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拓麻呂です。
世界最古の随筆と言われる『枕草子』。
作者は清少納言。
現在でも、枕草子に関する一般書籍や専門書は数多く販売されています。
初心者向けのものから、古文のテストや受験で使えそうなものまで、本当に幅広く普及しています。
その中でも、最も内容が充実した究極の書をご紹介します。
枕草子を深く知るためには不可欠は一冊『枕草子大事典』。
この一冊で、枕草子の知識をガッツリ手に入れることができますよ!
究極の書『枕草子大事典』
圧倒的な情報量
『枕草子大事典』という書名が示す通り、まさしく大事典です。
圧倒的なボリュームを誇り、総ページ数は1150ページを超えます。
この中に、枕草子の関するすさまじい情報が詰まっています。
以下に、その中身を列挙していきます。
枕草子の成立過程
枕草子が清少納言によって書かれたものであることは周知の事実です。
しかし、その執筆動機や成立の過程は意外と知られていません。
実は、この辺の事情に関しては、清少納言自身が枕草子の跋文(後書き)に書き残しています。
しかしながら、清少納言の意図がくみ取りにくい部分も多いのもまた事実で、そういった不鮮明な部分を、研究の成果、当時の状況、多少の推測を交え解説しています。
また『枕草子』という題名にはどんな意味があり、どのようにして名付けられたのかなども解説しています。
枕草子の伝本
現状、清少納言直筆の原本は失われており、いくつかの写本が残されています。
代表的な写本は全部で4つ。
それらの写本の特徴を、かなり詳細に解説しています。
枕草子は伝本によって結構な相違があるので、本格的に枕草子に触れていこうとした場合、どれを原本にしているのかはかなり重要です。
そういった意味でも、本項は枕草子研究に大いに役立ちます。
枕草子が書かれた時代
枕草子は今から約千年前の平安時代中期に書かれました。
その時代は『一条天皇』の治世でした。
この時代は枕草子だけでなく、源氏物語などの女流文学が隆盛を極めた時代です。
いわゆる『国風文化』の一翼を担ったのが、この時代の女性たちなのです。
このような雅な文化が生まれた時代背景とは、どういったものだったのか?
枕草子成立にも決して無関係ではない、当時の時代背景が丸わかりです。
作者の清少納言について
当たり前ですが、枕草子関連の書籍だとその内容を中心になります。
なので、作者の清少納言について詳述している本ってかなり少ないのです。
その点、本書は大事典というだけあって、清少納言についても紙幅を割いています。
清少納言の家系、有名な歌人である曽祖父や父親、彼女の兄弟姉妹などにも詳述しています。
また、清少納言の生年と没年、結婚生活、宮廷での生活、女房名の由来など、ここを読んでおけば清少納言のことは概ね知ることが出来ます。
僕のような清少納言を愛する人は必読です。
枕草子の章段解説
いよいよ枕草子の真骨頂である、それそれの章段解説です。
ただ、ここで一点だけ注意点なのですが、本書では全章段を掲載していません。
枕草子は約300段で構成されていますが、そのうちのだいたい3分の1くらいを取り上げています。
ひとつひとつの解説はかなり詳細なのですが、全段の解説が必須な方には物足りないかもしれません。
また、あくまで解説なので本文を楽しみたい方には向かないです。
各章段の内容も載っていますが、略説となっているのでザックリと把握できる程度です。
本文や原文よりも、各章段の書かれた背景や解説が中心なので、枕草子をすでに読んだことがある人が、さらに奥深く楽しむ副読本的な位置づけになります。
だいたい100段ちょっと掲載していますが、有名章段は全部入っています。
『春はあけぼの』はもちろんのこと、いわゆる『香炉峰の雪』や『積善寺供養』。
『草の庵』や『翁丸』、『雪山』、『くらげの骨』の逸話。
『宮に初めて参りたるころ』、『すさまじきもの』、『五月の御精進のほど』などの有名な章段は全部掲載しているのでご安心ください。
枕草子の登場人物
個人的には、ここが一番のポイントです。
枕草子に登場する人物を全て紹介しています。
僕が知っている限り、登場人物全てを網羅し解説しているものは、本書以外にありません。
また、全登場人物がどの章段に登場するのかも書いてあるので、目的の章段をすぐに見つけることが出来ます。
僕のようなブログで枕草子のことを書いている人間からすると、これはかなり便利です。
かなりマニアックな人物も詳しく解説しているので、枕草子ファンは純粋な読み物としても楽しめます。
枕草子に登場する人って、歴史的評価から見た性格とかなり違う印象で描かれていたりします(橘則光、藤原隆家あたりは特に)。
結局のところ、歴史的評価って公的な一面に過ぎず、その人の素の性格ではなかったりします。
現在でも会社で見せる姿や、会社からの評価が、その人の素のキャラではないことが多いじゃないですか。
一方で、枕草子に描かれたのは日常の一場面であり、彼らの素の表情なのかなと感じます。
そういった意味でも、枕草子の登場人物を深く知ることで、より親近感が沸いてきて、枕草子が楽しく読めるようになるのかなと考えています。
枕草子の研究史
千年前に書かれた枕草子が、現在までどのように読み継がれてきたのか?どのように研究されてきたのか?といったことが書いてあります。
この辺になってくると、かなり専門的な内容になってくるので、娯楽性はほとんどありませんが、枕草子を本格的に研究していきたい方にとっては、たいへん役立つものになります。
あと、巻末に枕草子の章段表が付いています。
枕草子は底本や出版社によって章段に相違があるので、一覧で確認できるのはとても便利ですよ。
枕草子大事典が向いている人、向いていない人
ともかくも、枕草子に関する情報がここまで詰まった書籍は、他に類をみません。
枕草子の原文や現代語訳を読みたい場合は、他の書籍を当たった方が良いですが、枕草子をさらに深く知る、あるいは研究する上での副読書としては最適です。
まとめると・・・
【枕草子大事典をオススメしたい人】
- 枕草子の原文や現代語訳を読んだことがある、もしくは原文や現代語訳の本を所持している方。
- 枕草子の内容を把握している方。
- 枕草子を本格的に研究していきたい方。
- 研究まではいかなくても、もっと理解を深めたい方。
【枕草子大事典をオススメできない人】
- はじめて枕草子に触れる方。
- 枕草子に何が書かれているのか、まだ把握できていない方。
- 清少納言を愛せない方。
実は、このブログの枕草子に関する記事は、枕草子大事典を史料としているケースが多いです。
記事を書く時って、いろんな情報を引っ張ってくることがあってり、机の周辺が本で散らかりまくることも少なくありません。
そういった意味では、様々な情報が一冊に詰め込まれた書籍というのは、邪魔にならず、部屋も散らからず、とても便利です。
(分厚いので持ち運びには向きませんが、机に置いておく分にはさほど困りません)
ブログの記事でこうなのですから、本格的に枕草子を研究していきたいという方には、さらに利便性の高い一冊になります。
枕草子初心者には向かない分、マニアや研究者にはありがたい一冊です。
- 我こそは枕草子の第一人者だ!
- 枕草子研究で成果をあげたい!
- 枕草子をもっともっと深く味わいたい!
- 清少納言は俺の嫁!
そう感じている方は、ぜひ一読をオススメします!
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