ツバキ文具店を読了。
本書のポイントをサクッとお伝えすると・・・。
この記事では、ツバキ文具店の大まかな展開や見所、オススメできる人できない人、作品の特徴など、ネタバレを避けつつご紹介していきます。これから読んでみようか悩んでいる方は、ぜひ参考になさってください。
※本記事では、物語の核心に触れるようなネタバレはしていませんが、できるだけ事前情報が無い状態で作品を読みたい方は、自己責任の上、本記事を読み進めて頂くようお願い致します。
書籍データ
書名:ツバキ文具店
著者:小川糸さん
項数:346ページ(文庫)
受賞:2017年本屋大賞4位
【あらすじ】(「BOOK」データベースより引用)
鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙…。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。大切な人への想い、「ツバキ文具店」があなたに代わってお届けします。
【筆者の所感】
本書の主人公は、ツバキ文具店を営む傍ら、代書屋を兼業している「鳩子」、通称「ポッポちゃん」。「代書」とは誰かの代わりに手紙を書くお仕事です。本書のタイトルには「文具店」とありますが、物語のメインはポッポちゃんの代書業のお話となっています。
全体的には温もりに包まれるような優しい物語になっているので、その辺を詳しくご紹介していきます。
こんな人にオススメ
「ツバキ文具店」をおすすめしたい方を3つのポイントに絞ってお伝えします。
- 人の優しさに触れたい
- 優しい物語が好き
- 鎌倉在住
おすすめ① 人の優しさに触れたい
今は亡き先代である祖母から代書業を継いだポッポちゃんは、手紙を通じて様々なご近所さんと繋がっていきます。本書の特徴のひとつが、そのユニークなご近所さんたちです。ポッポちゃんはツバキ文具店にやってくる様々なお客さんから代書の依頼を受けるのですが、どの依頼主もかなり個性的なキャラクターなうえ、「マダムカルピス」や「男爵」、「QPちゃん」など、その呼び名もかなりユニークです。
そのような個性的な登場人物たちですが、どの人たちも優しくて、読んでいて不快に感じるような人は登場しません。癖は強いですが、必ず「優しさ」を持っている人たちばかりです。
優しさを持つご近所さんたちが、それぞれの「想い」を持ってポッポちゃんに代筆を依頼しにやってきます。昨今では忘れられがちな「人との繋がり」の素晴らしさを強く感じさせてくれる優しいストーリーです。
おすすめ② 優しい物語が好き
おすすめ①でも触れた通り、登場人物が個性的であるつつもいい人ばかりなので、物語自体も終始優しい雰囲気に包まれています。そして「手紙」という、最近では書く人も少なくなってきたツールが物語のメインに据えられているので、昔懐かしい手紙の持つ独特の温もりを感じることができます。
また、ポッポちゃんが代筆した手紙は、実際の手紙をそのまま掲載しているような見せ方になっていて、本当に手紙を読んでいるような気持になります。
ずっと温かい物語が続きますので、優しい展開を求めている方、心温まる展開を求めている方には特におすすめです。
おすすめ③ 鎌倉在中
ツバキ文具店は神奈川県の鎌倉が舞台になっています。登場するお店や神社仏閣などは実在するものとのことなので、鎌倉に住んでいたり、過去に住んでいたなど土地勘のある方は、さらに楽しめるかもしれません。
あるいは、作中には鎌倉グルメもたくさんでてくるので、登場するお店を目指して鎌倉を旅してみるのも楽しいかもしれませんね。
オススメできないケース
逆に「ツバキ文具店」は「ハラハラどきどきのスリル感ある作品が読みたい」といった方には、あまりおすすめできないかもしれません。
ここまでお伝えした通り、全体が優しい雰囲気なのでスリリングな展開はほとんどありません。そこまで物語の起伏がある作品ではないので、手に汗握る小説を読みたい場合は、他の作品を読むのをおすすめします。
「ツバキ文具店」感想Q&A
【Q1】読後感は良い?悪い?
これまで度々お伝えしている通り、全体的に優しい物語なので読後感はかなり良いです。ラストに大どんでん返しが・・・といった作品ではありませんが、爽やかな余韻を読了後に感じさせてくれる作品だと感じました。
読書で「癒し」を求めている方には、ぜひ読んで頂きたいです。
【Q2】感動できる?
感動します。とくに、ラストでポッポちゃんがとある人物に宛てて書いた手紙は本当に感動しますよ。
【Q3】読みやすさはどう?
難解な表現などは特にないので、日本語がわかる方ならどんな方でも問題なく読めると思います。読書初心者の方でも問題ありません。
【Q4】登場人物に魅力はある?
どの登場人物も魅力の塊でクセも強めです。またキャラクター的な面だけでなく、呼び名も個性的なニックネームなので一度登場すると頭に残りやすく、誰が誰だかわからなくなるということも少ないのではないでしょうか。
【Q5】物語への没入感は?
物語の起伏が少ないので、読んでいて退屈するのではないかと思われるかもしれませんが、本書は登場人物が魅力的なことに加え、それぞれが「想い」を持って代筆を依頼してくるので、「ポッポちゃんがその「想い」にどのような手紙で応えていくのか?」という大きなわくわくがあります。
また、手紙を通じポッポちゃん自身の過去が少しずつ明らかになってくるので、没入感はかなり強い作品となっていますよ。
総評とまとめ
本書はとにかく「人の優しさ」や「手紙の温もり」に満ち溢れた作品です。
「手紙」と聞くとなんだか古臭いというか、「メールでいいじゃん」という発想になってしまいがちですが、手紙だからこそ伝わる想いや感情があるんだなと再認識させてくれた作品でした。
ネット社会の現代では希薄になりつつある「人と人とのリアルな繋がり」も、希薄になりつつあるからこそ意識して大事にしていく必要があるのかなとも感じました。
優しい気持ちになりたい方はぜひ読んでみてください。
【文庫】
【単行本】