古事記のイザナギ&イザナミの子供を家系図で解説!ヒルコやアマテラスなど

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日本神話

『イザナギ(伊耶那岐神)』『イザナミ(伊耶那美神)』は、日本神話における非常に重要な神様です。

 

イザナギとイザナミは神話の序盤に登場し、日本の国土とたくさんの神々を産んでいきます。その神々たちは山の神様、海の神様、風の神様、穀物の神様など実にバラエティに富んでいます。

ただ、いかせん数が多く、どんな神様がいたのか把握しづらいもの事実です。

 

この記事では、

イザナギとイザナミは、どんな神様たちを産んだのか?

を、系図付きでわかりやすく解説します。

 

また、イザナギとイザナミの子供の中には、後に活躍する神様もいれば、その後一切登場しない神様もいたりと扱いに差があるため、特に重要な神様に関しては、簡単な解説も付記していきます。

 

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イザナギとイザナミの子供たち

イザナギとイザナミ

イザナギとイザナミが神様を産んだ(神様が成った)タイミングは、大きく4段階に分類できます。

  1. イザナギとイザナミの国生み
  2. イザナギとイザナミの神生み
  3. イザナミ臨終の時
  4. イザナギが禊をした時

 

この中で『1』の『国生み』は日本の国土を産んだ神話なので後述するとして、まずはイザナギとイザナミから成った神様を中心に見ていきたいと思います。

※神様は『男女の交わりによって生まれる』という人間の概念が当てはまらない場合もあるため、状況に応じて『神様が成る』と表現する場合もあります。

※神様は『一柱、二柱、三柱・・・』と数えます。

 

神生みで成った神様

まずは、イザナギとイザナミによる男女の交わり(神生み)で成った神様たちです。全17柱の神様たちです。

神生みで最初に成った神様

大事忍男神(オオコトオシオノカミ)
古事記では、神生みで成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンは無し。『大事を成し遂げる神様』、『威力の神様』とされています。

 

住居に関わる六柱の神様(家宅六神)

石土毘古神(イシツチビコノカミ)と石巣比売神(イワスヒメノカミ)は石の神様とされている。

以下は、神生みで成った住居に関わる神様6柱の簡単な解説です。この6神は『家宅六神』と呼ばれています。古事記では神生みで成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンはありません。(大屋毘古神(オオヤビコノカミ)のみ、後に神名だけ再登場する)

 

石土毘古神(イシツチビコノカミ)
神生みでは2番目に成った神様。その神名が示す通り、土や石を神格化した神様とされています。

 

石巣比売神(イワスヒメノカミ)
神生みでは3番目に成った神様。岩や砂を神格化した女神様とされています。

 

大戸日別神(オオトヒワケノカミ)
神生みでは4番目に成った神様で、男女の性別は不明。戸の出入り口を神格化した神様とされています。

 

天之吹男神(アメノフキオノカミ)
神生みでは5番目に成った神様。屋根を神格化した神様とされています。

 

大屋毘古神(オオヤビコノカミ)
神生みでは6番目に成った神様。家屋を神格化した神様とされています。

家宅六神は神生みで生まれた神様として神名だけ紹介され、以後神話には全く登場しないのですが、大屋毘古神(オオヤビコノカミ)のみ、神名が2度登場します。

大国主(オオクニヌシ)が実兄たちに殺害されそうになった際、逃げる先として『大屋毘古神(オオヤビコノカミ)のところへ逃げなさい』とオオクニヌシの母がその名を挙げています。

 

風木津別之忍男神(カザモツワケノオシオノカミ)
神生みでは6番目に成った神様です。諸説あるものの、その神名から風を神格化した神様ではないかとされています。

 

海に関わる三柱の神様

大綿津見神(オオワタツミノカミ)は海の主宰神と考えられている

大綿津見神(オオワタツミノカミ)
『ワダツミ』の神名でも知られる海の神様。海の主宰神と考えられています。

古事記では『海幸彦と山幸彦神話』に登場し、娘たちをニニギノミコト(アマテラスの孫で地上世界に降臨した神様)の息子(山幸彦)と孫(ウガヤフキアエズノミコト)に嫁がせています。そしてウガヤフキアエズノミコトの子供が初代神武天皇です。

つまりオオワタツミは、神武天皇から見て母方の曽祖父(祖父)にあたります。

 

速秋津日子神(ハヤアキツヒコノカミ)
古事記では神生みで成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンはありません。

速秋津比売神(ハヤアキツヒメノカミ)と対になる神様で、ハヤアキツヒメとの間に八柱の神様が生まれています。この八柱も全て水を神格化した神様です。

 

速秋津比売神(ハヤアキツヒメノカミ)
速秋津日子神(ハヤアキツヒコノカミ)と同じく、古事記での活躍シーンはありません。

速秋津日子神(ハヤアキツヒコノカミ)と対になる神様で、ハヤアキツヒコノカミとの間に八柱の神様が生まれています。この八柱も全て水を神格化した神様です。

 

大地に関わる四柱の神様

大山津見神(オオヤマツミノカミ)は山の主宰神と考えられている。

志那都比古神(シナツヒコノカミ)
古事記では神生みで成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンはありません。風を神格化した神様とされています。

 

久久能知神(ククノチノカミ)
古事記では神生みで成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンはありません。性別は不明。木を神格化した神様とされています。

 

大山津見神(オオヤマツミノカミ)

山の神様。古事記での目立った活躍はありませんが、オオヤマツミの子供や孫が重要な役割を果たしています。

オオヤマツミの孫にあたる『クシナダヒメ』はヤマタノオロチ神話のヒロインとして登場し、スサノオの妻になります。

また娘の『コノハナノサクヤビメ』はたいへん美しい女神として登場し、天孫降臨で地上に降り立ったニニギノミコトに嫁いでいます。

 

鹿屋野比売神(カヤノヒメノカミ)
古事記では神生みで成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンはありません。草を神格化した女神様とされています。『野椎神(ノヅチノカミ)』という別名を持っています。

 

生産に関わる三柱の神様

大宜都比売神(オオゲツヒメノカミ)は穀物の神様とされている。

鳥之石楠船神(トリノイワクスフネノカミ)
船を神格化した神様で、別名『天鳥船神(アメノトリフネノカミ)』。

古事記では『国譲り神話』にて、タケミカヅチと共に天上世界(高天原)の使者として、出雲を統治していたオオクニヌシの元に遣わされています。

 

大宜都比売神(オオゲツヒメノカミ)

穀物や養蚕を神格化した神様。

オオゲツヒメはスサノオを饗応した際に、口や尻から食べ物を出したため、汚らわしいという理由で斬り伏せられてしまいます。その亡骸からは麦や粟、小豆、大豆、蚕などが生まれ、その種が地上世界に授けられました。

この神話からオオゲツヒメは『五穀の起源』、あるいは『生命循環』を司る神様と考えられています。

 

火之夜芸速男神(ヒノヤギハヤオノカミ)
『カグツチ』の神名でも知られる火の神様。

神生みで最後に成った神様なのですが、『火の神』という性質上、生まれてくる時にイザナミの性器を焼いてしまいました。大火傷を負ったイザナミは、それが元で亡くなりました。

最愛の妻を亡くし怒り狂ったイザナギによって、カグツチは首をはねられてしまいました。

 

イザナミ臨終の際に成った神様

上記の通り、火の神様であるカグツチを産んだ際に、イザナミは大火傷を負ってしまいます。その際、イザナミは嘔吐や排泄をし、火傷に苦しめらながら亡くなりました。

この時の嘔吐物や排泄物からも神様が成りました。

この全6柱の神様は、古事記ではイザナミの嘔吐物などから成った神様として神名が紹介されているのみで活躍シーンはありません。

  • 金山毘古神(カナヤマビコノカミ)
  • 金山毘売神(カナヤマビメノカミ)
  • 波邇夜須毘古神(ハニヤスビコノカミ)
  • 波邇夜須毘売神(ハニヤスビメノカミ)
  • 弥都波能売神(ミヅハノメノカミ)
  • 和久産巣日神(ワクムスヒノカミ)

 

しかし、尿から成った『和久産巣日神(ワクムスビ)』の子供には、『豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)』がいます。

豊宇気毘売神(トヨウケビメノカミ)は『豊受大神』の神名でも知られ、伊勢の神宮外宮にお祀りされています。

イザナギが禊をした時に成った神様

続いてイザナギが、亡くなったイザナミを追って死後の世界(黄泉国)へ赴いた後、穢れを払うために行った禊で成った神様たちをご紹介します。

イザナギが身に付けていた衣服や装飾品などからたくさんの神様が成りました。

いかんせん数が多いうえ、そのほとんどが名前だけ出てきその後1度も登場しないので、特に有名な神様のみ取り上げます。なお、この時に『アマテラス』、『ツクヨミ』、『スサノオ』などの有名な神様たちが誕生します。

 

三貴子(さんきし)

天照大御神(アマテラスオオミカミ)

太陽の女神『天照大御神』

アマテラスは、伊勢の神宮内宮に祀られている日本の最高神。天上世界である『高天原』の統治者であり、日本人の総氏神。太陽を神格化した女神様です。イザナギが禊を行った際、左目を洗った時に成りました。

三種の神器『八咫鏡(やたのかがみ)』を象徴しています。

 

スサノオとの誓約岩戸隠れなどの神話では中心的な役割を果たし、その他の神話にも至る所に登場します。

古事記ではアマテラスの子孫が初代神武天皇となっています。そして、神武天皇のご子孫が現在の皇室に繋がっています。

 

月読命(ツクヨミノミコト)

月の神『月読命』

ツクヨミは月を神格化した神様で、イザナギが右目を洗った時に成りました。その神名から、『月を読む』つまり『暦を知る』という意味があると考えられています。

三種の神器『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』を象徴しています。

 

姉のアマテラス、弟のスサノオが古事記では大活躍するのに対し、ツクヨミだけは最初に登場して以降一切活躍の場がありません。とても謎の多い神様です。

 

建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)

荒れすさぶる神『建速須佐之男命』

スサノオは嵐を神格化した神様です。スサノオは泣き叫ぶと暴風雨が起こり、動いただけで大地が震動するという非常に荒々しい性質を持っています。

イザナギが鼻を洗った時に成った神様で、三種の神器『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』を象徴しています。また、ヤマタノオロチを退治した神話はとても有名です。

 

ゲームや漫画などにも登場することが多く、アマテラスと並び人気と知名度の高い神様です。

 

綿津見三神

  • 底津綿津見神(ソコツワタツミノカミ)
  • 中津綿津見神(ナカツワタツミノカミ)
  • 上津綿津見神(ウエツワタツミノカミ)

の三柱の総称を『綿津見三神』と言います。

水の底で禊をした際に成ったのが『底津綿津見神』、水の中ほどで禊をした際に成ったのが『中津綿津見神』、水面で禊をした際に成ったのが『上津綿津見神』です。

 

古事記によると綿津見三神は、筑前(現在の福岡県)で海人集団を率いていた豪族『安曇連(あずみのむらじ)』の祖とされています。

 

住吉三神

  • 底筒之男神(ソコツツノオノカミ)
  • 中筒之男神(ナカツツノオノカミ)
  • 上筒之男神(ウワツツノオノカミ)

の三柱の総称を『住吉三神』と言います。

綿津見三神と同じく、水の底で禊をした際に成ったのが『底筒之男神』、水の中ほどで禊をした際に成ったのが『中筒之男神』、水面で禊をした際に成ったのが『上筒之男神』です。

 

古事記では、とある神様が第14代仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)に神託を与え、それに従わなかった仲哀天皇が呪い殺されてしまう逸話があります。この神様が住吉三神とされています。

 

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国生みとヒルコ

以上がイザナギとイザナミの子供たちです。しかし、この他にも神様としてカウントされなかった子供が2柱存在します。

一柱は『水蛭子(ヒルコ)』という名で、もう一柱は『淡島(アワシマ)』と言います。。

 

イザナギとイザナミは神生みの前に『国生み』を行い、日本の国土を誕生させました。国生みでは本州や九州、四国を始め、対馬や淡路島、小豆島や佐渡島などなど、たくさんの島々を産み落としています。

 

その国生みの前に『ヒルコ』と『アワシマ』が誕生しました。しかし、この二柱は不完全な状態で生まれてきたために、ヒルコは葦の船に乗せられて流されてしまい、アワシマも神としてはカウントされませんでした。

なお、古事記によるとヒルコは手足が無かったらしいのですが、アワシマに関しては何が不完全だったのか、葦の船で流されたのかどうか、については記述がありません。

 

ヒルコとアワシマに関しては様々な見解があります。

特にヒルコは、漢字で『蛭子』と書くので、『蛭子→えびす』とも読め、七福神の『えびす様』と同一視する考えもあります。

 

なお、ヒルコとアワシマの神話が、日本におけるプロポーズの起源とする考えもあります。
↓詳しくは以下のリンクをご覧ください↓

イザナギとイザナミはどんな神様?実在した?関係等わかりやすく解説
古事記に登場する神様イザナギとイザナミ。日本神話の中でも有名な神様ですが、どのような活躍をしたのでしょうか?また実在の人物がモデルになっていたりするのでしょうか?この記事では、イザナギとイザナミについてわかりやすく簡単に解説していきます。

 

イザナギとイザナミの子供たちまとめ

以上、イザナギとイザナミの子供たちでした。

最後にまとめとして、系図を再度掲載しておきます。

ということで、イザナギとイザナミの子供たちでした。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

この他にも、日本神話は魅力的な神様たちで溢れかえっています。ぜひ今まで以上に日本神話に触れて楽しんで頂ければと想います。

古事記・日本の神話
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【参考にした主な書籍】