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『和気清麻呂を多くの人に知ってもらいたい』拓麻呂です。
権力ある者が悪事を働いたとき。悪いことだと分かっていても、物申すのはかなりの勇気を必要とします。
長いものに巻かれるのは、ある意味間違ったことではないでしょう。
しかし奈良時代末期、一人の男がある権力者の大嘘を真っ向から否定する出来事がありました。
その男の名は『和気清麻呂(わけのきよまろ)』
この一件で清麻呂は日本史における英雄となります。
彼の勇気ある行動がなければ、日本は現存する世界最古の国を維持出来なかったかもしれないのです。
正義は勝つ。今回は清麻呂の勇敢な行動に迫ってみましょう。
日本の英雄『和気清麻呂』
天皇に愛される僧侶『道鏡』
奈良時代後期、時の天皇は称徳(しょうとく)女帝。奈良時代は女性天皇が多数登場する時代でもあります。
称徳天皇は一人の僧侶を非常に寵愛していました。僧侶の名は『道鏡(どうきょう)』。
この道鏡が権力を我が物とする為、ある悪事を働くことになるのです。
道鏡の陰謀
男女の仲になった称徳天皇と道鏡。称徳天皇に愛された道鏡は、法王という僧侶の最高権力とも言える称号を与えられます。
こうなると道鏡の権威は高まる一方。慢心した彼は、日本史における最大の禁じ手に出てしまうのです。
時期天皇の座を我が物に・・・
こう考えた道鏡は、ありもしない大嘘を付き始めるのです。
宇佐八幡宮のご神託
道鏡の嘘。それは大分県の宇佐八幡宮のご神託です。
『道鏡を次の天皇に付ければ日本は安泰である、道鏡を時期天皇に据えるべきである』
このような神勅が下ったと言うのです。
権威ある者の発言というのは、たとえ嘘であっても事実であるかのような現象が生じます。権威に抵抗できない現実が、事実であるかのような流れを作り出してしまうのです。
称徳天皇は事実を確かめる為、一人の男を宇佐八幡宮に遣わします。この役に任命されたのが和気清麻呂です。
嘘を暴く清麻呂
清麻呂はご神託の真実を確かめる為、宇佐八幡宮に向います。宇佐八幡宮に到着した清麻呂は真偽を問います。
結果は・・・
『嘘』やはり、道鏡は嘘を付いている。
帰国後、清麻呂は称徳天皇に真実を伝えます。『ご神託は全くの大嘘』であると・・・
嘘を暴かれた道鏡は怒り狂います。時の権力者である道鏡の怒りを買った清麻呂は左遷され失脚してしまいました。しかし、嘘が公になってしまったことで道鏡の権威は低下していき、歴史の表舞台から姿を消すことになります。
そして清麻呂は道鏡の企みを暴いた英雄として表舞台に復帰することになるのです。
権威に屈せぬ勇気
清麻呂は道鏡の嘘を知り、宇佐八幡宮から帰国する時どのような心境だったのでしょうか。
何しろ相手は天皇の信頼を得た権力者です。
『ご神託は本当だった』と言えば道鏡の怒りを買うこともなく、清麻呂自身の立場も安泰だったはずです。
しかし、清麻呂はそうはしませんでした。
権威を恐れず真実を伝えた清麻呂の行動により天皇の血筋は守られました。
そして皇統は現代まで続き、日本は現存する最古の国になることが出来たのです。
その後、清麻呂は都が平安京に移る際にも重要な役割をなし、歴史に名を残すことになるのです。
お札と銅像にもなっていた和気清麻呂
今回取り上げた和気清麻呂ですが、現在の知名度はあまり高くありません。
また、道鏡事件と言われる一連の流れにも様々な解釈が存在しています。
しかし清麻呂が取った行動は、歴史の大きな分岐点でした。清麻呂が道鏡の嘘を暴かなかったら、その後の歴史は大きく変わっていたことでしょう。
ところがこの清麻呂、戦前は誰でも知っている超有名人だったようです。
当時の10円札になっていたと言うのですから相当な有名人です。
そして、この清麻呂、実は銅像にもなっています。
その銅像は現在の皇居の傍らに建てられました。
現存する世界最古の国 日本を、そして現在まで続く皇室の血統を守った和気清麻呂は今なお、皇居の側近くで、日本の行く末を見守り続けています。
では、今回はこの辺で!ありがとうございました。