響を与えた凄まじい人物。
それが太原雪斎という大僧侶だったのです。
まとめ
以上、太原雪斎についてでした。
とにかく、雪斎がいなければ、今川家がここまで大きくなることも無かったでしょう。
義元と二人三脚で、今川家を戦国時代屈指の大大名に育て上げた大僧侶。
それが、太原雪斎という男だったのです。
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では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。