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『清少納言に恋した男』拓麻呂でございます。
今から約1000年前の平安時代。清少納言という女性が枕草子と言われる作品を書き残しました。この枕草子には、現代にも通じる知恵や共感が沢山詰まっています。
中でも興味深いのが、『モテる男』に関する記事。清少納言という女性の視点から、モテる男の条件が記されているのです。
今回は、その中から現在のLINEとも言える『後朝の文(きぬぎぬのふみ)』に注目してみましょう。
古文? 品詞分解? 歴史的仮名遣い?
そんな専門知識が無くたって『枕草子』は楽しめる!!
1000年前のモテる男はLINE(後朝の文)をどのように駆使して女性の心をつかんでいたのでしょうか?
~平安時代のLINE『後朝の文』~
~後朝の文とは??~
まずは、後朝の文とは何なのかご説明します。
現在では入籍すると、夫婦同居生活が一般的ですが、平安時代の貴族たちは『通い婚』という形をとっていました。『通い婚』とは、昼間は夫婦別の場所で暮らし、夜になると妻の元を訪れ一夜を過ごすというものです。今で言うところの、お付き合いしているカップルと同じような感じだと思って頂ければ大丈夫です。
一夜を過ごした男性は、まだ暗い内に女性の元から去り自宅に帰ります。
そして帰宅後、女性に宛てて手紙を書くことになります。この手紙が『後朝の文』と言われています。
現代でも、デートを楽しんだ後にLINEやメールで「今日は楽しかったよ、ありがとう」みたいな連絡を入れるのは普通のことですよね。1000年前の平安時代も普通の事だったようです。
では次に清少納言は、どのような後朝の文が良いと言っているのか見てみましょう。
~デート後のご挨拶~
基本的に、後朝の文は帰宅した男性が女性に出す手紙です。昨晩の余韻に思いを馳せながら、その思いを手紙にしたためたそうです。
この後朝の文を書く時のモテる男性のあり方を、清少納言は枕草子に書き残しています。僕なりの解釈で、現代風にアレンジしてみます。
早朝に帰ってきて、いきなり寝入ってしまう男は最悪。
眠い目をこすりながらも、硯(すずり)を引き寄せ、念入りに後朝の文を書く姿は実に素敵です。
書き終えた後朝の文を、相応しい人物に預け女性に届けさせる、その者が立ち去った後も昨夜の余韻に浸り、お経などを諳(そら)んじている姿も素敵です。
朝食の準備ができても、余韻に浸り続けている姿にも心惹かれます。
お経を唱えている時に、使いの者が女性からの手紙を携え戻ってきた途端、お経を止めて女性からの手紙に夢中になるのは、ちょっと罰当りですね。でも嬉しい。
~清少納言が語るデート後のLINE術~
このように、デート後のご挨拶は、心を込めて書くことが大事。清少納言は、その女性を第一に考え、後朝の文を最優先する男性に惹かれると言っているのです。
LINEでもメールでも、デート後に送る内容は心を込め書くようにしましょう。そうする事で、女性の心に響き思いが伝わるものだと枕草子は説いているのです。
清少納言さん、参考にさせていただきます!!
※参考:枕草子 一九一段『好き好きしくて独り住みする人の』より
~後朝の文を送らないとどうなるのか?~
枕草子より少し前に書かれたとされる『大和物語』に面白い事が書かれています。それは、後朝の文を送り損ねた男女のすれ違いについて。
ある男性は仕事が忙しく後朝の文を書く暇が無かったそうです。女性は後朝の文を楽しみに待っていましたが、待てど暮らせど一向に届きません。女性は嫌われたと思い、悲しみに暮れ出家してしまいました。
忙しい事を理由にして女性を後回しにすると、このような結果が待っています。デートの後の連絡は帰宅後にすぐ送るようにしましょう。心を込めることを忘れないようにして・・・。
もっと枕草子の世界を覗いてみたい方は、こちらからお好みの記事をご覧ください。

では、今回はこの辺で!ありがとうございました。