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『清少納言に恋した男』拓麻呂でございます。
枕草子一五一段
『瓜にかきたるちごの顔』
このように始まる枕草子一五一段『うつくしきもの』
この章段には作者の清少納言が感じた『可愛らしいもの』が書かれています。
この内容から現代人が感じること・・・
それは、千年前から変わらない人間の深層心理。
古文? 品詞分解? 歴史的仮名遣い?
そんな専門知識が無くたって『枕草子』は楽しめる!!
それでは、千年前に清少納言が感じた『可愛らしいもの』に迫ってみましょう。
目次
清少納言が感じた『可愛らしいもの』
小さな子供がかわいい
では清少納言が可愛いと感じたものを見ていきましょう。
清少納言は、小さな子供の仕草を取り上げ、その可愛らしさを描写しています。
では清少納言は、どのような仕草を取り上げているのか見てみましょう。
僕なりの現代語訳でお伝えします。
現代の小さな子供たちも、よくやる仕草ですよ。
はいはいしている赤ん坊が・・・
急いではいはいしている二歳くらいの赤ん坊が、小さな塵を目ざとく見つけて、小さくてかわいい指でつまみ大人に見せてくる仕草は、とても可愛らしい。
どうでしょうか?小さなお子さんがいらっしゃる方は、同じような経験があるんじゃないでしょうか?
ようやく歩けるようになったくらいの子供が、その辺にある物を拾って、『はい』とか『あげる』とか言って物を渡してくる。
こんな経験ありませんか?
おかっぱ頭の子供が・・・
おかっぱ頭の子供が、目に髪がかかっていることを気にせず、首をかしげながら何かをジッと見つめている姿はたいそう可愛らしい。
いかがでしょうか?
ファミレスなんかで後ろの席の子供が、こちらの顔をジッと見つめて不思議そうな顔をしているって経験ありませんか?
清少納言は、そんな子供にも可愛らしさを感じていたんですね。
着飾っている子供が・・・
小さな貴族の子供が、オシャレに着飾ってあちこち歩き回っている姿が可愛らしい。
これに関しては、現代の七五三をイメージすると分かりやすかもしれまんね。
立派な着物を着させてもらい、いつもと変わらず歩き回っている子供の元気な姿。
清少納言は、そんな子供も可愛いと言っています。
抱いていた赤ん坊か・・・
とても愛らしい赤ん坊を、ちょっと抱いてあやしている内に、いつの間にか眠ってしまった。本当に可愛らしい。
これは、もう説明不要かもしれませんね。
小さなお子さんや、甥っ子、姪っ子がいる方にはお馴染みの光景ですね。
さっきまで大泣きしていたのに、お母さんに抱いてもらったら、あっと言う間に眠ってしまった。
現代でもよく目にする光景、それは千年前でも当たり前の光景だったようです。
瓜にかきたるちごの顔
ここからは、ちょっと視点を変えてみましょう。
冒頭でも少し触れましたが、この章段はこの言葉から始まります。
『瓜にかきたるちごの顔』
そのまま読むと語呂が良くて、古典をかじったことがある方にはお馴染みのフレーズかもしれません。
意味としては・・まぁそのままなんですが、
『瓜に描いた赤ん坊の顔』
清少納言は、これが可愛いと言っています。
ちなみに瓜とは、
このような実で、メロンとかの仲間です。
枕草子に出てくる瓜は6センチほどの小さな種類で、当時は瓜に顔を書いて遊んだりしていたようです。
小さいものを可愛く感じる清少納言
なお、清少納言はこの他にも『可愛らしいもの』をいくつか挙げています。
・鳴きマネをするとピョンピョンと寄ってくる雀の子。
・人形遊びの道具
・小さい蓮の葉っぱ
・大きな声で一生懸命、漢文を詠んでいる男の子
・親鳥に付いて歩くヒヨコ
ここで、清少納言が感じる可愛らしさの傾向が、何となく見えてきたのではないでしょうか。
彼女は一貫して、
小さいもの
に可愛らしさを感じています。
赤ん坊や子供はもちろんですが、スズメやヒヨコ、人形遊びの道具など、全て小さいものです。実際、清少納言はこの章段の中で『小さいものはみんな可愛い』と言っています。
これが、現代も変わらな不変の心理。
小さい=かわいい
これが一般的な感覚ではないでしょうか?
大きい=かわいい、と感じるのは、あまり一般的ではありません。
時には、そう感じることもあるかもしれませんが・・・。
歴史上の人物は、現代人とはほど遠い、関係ない存在のように感じるかもしれません。
しかし、千年前に生きた人々も、現代人と何も変わらない感覚で日々暮らしていたのです。
これは千年前に限ったことではなく、戦国時代でも、明治時代でも同じです。
技術は日々進化し、僕たちは清少納言が生きた時代より、はるかに豊かな生活を送っています。しかし、人間の心理は何も変わっていない。
千年の時を超えて、人間の本質を教えてくれる・・・枕草子とは、そんな側面も持っているんですね!
もっと枕草子の世界を覗いてみたい方は、こちらからお好みの記事をご覧ください。

では、今回はこの辺で!ありがとうございました。
※参考:枕草子 一五一段『うつくしきもの』より