源氏物語の作者として名高い紫式部。
2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で取り上げらることもあり、紫式部への注目が集まっています。
しかし、「源氏物語を書いた人」という点があまりにも有名すぎるため、紫式部の生涯は案外知られていません。
そこでこの記事では、紫式部の晩年~最期の部分に焦点をあて、私の生涯の一部をご紹介していきます。
諸説ある紫式部の最期
結論から言ってしまうと、紫式部がいつ亡くなったはわかっていません。紫式部が亡くなったことを明言している記録が、現状においては存在していないためです。
一方で、当時の記録に「紫式部と思われる人物」が度々登場していることから、紫式部の亡くなった時期については、様々な説が提唱されています。
・長和5年(1016年)説
・寛仁元年(1017年)以降説
・寛仁3年(1019年)説
・万寿2年(1025年)以降説
・長元4年(1031年)説
このように、紫式部が亡くなった時期は、最も早く見積もった説で長和3年(1014年)で最も遅く見積もった説で長元4年(1031年)と、約17年もの開きがあるのです。
それだけ、紫式部の亡くなった時期を特定するのが難しいということですね。
紫式部の生存が確認できる最後の記録
ちなみに、確実に紫式部と断定できる最後の記録は、藤原実資という人物の日記「小右記」の中の長和2年5月25日の記述となっています。
この記述の中に一人の女房が登場するのですが、この女房の箇所に注釈があり「越後守為時女」と記されています。
「越後守為時」とは「藤原為時」という人物のことで、「為時女」とは「為時の娘」という意味です。
つまり、小右記の長和2年5月25日の記述に登場する女房とは、藤原為時の娘だったことになります。
そして、この藤原為時こそ紫式部の実父であるため、「越後守為時女」とは紫式部のことであると考えられているのです。
以上の記述が、直接的に紫式部のことを指している最後の記録となります。
とは言え、これ以降にも「紫式部であろう人物」の記録はいくつか残っていて、同年7月5日や8月20日に女房が登場しています。
また、それ以降にも「紫式部かもしれない人物」の記録は散見できるため、紫式部が亡くなった日時には様々な説が錯綜する結果となっているのです。
謎だらけな紫式部の晩年
以上のように、亡くなった時期については諸説ある紫式部ですが、晩年は何をしていたのでしょうか?
実は晩年の動向もよくわかっていません。
ですが、すでに述べた通り、小右記の長和2年5月25日の記述が紫式部を断定できる最後の記録でもあるため、長和3年(1014年)頃には宮廷を去っていたのではないかとも考えらえれています。
しかしながら、紫式部が宮廷を去った時期もハッキリしていないため、結局のところ晩年~逝去までの動向は、ほとんどわかっていないのです。
ただ、小右記の中には、紫式部が藤原実資と彰子(紫式部が仕えた人物)の取次役を務めていた可能性を示す記述があるため、小右記の作者 藤原実資とは親しい間柄だったようです。
なお、紫式部の逝去を最も早く見積もった長和3年(1014年)の時点で、紫式部の年齢は40歳は超えていただろうと思われます。(紫式部は生年も正確にはわかっていません)
紫式部が生きた西暦1000年前後は40代ともなれば、いつ亡くなってもおかしくないような年齢だったので、彰子と藤原実資の取次を行っていた時期が、すでに晩年だった可能性は大いにあり得るのではないでしょうか。
紫式部の死因とは?
亡くなった時期も晩年の動向も、はっきりとはしていない紫式部ですが、もちろん死因もわかっていません。
ただ、すでにお伝えしたように、紫式部の生きた時代は40代で亡くなるのは珍しいことではありませんでした。
生没年がはっきりしないため推測の域はでないものの、紫式部の享年は40代後半~50代あたりだと考えられます。
ゆえに、なにかしらの病で亡くなったと考えるのが自然なのではないでしょうか。
紫式部の晩年まとめ
以上、紫式部の最期や晩年についてでした。
結局のところ、「紫式部の晩年や最期の状況を明確に示す記録が残っていない為よくわからない」というのが現状なのですが、おおよそ以下の説が亡くなった時期としては有力とされています。
・長和5年(1016年)説
・寛仁元年(1017年)以降説
・寛仁3年(1019年)説
・万寿2年(1025年)以降説
・長元4年(1031年)説
紫式部がいつ宮廷を辞し、いつこの世を去ったのか?
源氏物語という超大作を書き上げた才女であるだけに、興味が尽きない話題ですね。
他にも、わたくし紫式部や源氏物語の基本情報やトリビア、紫式部と関係の深かった人物など、紫式部の情報が以下の記事にまとめてありますので、ぜひご覧になってみてください。
最期までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考にした主な書籍】