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拓麻呂です。
明治維新が起こった幕末と言えば、戦国時代と人気を二分する時代。
そんな幕末には、みんなが知っている人気者たちがたくさんいます。
今回は、幕末でも特に人気の有名人にスポットを当てみたいと思います。
そこで、活用したいのが司馬遼太郎先生の歴史小説。
幕末の小説と言えば司馬作品。
幕末の人物をよりカッコよく生き生きと描いた司馬作品で、明治維新を振り返っていきましょう。
目次
司馬作品の幕末オススメ作品
坂本龍馬『竜馬がゆく』
幕末の英雄と言えば、まずこの人を挙げねばなりません。
土佐藩が生んだ英雄『坂本龍馬』です。
そして司馬遼太郎先生を最も代表する作品のひとつが『竜馬がゆく』。
現在の坂本龍馬人気、そして龍馬の活躍は全てこの『竜馬がゆく』で火が付きました。
この作品が無かったら、龍馬はここまで歴史の表舞台に登場することはなかったでしょう。
『竜馬がゆく』に登場する坂本龍馬は、絵にかいたような理想の主人公に仕上がっています。
爽やかで、肝が据わっていて、細かい事は気にしない豪胆な竜馬。
さらには、時代の先を読む先進性を併せ持ち、同性からも好かれ、異性からもモテモテの竜馬。
そんな竜馬が江戸へ剣術修行へ向かう所から物語は始まり、近江屋で命を落とすまでが描かれています。
時代を明治維新へと導いた薩長同盟、勝海舟との交流など、最初から最後までずーっとカッコイイ竜馬を追いかける事ができます。
なお、史実の坂本龍馬は『龍馬』です。
この作品の主人公は『竜馬』となっています。
これは司馬先生が、あくまで小説という創作作品の主人公として坂本龍馬を描いた為、ひとつのキャラクターとして『竜馬』という字を当てているのだそうです。
文庫サイズで全6巻となっています。
土方歳三『燃えよ剣』
続いては『燃えよ剣』
これも司馬作品を代表する作品です。
主人公は新選組の『土方歳三』
『竜馬がゆく』と同じく、この作品の主人公である土方も、非常に爽やかで豪胆な性格で描かれています。
と言うか、司馬作品の主人公は、そんな感じで描かれることが多いです。
王道のヒーロー像ですね。
そして、この作品の土方は剣術に精通したメチャクチャ強い人物です。
史実の新選組は、京都の警察のような役割なので、武芸に秀でた集団であったことは間違いありません。
明治維新というと、薩摩や長州などにスポットが当たりがちですが、新選組のような幕府側の人間、つまり敗者の側から明治維新を見てみるのも面白いですよ。
ちなみに、個人的には司馬作品の中でも、一番読みやすい作品だと思っています。
司馬作品は筆者の余談が多いのですが、燃えよ剣はあんまり余談が無く、物語に集中できます。(僕はこの余談がたまらないので司馬作品が好きなのですが・・)
文庫本で上下巻の2冊だけなので、サクッと読めるところも司馬作品に初めて触れる方には最適ではないでしょうか?
吉田松陰、高杉晋作『世に棲む日日』
続いてはいよいよ長州藩と登場です。
主人子は『吉田松陰』と『高杉晋作』
作品のタイトルは『世に棲む日日』
この作品の前半は吉田松陰が主人公、後半は高杉晋作が主人公。
幕末に攘夷を唱え、荒れ狂った長州藩。
その全ての根源は吉田松陰に端を発します。
そして松陰の意思を継ぐ高杉晋作。
『諸君、狂いたまえ』
この吉田松陰の言葉が示す通り、狂いに狂った長州藩士の熱き情熱が描かれた作品です。
そして高杉の素晴らしき一句。
『おもしろき こともなき世を おもしろく』
幕末と言う狂った時代を、自らの志と行動で面白く生きた高杉晋作。
そんな暑苦しい志の物語を楽しみたい方にオススメです。
文庫サイズで全4巻となっています。
西郷隆盛、大久保利通『翔ぶが如く』
最後はこれです。
『翔ぶが如く』
主人公は薩摩の英雄『西郷隆盛』と『大久保利通』
明治維新と言えば薩摩藩、そして西郷と大久保。
そんなイメージですが、正直なところ、この作品はあまりオススメできません。
というのも、この作品は小説と呼んでいいのかどうか・・・
司馬作品の醍醐味はちょいちょい語られる司馬先生の余談なのですが、この作品はほぼ全部余談というか、物語性があまりありません。
『翔ぶが如く』は小説として楽しむよりも、司馬先生の薩摩観、そして知識量や情報量を楽しむ一冊です。
なので、当時の薩摩の状況や時代背景、西郷と大久保の思考などを知るには良い作品です。
事実、この作品を司馬小説No.1に挙げる方もいらっしゃいます。
小説よりも歴史書といった感じなので、そういった観点で読めば歴史好きにはたまらない一冊と言えるでしょう。
そして、こちらの作品は文庫本で全10巻です。
読破するには、気合いと情熱を要します・・。
司馬作品に初めて触れる方へ・・
以上、明治維新を振り返る司馬作品でした。
幕末を描いた司馬作品は他にもたくさんあるのですが、みんなが知ってる有名人に絞って紹介してみました。
最後に、これから司馬作品を読んでみたいという方にお伝えしておきたいことがあります。
司馬作品は、あまりにリアルな歴史描写、そして司馬先生の膨大な知識量が発揮される余談で構成されているため、時折史実と混同してしまう方がいらっしゃいます。
確かに、史実をなぞって書いていますし、事実無根のファンタジーが書かれている訳ではありません。
書かれていることは、歴史的事実ではあります。
しかし、その叙述には『司馬遼太郎』というフィルタがかかっていることは忘れてはいけません。
司馬先生も人間です。
好感の持てる人物もいれば、そうではない人物もいたはずです。
司馬作品は、筆者の好き嫌いが顕著に出ている傾向があります。
司馬作品に書かれている人物像が、その人物の全てではありません。
また、司馬作品の多くは、今から30年~40年近く前に書かれています。
当然、現代では新たな史料が発見されたりして、当時と定説が変わっていることもあります。
司馬作品はあくまで『小説』です。物語です。
その辺を理解した上で読む司馬作品は、他の歴史小説には無い深みがあり、他の作品が軽く感じられてしまうほど、のめり込んでしまいます。
明治維新150年を迎える2018年。
幕末の熱き時代を駆け抜けた英雄たちの躍動感を、司馬作品を通じてぜひとも味わっていただきたいと思います。
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。