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『清少納言に恋した男』拓麻呂でございます。
世界最古のエッセイと言われる『枕草子』。著者の清少納言はこのエッセイの中で、1000年前の様々な事柄を取り扱っています。
今回はその中から平安時代の【遠くて近いもの】を見ていきます。
古文? 品詞分解? 歴史的仮名遣い?
そんな専門知識が無くたって『枕草子』は楽しめる!!
この【遠くて近いもの】は、清少納言の若かりし頃に体験した出来事から連想してものだと思われます。
~清少納言が遠くて近く感じるものとは~
遠くて近いもの その1【船旅】
まずはこちら
【船旅】
これは、清少納言の父【清原元輔(きよはらのもとすけ)】が周防国(すおうのくに、現在の山口県あたり)に赴く際、一緒について行った彼女の体験談が反映されているようです。
清少納言が幼少期に父と暮らしていたのは京都です。京都から山口に向かうには、瀬戸内海を船で経由する必要があります。
当時の船旅は、現在のような優雅なものではなく、風雨に晒されながらの危なっかしいものだったと思われます。
自動車や新幹線、高度な造船技術もない時代の旅ですから、京都~山口間は非常に遠く感じたのでしょうが、危険な目に合いつつハラハラドキドキしながらの船旅は、思いのほか時間が短く感じた・・・ということではないでしょうか。
遠くて近いもの その2
二つ目はこちらです。
【極楽】
これはどういう意味なんでしょうか?僕の解釈はこうです。
極楽というものは、どこに存在するのだろう・・・見当がつきません。目に見えることのない極楽は、はるか彼方の世界と言えるでしょう。
誰にでも必ず寿命はあります。人は誰でも信仰心をもって仏様に念ずれば、極楽へ行ける可能性がある。つまり近い存在でもある。
きっと、このような意味ではないでしょうか。
遠くて近いもの その3
最後はこちら。
【男女の仲】
なにやら意味深ですね。
どうやらこれは、清少納言の最初の夫【橘則光(たちばなののりみつ)】との夫婦関係が元になっているようです。
この橘則光のいう人物は、実直な体育会系だったようで、学識高い清少納言とはあまり相性が良くなかったと言われています。結局、夫婦のすれ違いにより清少納言は離婚してしまいます。
しかし則光の事を、どこか憎めないとも感じていたようで離婚後も一定の付き合いがあったようです。今風に言えば、『別れても友達でいようね』みたいな感じでしょうか。
気が合わないから離婚したけど、結局友達のような関係になり縁が切れなかったことで、男女の仲は遠くて近いと表現したのではないでしょうか。
清少納言自身のほろ苦い経験からきているのですね。
※参考:枕草子 一六七段『遠くて近きもの』より
~橘則光について~
清少納言の最初の夫である橘則光ですが、本文でも触れたように体育会系であまり教養が無かったようです。そのことがキッカケで清少納言に愛想をつかされ離婚するのですが、枕草子ではこの則光が、ちょいちょい登場します。
中でも興味深いのが『ワカメ事件』と言われる則光の珍妙なエピソード。
この『ワカメ事件』は清少納言と則光のコントのような実に楽しいお話になっています。枕草子って楽しい古典です。是非、一度手にとってみてください。
もっと枕草子の世界を覗いてみたい方は、こちらからお好みの記事をご覧ください。
では、今回はこの辺で!ありがとうございました。