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『若者にこそ日本神話を知ってほしい』拓麻呂です!
日本神話が語るスサノオの物語。
アマテラスとの誓約(うけい)に勝利したスサノオ。しかし、勝利で調子に乗りすぎたスサノオは高天原(たかまのはら、神様がいる天上世界のこと)から追放されてしまいました。

追い出されたスサノオは高天原を後にし、地上世界へ向かいます。
この後、スサノオはヤマタノオロチとの決戦に臨むことになるのですが、その前に一つ興味深いお話が古事記に記されています。
この神話は食物の起源とともに、自然の摂理を暗示した物語です。
地上世界に向うスサノオと、彼をもてなすオオゲツヒメ。
今回はそんな二柱の神様の物語です。
目次
~食物の起源!自然の摂理を表現する日本神話~
スサノオとオオゲツヒメ
地上世界に向うスサノオは、調子に乗りすぎたことを反省し、神様たちに食べ物をお供えしようと思い立ちました。
そこで彼は、オオゲツヒメと言う神様の元を訪れます。
スサノオから事情を聴いたオオゲツヒメは、さっそく食事の用意を始めました。
しかし・・・
オオゲツヒメは、自身の口や鼻、そして尻から様々な食材を取り出し始めたのです。
唖然とするスサノオに構うことなく、オオゲツヒメはその食材を調理しスサノオに差し出しました。
激怒するスサノオ
口や尻から出された食材で作られた料理を目にしたスサノオは激怒します。
『なんと汚らわしい!こんなもの食えるかっ』
怒ったスサノオはオオゲツヒメを斬りつけます。
斬られたオオゲツヒメは力尽きてしまいました。
すると倒れたオオゲツヒメの体から、様々な食材が成り始めたのです。
頭から蚕、目から稲、耳から粟、鼻から小豆、下半身から麦、尻から大豆。
このオオゲツヒメの体から生まれた食材を『カムムスヒ』と言う神様が、種とし地上世界に授けました。
なお『カムムスヒ』様は日本神話で最も最初に現れた神様の一柱です。

これが食物の始まりとされ、生きとし生けるものはやがて土にかえり、新たな命を育むという自然の摂理を説いた神話なのです。
そして・・・この後、スサノオはヤマタノオロチとの決戦を迎えます。

~ツクヨミの神話としても語られる食物の起源~
古事記には以上のようなお話が、『天の岩屋戸』と『ヤマタノオロチ退治』の間にいきなり挿し込まれています。
古事記を読んでみると分かるのですが、これが妙に不自然なんです。
アマテラスとスサノオと言う、日本神話を代表する神様の物語の間で突然語られ始める食物の起源。
これには、なにか日本神話の謎が隠れているような気がしてなりません。
今回の内容は古事記を元にしていますが、日本書紀では一説としてツクヨミの神話とされる記述があります。
ツクヨミとは、アマテラス、スサノオと並び『三貴子(みはしらのうずのみこ、さんきし)』と呼ばれる非常に重要な神様です。

このツクヨミは実に謎多き神様であり、日本神話に親しむ者の探究心をくすぐります。
スサノオとツクヨミ・・・この二柱の神様は、古事記編纂における重要な意図が隠されているのではないでしょうか。
~個人的にはツクヨミの神話であってほしい~
前述のように、今回の神話はツクヨミの物語として日本書紀で紹介されています。
これがツクヨミの神話だとすると、話の流れとして
1.アマテラスの『天の岩屋戸』
2.ツクヨミの『食物起源神話』
3.スサノオの『ヤマタノオロチ退治』
となります。
すると、三貴子の誕生した順に物語が展開的することになるので、不自然な感じは無くなるんですよね。
なので個人的に、食物起源は元々ツクヨミの物語だったと思うようにしています。
なお日本神話の詳細な展開を知りたい方は、この本がおススメです。
日本神話とは、どんな物語なのか?もっと気になる方はこちらにご入場ください。

では、今回はこの辺で!ありがとうございました。