かちかち山。悪さをするタヌキを、ウサギが懲らしめる昔話です。
この『かちかち山』、実はホラー映画も顔負けの、とっても恐ろしくグロい話だって知ってましたか?
かちかち山に秘められた恐ろしい真実、そして残酷なウサギの本性をお伝えします・・・。
恐怖① お婆さんを食べてしまったお爺さん
かちかち山に登場するタヌキは、お爺さんとお婆さんが営む畑を荒らしていました。しかし、悪さが度を超し、タヌキはお爺さんに捕まってしまいます。
そして、お爺さんが畑仕事に行っている時、縄で縛られたタヌキは反省したフリをしてお婆さんに縄を解かせます。その瞬間、タヌキはお婆さんを撲殺。
お婆さんの肉を使って『婆汁』を作りました。
お婆さんに化けたタヌキは、帰ってきたお爺さんに『タヌキ汁を作った』と嘘をつき、婆汁を振舞いました。お婆さんが具材になっていることを知らず、お爺さんは婆汁をペロリとたいらげ・・・
『とても美味しかった、まだ奥歯に肉が詰まっている』
と言った瞬間、タヌキは正体を現し、お婆さんが汁になっていることを暴露し、逃げ出しました。
これが、かちかち山に隠された恐怖その①です。
現代のかちかち山では、お婆さんが亡くなるところは一緒ですが、汁物の具材にされてお爺さんが食べてしまう部分はカットされています。
かなり衝撃的な話で幕を開けましたが、この後にウサギの残酷な仕返しが始まるのです。
恐怖② 残酷なウサギ
この後、悲しむお爺さんを見たウサギが、タヌキを懲らしめる展開となります。
ウサギがタヌキにした仕返しは、以下の3つです。
- 芝刈りに行き、タヌキが背負った芝に火を付ける
- 火傷したタヌキに、唐辛子などを調合した薬を塗りつける
- 魚捕りに行き、タヌキを泥船に乗せて沈める
現在、一般的なかちかちやまでは、溺れたタヌキが許しを乞い、ウサギに助けられます。そして、お爺さんに謝罪して終わります。
ですが、これはかなりマイルドに脚色されており、元のかちかち山は、ウサギの残酷さが際立った展開になっています。
元の話では、木の船に乗ったウサギは、泥船が沈んで溺れるタヌキを助けていません。むしろ、仕留めにいっています。
溺れるタヌキを見たウサギは、タヌキに反省を促すつもりなど無く、船を漕ぐ櫂(かい)でタヌキを叩き、浮かんでこないようにしてタヌキを亡き者にするつもりだったのです。
その結果、タヌキはそのまま溺死してしまいます。
一応、ウサギには『お婆さんのかたき討ち』という名目がありますが、伝承によっては単にタヌキを殺害するだけの話もあるそうです。
こうなってくると、必ずしも『ウサギが善』で『タヌキが悪』という、単純なものではないような気がしてきますね。
後日譚とウサギの尻尾が短い理由
タヌキが反省する、あるいは溺死するかで結末は違いますが、昔話としての『かちかち山』は、ここで終わります。ですが、かちかち山にはまだ続きがあります。
ウサギは、溺死したタヌキを調理して食べるため、適当な人間の家を訪ねます。そこでタヌキ汁を作ってもらい、タヌキを食べてしまいました。
腹がいっぱいになって満足気なウサギ。
ところが、その家の人間はウサギを捕まえようとしてきました。焦ったウサギは逃げだそうとしますが、人間が刃物を投げて来て、ウサギの尻尾に当たり千切れてしまいました。
これが元で、ウサギの尻尾は短くなってしまったのです。
正確には、ここまでが『かちかち山』の物語です。結局は、ウサギも酷い目に合うのです。
因幡の白兎
実は、日本神話の中に、これと似たような話があります。『因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)』です。
ただし、因幡の白兎で登場するウサギは、かちかち山のタヌキのようなポジションになっています。具体的には、下記の2つです。
- ワニ(サメとも言われる)を騙して仕返しされる(皮を剥がされる)
- 傷口に海水を塗って悪化する
お爺さんを騙して報復されたタヌキと、同じような目に合っていることが分かります。
実は、こう言った事例は、かちかち山だけではありません。神話の中には、例えば浦島太郎にも似通った話があったりします。亀に乗った登場人物が出てきたり、海底の楽園で数年過ごす話があったり。
おそらく日本神話には元になった日本各地での民間伝承があって、それをひとつの物語にまとめたものが日本神話だと思われます。そして、そんな伝承が派生していって、日本の昔話になっていったのではないでしょうか。
昔話って、必ずしも荒唐無稽なおとぎ話ではなく、元になった何かしらの背景が隠されているものなのです。
かちかち山まとめ
以上、かちかち山の裏話でした。
かちかち山は、とても残酷な物語であるとともに、日本神話にも通ずる物語だったのです。
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