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『清少納言に恋した男』拓麻呂です。
清少納言の枕草子。
約300段から成るこの作品には様々な事が書いてあり、どこに注目して読んで行けば良いのか分からなくなる時があります。
随筆という構成上、どこから読んでも内容がわからなくなるということはあまり無いのですが、注目しておきたいポイントというものは存在します。
それは清少納言と定子が登場するエピソード。
彼女たちのやりとりが微笑ましく展開するエピソードは、清少納言と定子の性格が伝わってきて、とても楽しく読み進める事ができます。
今回は、そんな清少納言と定子の性格が伝わってくるオススメ章段のご紹介です。
目次
清少納言と定子のオススメ章段
九三段『無名といふ琵琶の御琴を』
まずはこれです。
九三段『無名といふ琵琶の御琴を』
この章段は最大の見どころは、定子のセンスあふれるダジャレの切り返しです。
定子は皇后という高貴な立場であり、その生活の場は当然ながら宮廷です。
さぞかし、堅苦しい空間で生真面目な生活を送っているかと思いきや、定子の性格はその堅苦しさを全く感じさせないものでした。
夫の一条天皇が所持していた楽器の名前もモジったりして、会話の中にダジャレを織り交ぜてくる定子の姿は、ちょっとお茶目な愛らしい性格の女性。
皇后という高貴な立場でありながら、ちょっとシュールな冗談を言ってのける定子の性格が伝わってきます。

また、この章段では清少納言が定子の冗談を称賛しています。
こんなところからも、清少納言が定子を慕っていたことがわかったりします。
九九段『五月の御精進のほど』
続いては、枕草子九十九段『五月の御精進のほど(さつきのみそうじのほど)』
個人的にトップ3に入る好きな章段です。
この章段では、ホトトギスの声を聞きに、ちょっとしたお出かけをする清少納言の姿から始まります。
そして、風流なホトトギスの声を聴いて和歌を詠もうとするのですが、事あるごとに他に目移りし、いたずら三昧・・・結局、清少納言は和歌が詠めないまま帰ってきてしまい、定子に呆れられるお話・・・
と思いきや、終盤で清少納言の意外なコンプレックスが判明します。
しかし最後の最後で、定子の心優しい気遣いが清少納言を優しく包み、コンプレックスの壁を崩すのです。
ちなみに、清少納言のコンプレックスは・・・こちらで是非確認してみてください。

ヒントは和歌です。この章段自体、実は一貫して和歌がテーマになっていて、物語としての構成もとても面白いですよ。
一八四段『宮に始めて参りたるころ』
続いてはこれ。『宮に初めて参りたるころ』
簡単に言うと、清少納言が定子の元に仕えてまだ間もない頃の回想録です。
僕は約三〇〇段から成る枕草子の中でも、この章段が一番好きです。
枕草子全体から感じる清少納言のイメージは気が強くて自慢ばかりする、ちょっと性格の悪い女性。
しかし、この章段では打って変わって、とても弱い清少納言の姿が描かれています。
緊張して泣きそうになったり・・
隙を見て逃げ出そうとしたり・・
定子の兄と話すことになりパニック状態に陥ったり・・
この章段を知ることで、清少納言も普通の女性だったことが分かります。

そして、テンパる清少納言を気遣う定子の姿が随所に散りばめられています。
この章段でも、定子は優しい姫君として振舞い続けています。
二九九段『雪のいと高う降りたるを』
最後はこれです。
『香炉峰の雪』という名称で呼ばれる枕草子の中でも非常に有名な章段です。
外に雪が高く降り積もったある日の出来事が書かれています。
この章段にこそ、清少納言と定子の関係、そして清少納言が定子を慕う本当の心が隠されています。
この章段にこそ、清少納言が枕草子を書いた本質が隠されています。
そんな清少納言の本当の想いを知りたい方はコチラをご覧ください!

春はあけぼのだけじゃない枕草子
枕草子と言うと、どうしても『春はあけぼの』ばかりが注目されがちです。

春はあけぼのも情景描写としてはとても素晴らしい章段ですが、枕草子にはもっと面白く興味深いエピソードがたくさん詰め込まれています。
千年前の難しい古典という考えは、ちょっと横に置いておいて、少しおてんばな女性が書いた日記として楽しむと、現代人でも共感できるとっても面白い内容が目白押しですよ。
では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。