「同志少女よ、敵を撃て」ネタバレなしの書評とおすすめポイントご紹介

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書評・レビュー

同志少女よ、敵を撃てを読了したので、ネタバレなしでレビューしていきたいと思います。

本書のポイントをサクッと一言でお伝えすると・・・。

同志少女よ、敵を撃てのポイント
緊迫感溢れる戦場の描写と魅力あふれる登場人物。そして主人公セラフィマにとっての本当の敵とは?

 

この記事では、これから「同志少女よ、敵を撃て」を読んでみようか悩んでいる方向けに、

・オススメできる人できない人
・大まかな展開や見所
・作品の特徴

などネタバレを避けつつご紹介していきます。

本記事を読み終わる際に、あなたが本書を手にするかどうかの指針になれば幸いです。

 

※本記事では、物語の核心に触れるようなネタバレはしていませんが、できるだけ事前情報が無い状態で作品を読みたい方は、自己責任の上、本記事を読み進めて頂くようお願い致します。

 

書名:同志少女よ、敵を撃て

著者:逢坂冬馬さん

項数:496ページ(単行本)

受賞:第11回アガサ・クリスティー賞大賞

【あらすじ】(本書カバーより引用)
独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

【筆者の所感】

まず初めに、本書は第二次世界大戦のソ連vsドイツの戦いを扱った作品なので、ある意味では歴史ものと言えなくもないですが、歴史の知識が全く無くても十分に楽しめます。

 

母親を始めとする故郷の人々をドイツ軍に殺害されてしまう中、唯一生き残ったセラフィマという少女が本書の主人公。

天涯孤独となったセラフィマは、狙撃兵の訓練学校に入り狙撃を学び、タイトルにもある「敵」を撃つため、過酷な戦場へと赴くのですが・・・

 

こんな人にオススメ

「同志少女よ、敵を撃て」をおすすめしたい方を3つのポイントに絞ってお伝えします。

あなたにおすすめしたい3つのポイント
  • 緊迫感ある描写が好き
  • がっつりした読み応えのある作品が読みたい
  • 魅力ある登場人物たちの描写

 

おすすめ① 緊迫感ある展開が好きな方

「緊迫感ある展開が好きな方」へのオススメ度★★★★★

「同志少女よ、敵を撃て」の舞台は、第二次世界大戦のソ連vsドイツの戦時下。そのような中で、故郷を襲撃され母親や村人たちを失った主人公セラフィマが、狙撃兵となって故郷を襲撃したとあるドイツ狙撃手に復讐を果たそうとする物語です。

 

ゆえに、セラフィマを含めた狙撃兵たちの狙撃シーンが多く描かれています。その狙撃シーンの緊迫感が凄まじいです。

 

セラフィマたちだけ敵に狙いを定めているのではなく、敵もセラフィマたちに狙撃しようとスコープを覗いています。

まさに手に汗握る展開で、「一瞬の判断の誤りが自らの死を招く」といった描写にリアリティがあり、緊迫感がダイレクトに伝わってきます。

 

おすすめ② 読み応えのある作品が好

「読み応えのある作品が好きな方」へのオススメ度 ★★★★☆

本書は単行本で約500ページ近くあるため、結構なボリュームがあります。加えて、戦時下を描いた作品のため、決して爽やかな作品ではありません。どちらかというと重い内容の作品です。

なので、読み応えがかなりあります。

 

さらに前述の緊迫感も相まって、各章を読み終わる度、良い意味で疲れる作品でした。

 

おすすめ③ 主人公セラフィマの本当の敵とは?

「本当の敵を知りたい方」へのオススメ度 ★★★★★

本書のタイトルにもなっている「敵」。ここが本書のキーポイントです。あらすじにはこうあります。

母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。

この一文から察するに、主人公のセラフィマの「敵」は「母を撃ったドイツ人狙撃手」と「母の遺体を焼き払ったイリーナ」という2名になるわけですが・・・

 

一方で、あらすじの最後にはこうも書いてあります。

おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

このセラフィマにとっての“真の敵”も、「同志少女よ、敵を撃て」の大きな見所となっています。

 

セラフィマにとっての真の敵・・・ぜひ、本書を読んでご自身の目で確かめてみてください。

 

オススメできないケース

おすすめできないケースは以下の2点です。

  • 残酷描写が極度に苦手な方
  • 史実との違いを気にされる方

 

冒頭でもお伝えした通り「同志少女よ、敵を撃て」は、第二次世界大戦のソ連vsドイツの戦いが舞台となっているため、それなりに犠牲者がでますし、ショッキングな描写が無いわけでもないです。

なので、そういったショッキングなシーンが極度に苦手な方には向かないかもしれません。

 

また、本書のような歴史を扱った小説にはよくあるケースなのですが、史実との違いを指摘して作品の評価を下げる方がいます。某ショッピングサイトのレビューでも、そういった読み方をして酷評している方がいますが、こういった評価は参考にならないと筆者は考えています。

もちろん実際に起こった出来事や、一部実在の人物も登場しますが「小説」である以上、あくまでフィクションとして読むことを推奨します。(実際、巻末にフィクションと明記してあります。)

 

なので、「史実はこうだから」とか「ここが間違ってる!」といった部分を重視する方、あるいは本書で歴史を学ぼうと考えている方にはおすすめできません。

 

「同志少女よ、敵を撃て」感想

読後感は良い?悪い?

これまでもお伝えした通り、戦時下の重たい内容ではあるのですが、意外にも読後感は悪くないです。めちゃくちゃ感動するというわけではないのですが、読了後に暗い気持ちになるようなことはありませんでした。

 

なので、バッドエンドが苦手な方でも安心して読破できますよ。

 

魅力的な登場人物たち

「同志少女よ、敵を撃て」で強く感じたことのひとつが、魅力的な登場人物たち。

登場人物ひとり一人が非常に個性的で、それぞれ性格が非常によく描写されていました。

 

複数人の人物が登場する作品は多いですが、それなりの主要登場人物がいる中、それぞれのキャラがここまで際立っていて、しかも魅力的な作品はあまり見かけない気がします。

 

筆者的には、セラフィマと同い年の戦友にして、背が小さくて人形のような顔をした明るい金髪少女「シャルロッタ」がお気に入りでした。なお、本書に登場する狙撃手「リュドミラ」は実在の人物で、女性の名スナイパーとして名を残しています。

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総評とまとめ

以上、「同志少女よ、敵を撃て」のネタバレなしデビューでした。

とにかく緊迫感のある手に汗握る展開、そして魅力あふれる登場人物たち。個人的にはこのあたりが本書で最も楽しめた部分でした。

 

戦時下を描いた作品なので悲しいシーンもあったりしますが、重厚な作品が読みたい方にはぜひ一度読んでみてください。おすすめです。