清少納言が書いた枕草子。
「春はあけぼの」で始まる冒頭部分はとても有名ですが、その中身にはどんなことが書かれているのか知らない方も多いかと思います。
ということで「枕草子を今から読んでみたい・・・」とは思うものの、書店に行けばたくさんの書籍が並んでいるし、そもそも古典にはそんなに詳しくないし、どれを手に取って良いのかわからないといったケースも多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、
に向けて、現代語訳された入門用枕草子を計8冊ご紹介します。
枕草子に魅了され数多くの枕草子に触れてきた僕が、小学生や中学生など子供から大人まで十分楽しめるおすすめ枕草子をお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
おすすめ①漫画で枕草子を読みたい方向け(ギャグ漫画風)
やはり歴史物の本を読む場合、漫画からスタートするのが最も取っつきやすいでしょう。
本書は枕草子に書かれている内容が面白おかしく漫画で表現されているので、笑いながら最後まで読め進められます。
どちらかというとギャグ漫画っぽい感じになっているのですが、枕草子の記述にはギャグテイストの方が相性が良い内容も多いので、むしろこのくらいのノリの方が合っている感じがします。
さらに、現代人も共感できる内容目白押しなので、歴史の知識が無くても問題なく楽しめますのでご安心ください。
枕草子の全編を網羅しているわけではないのですが、枕草子の中でも比較的短めのエピソードを各1~4ページくらいにまとめているので、サクサク読み進められますよ。
ちなみに、より漫画で枕草子を楽しみいたい方は、次にご紹介する「まんがで読む 枕草子」も合わせて読まれることをおすすめします。その理由は「まんがで読む 枕草子」の紹介で詳しくお伝えします。
おすすめ②漫画で枕草子を読みたい方向け(シリアスな物語風)
先にお伝えした「本日もいとをかし!! 枕草子」が短いエピソードを扱ったギャグ要素多めな作風なのに対し、本書は枕草子の中でも長編のエピソードに重きを置いていて、物語として楽しめる作風となっています。
また、清少納言があえて枕草子に書かなかったある出来事も本書では描かれており、大きな見所となっています。
枕草子における表面的な面白さや美しさ、そしてその裏にあった悲劇、その両方の雰囲気を味わえますので、ぜひ本書と一緒に「本日もいとをかし!! 枕草子」を読まれることをおすすめします。
おすすめ③小学生でも読める簡単な本をお探しの方その1
漫画よりも活字がいいけれど、難しいのはちょっと・・・という場合にとてもオススメなのが本書です。
現代語訳でよくあることなのですが、古典をそのまま訳すと読みにくくて結局理解できない、なんてことも決して少なくありません。
その点本書は、完全に今の言葉に置き換えて書かれているので訳が読みにくいといった問題は起こりません。原文も掲載しているので、興味ある方はさらに楽しめるでしょう。
枕草子の全編が集録されているわけではないのですが、枕草子の雰囲気は十分わかりますし、初めて枕草子に触れる方にはむしろ本書くらいの分量がちょうど良いと感じます。
おすすめ④小学生でも読める簡単な本をお探しの方その2
先にご紹介した「眠れないほど面白い『枕草子』」よりもさらに子供向けにしたのが本書の特徴です。
古典文学を小学生向けに書き下ろしたシリーズなので、全ての漢字にふりがなが振ってあります。なのでお子さん用としても活用できますし、子供と一緒に枕草子を楽しんでみたいという親御さんにもおすすめです。
枕草子をそのまま訳したのではなく、かなり端的に抜粋しているためページ数もお手頃なので、サクッと読みたい方にはぜひおすすめです。
おすすめ⑤硬派な枕草子の入門書をお求めの方
こちらは純粋な原文と現代語訳で構成された初心者用の一冊。なので、漫画やデフォルメされた文章ではなく、硬派に枕草子に触れたい方にはおすすめです。
本書は「ビギナーズ・クラシックス 」というシリーズで、様々な古典を初心者向けにシリーズ化しているので、内容にはとても安定感があります。
枕草子の見所を抜粋しているため全編を楽しむことはできまんが、有名な話はだいたい掲載されています。なので、枕草子を読む第一歩としてスタンダードに楽しみたい方には本書が最適かと思います。
おすすめ⑥硬派な枕草子の入門書をお求めの方
本書の特徴を端的に言うと「枕草子の全体像を把握する本」。
枕草子の中身を読み進めていくというよりは、枕草子の一部を抜粋して清少納言の心情だったり当時の時代背景だったりを解説したりしている感じです。
ページ数も少ないので、まずは本書をさらっと読んでしまってから、枕草子本編に手を出すのも有りかなと思います。
また、枕草子の副読本としても活用できるので、これからご紹介する枕草子本編と一緒に楽しむと、より枕草子が理解できますよ。
おすすめ⑦枕草子の全編をスタンダードに楽しみたい方その1
純粋に枕草子全編を読んでみたい方には本書をおすすめします。
これまでご紹介してきた書籍よりもかなり本格的なものになってきますが、原文も全文掲載されていますし全て現代語に訳されていますので、最初からスタンダードに枕草子に触れたい方は本書を手に取ってみても良いでしょう。
一つだけ注意しておきたい点があるのですが、現代語訳が少々堅っ苦しいというか、なんか言い回しが難しく感じる部分があります。その分正確に訳されているとも言えますし、どこの書店にもだいたい売っているので、手に入れやすい最もオーソドックスな一冊と言えるでしょう。
なお上下巻2冊で構成です。
おすすめ⑧枕草子の全編をスタンダードに楽しみたい方その2
純粋に枕草子全編を読んでみたい方その2です。
筆者の感覚的には、先にご紹介した「新版 枕草子」に比べ現代語訳は本書の方がわかりやすいと感じます。原文をそのまま訳すと言葉足らずで意味が良くわからなかったりするのですが、本書の現代語訳は適宜文章を補っているので理解はしやすいでしょう。
各章段の後に、筆者の簡単な解説が添えられているのでより理解も深まります。
ちなみにこの本の底本になっているのは、江戸時代に書かれた『枕草子』の注釈書『春曙抄(しゅんしょしょう)』です。小難しい話なのでザックリとお伝えすると、現在の枕草子の底本には『三巻本』と言われるものが使われている場合が多いです。
なので一般的に普及している枕草子関連の書籍と構成が若干違います。とは言え、清少納言の言っていることが大きく変わっているわけではないので「枕草子を楽しむ」という点では問題無いかと思います。
なお、こちらも上下巻2冊構成です。
追記:番外編3選
以上で枕草子おすすめ8選は終わりなのですが、少々変化球気味ではあるものの、非常に楽しめる書籍もあるので+αとして3冊ご紹介させていただきます。
番外編①枕草子を聴いて楽しみたい方
数多くの書籍を声優やナレーターの方がで読み聞かせてくれる「Amazonオーディブル」でも枕草子(原文)が配信されています。
原文を読もうとすると一瞬で眠くなったりもするのですが、読み聞かせだと古文ならではの軽快なリズムが耳に心地よく、いつまでも聴いたくなります。
Amazonオーディブルでしたら、初回登録は30日間無料で全ての作品が聴き放題です。もし気に入らなかったとしても30日以内に解約してしまえば一切お金はかかりません。
通勤や通学中、家事の合間などのちょっとしたスキマ時間も活用できますので、枕草子を聴いて楽しみたい方にはおすすめですよ。
番外編②小説で枕草子を楽しみたい
本書は枕草子の内容を元にした小説です。物語になっているので、かなり読みやすいです。
作者の田辺さんの文章や表現には、独特の美しさがあり、清少納言が過ごした華やかな宮廷生活を頭に描きながら読み進められるのもおすすめポイントです。
ただ、小説なのでフィクションも含まれているため、本書を読んで枕草子を理解したことにはならないと感じます。あくまで雰囲気を楽しむという方向で楽しんでいただければ嬉しいです。
あと、個人的には枕草子に何が書いてあるか知っていた方が楽しめると思います。
と言うのも、随所に『ここの部分は枕草子のあの章段を元にしているな!』みたいな話がでてくるので、枕草子自体の内容をある程度知っていると、ちょっと優越感に浸れてニヤニヤ出来ますよ。
なお、上下2巻構成です。
番外編③枕草子に隠された清少納言の想いを知りたい方向け
今回ご紹介してきた書籍を通じ、なんとなくでも枕草子の内容が理解出来てきたかなと感じたら、ぜひ本書を手に取って頂きたいと思い、最後にご紹介させて頂きます。
最初にご紹介した漫画2冊「本日もいとをかし!! 枕草子」「まんがで読む 枕草子」のところで触れていますが、枕草子にはその文脈を追っているだけでは決して理解出来ない清少納言の本心が隠されています。
「清少納言が枕草子にあえて書かなかったこと」、そして「とある出来事を経てもなお清少納言が枕草子を書き続けた理由」
本書の内容までを把握して、初めて清少納言が現代に伝えたかったことが理解できます。
繰り返しになりますが、枕草子に触れた際にはぜひ本書の内容にまで辿り着いて頂きたいです。それが清少納言が好きな男としての願いです。
今からでも楽しめる枕草子
以上、社会人からでも楽しめる枕草子厳選8冊でした。
古典というと、どうしてもとっつきづらいイメージがありますが、やっぱり難しいのは事実かと思います。古典を楽しむには原文で読むのが一番だとは思いますが、学生時代に学んでいないと、やっぱり難しいですよね。
僕自身、学生時代に古文を本格的に学んだことはありませんし、今でも中途半端な知識しかありません。
それでも、現代語に訳された書籍から入ることで、枕草子の世界は普通に楽しめています。これは枕草子に限らず、どんな古典でも同じです。
枕草子を読んでみたい・・・でも難しそう・・・古文の知識が無い私には無理かも・・・そんな事はありません。まずは現代語から始めてみましょう。
書いてある内容自体は全然難しくありませんから、現代語でも十分清少納言の ぶっとんだ感性を楽しめるはずです。
千年前の人たちも、僕たちと変わらない日本人・・・現代と何ら変わらない人間臭さを持った1000年前の人たちに、枕草子を通じてぜひ出会いに行ってみませんか?