古事記の神話には「大宜都比売(オオゲツヒメ)」なる神様が登場します。
このオオゲツヒメなのですが、とある神話でスサノオに食事を提供したのですが、まさかの事態が起こってしまい悲惨な最期を遂げています。
この記事では、そんな「オオゲツヒメ」の、
- プロフィールや神格
- オオゲツヒメとスサノオの間に何が起こったのか?
- オオゲツヒメと現代人との重要な関係性
などをお伝えしていきます。ぜひ参考になさってください。
※この記事は、主に古事記の神話を参考にしています。
オオゲツヒメのプロフィール
まずはオオゲツヒメのプロフィールを確認していきましょう。
【神名】
大宜都比売、大気都比売神、大宜津比売神など
【神格】
食べ物の神、農業の神
【家族構成】
父:イザナギ、母:イザナミ、兄弟:神生みで生まれたたくさんの神々
【お祀りしている主な神社】
上一宮大粟神社(徳島県)、阿波井神社(徳島県)など
【略伝】
イザナギとイザナミによる国生み神生みで成った食物を司る女神様で、五穀と養蚕の起源とされています。食物の神様らしく、たくさんの食べ物をスサノオに提供しますが、尻の穴や口から食べ物を出したため、汚らわしいことを理由にスサノオに斬り殺されてしまいました。その遺体からは稲や粟、小豆や大豆など様々な食べ物が誕生したと言われています。
現代人との関り
:★★★★★★
食べ物の起源であり命の循環を司る神様なので、現代人と食生活にも深く関わっている。(詳しくは後述)
戦闘の強さ:★☆☆☆☆☆
古事記ではクシナダヒメが戦っている神話はない。しかしながら、スサノオにあっけなく斬り伏せられているので戦闘力は低いと思われる。(詳しくは後述)
登場頻度:★★☆☆☆☆
登場したと思ったらスサノオに斬り伏せられているので、登場頻度はかなり少ない。
知名度:★☆☆☆☆☆
登場シーンの少なさのためか知名度は低いと感じる。
悲惨な最期:★★★★★★
あまりにもあっけない最期を遂げている。本人も「まさか!?」と思ったことであろう。(詳しくは後述)
美しさ:★★★☆☆☆
古事記では容姿については触れられていないため、平均的な数値とした。
オオゲツヒメが登場する神話
ここでは古事記の中でオオゲツヒメが唯一登場する神話を要約してお伝えします。
あまりにも素行がわるく天上世界を追放されてしまったスサノオ。
スサノオは調子に乗りすぎたことを反省し、神様たちに食べ物をお供えしようと思い立ちました。そこでスサノオは、オオゲツヒメと言う神様の元を訪れます。
スサノオから事情を聴いたオオゲツヒメは、さっそく食事の用意を始めました。 しかし・・・ オオゲツヒメは、自身の口や鼻、そして尻から様々な食材を取り出し始めたのです。
唖然とするスサノオに構うことなく、オオゲツヒメはその食材を調理しスサノオに差し出しました。 ところが、口や尻から出された食材で作られた料理を目にしたスサノオは激怒します。
スサノオなんと汚らわしい!こんなもの食えるかっ!!
怒ったスサノオは、突然オオゲツヒメを斬りつけてしまいました。すると、遺体となったオオゲツヒメからは、様々な食材が生えてきたのです。
頭から蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆、下半身から麦、尻から大豆。
これらのオオゲツヒメの体から生まれた食材を『カムムスヒ』と言う神様が、食物の種とし地上世界に授けたのでした。
以上が古事記で語られるオオゲツヒメの神話です。
ちなみに、日本書紀でも同じような神話があるのですが、コチラではスサノオではなく月読命(ツクヨミ)がオオゲツヒメを斬り伏せています。
食べ物の起源、命の循環を司るオオゲツヒメ
神話の表面的な部分だけをみると、なんとも哀れなオオゲツヒメですが、この逸話には現代の我々にも深く関わる自然の摂理が示唆されています。
それは「命の循環」。生きとし生けるものはやがて土にかえり、新たな命を育むという自然の摂理を説いた神話なのです。
また、オオゲツヒメの遺体から生まれた穀物が、食物の起源とされています。
生きている以上、何かを食べるという行為は決して避けては通れません。食べるという行為は命を頂くと言うこと。そして生を終えた者は土へと返り、新たな命を育みます。
こういった現代人でも避けては通れない「命の循環」を司る女神が「オオゲツヒメ」なのです。
オオゲツヒメのまとめ
以上、大宜都比売(オオゲツヒメ)についての解説でした。
なんとも無惨であっけない最期を迎えた神様ですが、その神話には「命の循環」という非常に重要な意味が示唆されていたのです。
決して有名な神様ではありませんが、食べ物を通して日本の礎を支えてくれている大切な神様ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
日本神話は、オオゲツヒメ以外にも魅力的な神様たちで溢れかえっています。ぜひ今まで以上に日本神話に触れて楽しんで頂ければと想います。
【参考にした書籍】