枕草子 八四段『里にまかでたるに』簡単解説!ワカメ事件とは何だったのか?

ご来訪ありがとうございます!

『清少納言に恋した男』拓麻呂でございます。

ワカメ事件

今回は、枕草子に記されたこの事件を取り上げます。

枕草子の作者『清少納言』と彼女の元夫『橘則光(たちばなののりみつ)』が繰り広げたちょっと笑えるお話です。

古文? 品詞分解? 歴史的仮名遣い?

そんな専門知識が無くたって『枕草子』は楽しめる!!

元夫婦である2人に何があったのか?早速、見ていく事にしましょう。

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~ワカメ事件とは何なのか?~

ワカメ事件の背景

枕草子である清少納言は宮廷に出仕していましたが、ある一時期、故郷に帰っていた時期があります。

彼女が仕える『定子(ていし)』様が男たちの政争に巻き込まれ、清少納言にもあらぬ噂が立ち身を隠していたのです。

この辺の詳細はこちらをご覧ください。

枕草子に隠された秘密・・清少納言が定子に捧げた悲しみのエッセイ
清少納言が残した『枕草子』。世界最古の女流エッセイと言われる枕草子が書かれた意図は何だったのでしょうか?そして清少納言はどのような想いで日々の日常を綴っていたのでしょうか?その背景には、権力闘争に巻き込まれた二人の女性の姿。底抜けに明るい枕草子の裏に秘められた悲しい現実。そんな枕草子の本質に迫ってみましょう。

なお、枕草子はこの里帰りの最中に書き始めたられたと伝わっています。

この時、清少納言の居場所を知っていたのは彼女と親しいごくわずかな人だけでした。

一人は、『源経房(みなもとのつねふさ)』。枕草子を持ち出して世に広めた人です。

そして、もう一人が清少納言の元夫『橘則光(たちばなののりみつ)』です。

清少納言の居場所を問い詰められる則光

この時、清少納言の居場所を知らず、気にしていたのが『藤原斉信(ふじわらのただのぶ)』

清少納言とはお互いの教養を認め合うライバルのような男です。

斉信はライバル清少納言がいなくなってしまい、なんとなく寂しい思いをしていたのでしょう。則光や経房に彼女の居場所を問い詰めます。

しかし、清少納言の居場所を教えるわけにはいきませんでした。人付き合いを煩わしく思っていた清少納言に固く口止めされていたからです。

しらばっくれる経房と則光。ところが斉信の追求はいよいよ激しさを増してきました。

それでも『知らない』と言い張る則光と経房。

引き下がらない斉信。

答えるわけにはいかない則光と経房。

しつこく聞いてくる斉信。

このようなやり取りの中、則光は嘘をつき続けていることが可笑しくなってきました。そんな則光は隣で知らんぷりして澄ましている経房を見て、思わず吹き出しそうになります。

「やばい・・・」

そう思った彼は思わぬ行動に出ました。

目の前の机に置いてあった大量のワカメ。

則光は目の前のワカメを鷲掴みにし、口いっぱいに詰め込んだのです。

あっけにとられる経房と斉信。

「何してんだ、こいつ??」

きっと彼らはこう思ったことでしょう。

しかし、この珍妙な行動により、則光はこの難局を乗り切ることができました。

清少納言と橘則光のやりとり

後日、清少納言の元を訪れた則光は、この出来事を彼女に伝えました。清少納言は呆れながらも、再度口止めします。

それから数日たったある日・・・則光から手紙が届きました。

その手紙にはこのように書かれていました。

「斉信様がしつこく聞いてくるので、もうバラしてもいい?」

斉信は相変わらず清少納言の居場所を気にしていたようです。

清少納言はこの手紙に返事をするのですが、手紙の代わりにワカメの切れ端を送り返しました。

これは、則光からワカメの話を聞いた清少納言の、ちょっと趣向を凝らしたお返事でした。

つまり『また斉信に問い詰められたらワカメを口に入れて黙っていてね』という事です。

ワカメの意図に気づかない則光

後日、則光からまた手紙が届きました。

その手紙にはこのように書かれていました。

「ワカメが届いたけど、あれな何??こっちは大変な目にあっているのに」

則光は、清少納言の洒落た返事の意味を全く理解していませんでした。

この手紙を読んだ清少納言は、則光と離婚したキッカケを思い出します。

『則光は悪い人じゃない・・でも何か合わない。鈍いと言うか鈍くさいと言うか・・。嫌いじゃないけどやっぱり合わない・・・』

なお、知的で博識な清少納言に対し、則光は実直な体育会系と伝わっています。憎しみがあった訳ではないですが、根本的に人間性が違っていたんだろうと思われます。

則光と縁を切った清少納言

則光に愛想をつかした清少納言。

彼女は則光に和歌をしたため送りました。和歌は当時の貴族には欠かせぬ教養です。

ところが、則光は真っすぐな性格の体育会系で教養に乏しく、相当な和歌嫌いだったと伝わっています。

なので清少納言と則光の間では、和歌は絶交の合図とされていたようです。

彼女は和歌を送り、則光との縁を切りました。

離婚後も、仲の良い友達のような関係が続いていた清少納言と橘則光。

しかし、彼女の和歌によってその関係は終わってしまったのです・・・。

ワカメが原因で・・・

参考:枕草子 八四段『里にまかでたるに』より

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ワカメ事件から見えてくる橘則光の人物像

これが枕草子に記された『ワカメ事件』の一部始終です。

清少納言と橘則光の元夫婦が繰り広げるドタバタ劇のような内容ですが、このエピソードからひとつ大事な事が見えてきます。

それは、橘則光という男性の人物像。

彼は前述のように、実直な体育会系。職業は検非違使(けびいし)、当時の警察です。三人の盗賊に襲われながらも、一人で切り抜けた武勇伝も伝わっています(今昔物語集)。

そんな武勇に優れた豪傑『橘則光』ですが、どうゆう訳か枕草子では、完全なお笑い担当。

今回のワカメ事件以外にも、清少納言の良い評判を聞きつけた則光が、元夫として自分のことのように喜んでいるエピソードもあります。

これは、元夫婦という非常に近い関係であった清少納言が見たプライベートな則光の姿だったのではないでしょうか?

清少納言の居場所を知っている数少ない親しい関係だったからこそ描き出せた豪傑『橘則光』の素の部分。

枕草子に登場する人々。そんな彼らが表舞台では決して見せないプライベートな一面。

華やかな貴族たちの素の姿が垣間見えるのも、枕草子の面白さのひとつだと僕は考えています。

是非あなたも枕草子を手に取り、平安貴族たちのプライベートを覗いてみましょう。

枕草子に初めて触れる方には、この一冊がおススメです!

もっと枕草子の世界を覗いてみたい方は、こちらからお好みの記事をご覧ください。

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では、今回はこの辺で!ありがとうございました。


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