ヤマタノオロチの正体とは?神話のあらすじと剣の謎をサクッと解説

※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています。

日本神話

『ヤマタノオロチ』の名をご存じの方も多いのではないでしょうか?

ゲームなどにもよく登場するうえ、見た目がかなり化け物じみているので印象にも残りやすいのかなと思います。そんなヤマタノオロチですが、もともとは日本の神話に登場する化け物です。(山神や水神とも言われています)

 

神話上では、目は真っ赤、腹は血が滲んでいて、首が8本、尻尾も8本あって、その体は8つの谷、8つの山にも及ぶ巨大さで苔や杉が生えているという、とてつもない怪物なのです。

ちなみにですが、ゲームなどでは頭がたくさんあるドラゴンのような姿で登場することがありますが、古事記では頭が8つある蛇の怪物として描かれています。

 

ところでこのヤマタノオロチとは一体なんだったのでしょうか?もちろん神話に出てくる架空の怪物なのですが、神話では現実の事象を抽象的に描いているケースもあり、ヤマタノオロチも何らかの現象を抽象的に表現している可能性があります。

 

実は、ヤマタノオロチは『川』だったのでは?とも言われいるのです。

 

この記事では、ヤマタノオロチが登場する神話のあらすじをわかりやすく解説するとともに、その正体とされている説などをご紹介していきます。

※この記事は、主に古事記の神話を参考にしています。

 

スポンサーリンク

ヤマタノオロチの基本情報

 ヤマタノオロチのプロフィール 
【ヤマタノオロチの神名】

八岐大蛇、八俣遠呂智、八俣遠呂知など

【特徴】

・蛇の怪物
・目が赤い
・頭が8つある
・尻尾も8つある
・腹が血で滲んでいる
・体は木が生えるほどデカい(谷8つ、山8つほど)
・尻尾に剣が入っている
・若い娘と酒が好物
・越国(現在の北陸地方)の出身

大きさ:★★★★★★
古事記によるとヤマタノオロチは「谷8つ、峰8つにも及ぶ大きさの化け物で、肩だからはスギやヒノキの木が生えていた」と記されている。桁外れの大きさである。

戦闘の強さ:★★★★★☆
体の大きさからしてかなりの戦闘力を誇ることは間違いないであろう。しかしながらスサノオの策略によって敗れたことから脳筋と思われるため星マイナス1とした。

登場頻度:★★☆☆☆☆
ヤマタノオロチが登場するのはスサノオと戦う神話ひとつのみなので、頻度としては少ない。

知名度:★★★★★★
ヤマタノオロチの神話自体が有名であることに加え、ゲームや漫画などでもよく描かれているため知名度はかなり高い部類と思われる。

酒の強さ:★★★★☆☆
スサノオに酒を飲まされて酔いつぶれているので、さほど強くないのかもしれない。しかしながら、8つの頭から当時に飲酒していることを鑑みると、仮に酒豪であったとしても酔いつぶれる可能性は高い。

美しさ:★☆☆☆☆☆
古事記の夜と、巨大な化け物であり、目が赤く腹には血が滲んでとのこと。「人間としての美」といった観点で言えば、決して美しいとは言えないであろう。

 

激突!スサノオvsヤマタノオロチ

では、ヤマタノオロチが登場する神話の内容を簡単に解説します。

天上世界を追放された『スサノオ(アマテラスの弟で荒々しい神様)が、川岸を歩いていると老夫婦が泣いていました。老夫婦には8人の娘がいたのですが、毎年ヤマタノオロチがやってきて1人ずつ食べられてしまい、残る娘は『クシナダヒメ』ただ一人。そして間もなくクシナダヒメを食べにヤマタノオロチがやってくる時期だったのです。

 

このような事情を知ったスサノオは、クシナダヒメと結婚することを条件に、ヤマタノオロチ退治を買って出ました。スサノオと老夫婦はアルコール度数の強い酒を用意し、8つの器に酒を入れてヤマタノオロチの出現を待ちました。

 

するとヤマタノオロチが現れて、8つの頭を器に突っ込み、ガブガブと酒を飲み始めます。強烈な酒を勢い良く飲んでしまったヤマタノオロチは酔っぱらって寝てしました。

 

ヤマタノオロチが泥酔したことを確認したスサノオは、剣を抜いて斬りかかりました。こうしてヤマタノオロチは酔っぱらって寝ている間に退治されてしまったのです。

かなり簡潔ではあります、以上が日本神話でヤマタノオロチが登場する場面です。

 

なんか思ってたのと違うと感じるかもしれませんが、昔はこういった戦法も『勝つための知恵』として評価されていたとされています。

とは言え、その巨大さなどから登場前はとんでもなく強い怪物なのかと思いきや、寝ている間にやられるいう微妙な存在がヤマタノオロチだったのです。前評判だけ凄くていざ試合をしたら、あっけなく負けてしまった格闘技の選手みたいなもんです。

ヤマタノオロチと戦うスサノオ

 

ヤマタノオロチの正体は?

そんなヤマタノオロチですが、果たしてその正体は何だったのでしょうか?

 

冒頭でも触れた通り、基本的には神話に出てくる架空の怪物です。しかし、神話では現実の事象を抽象的に描いているケースもあり、ヤマタノオロチも何らかの現象を抽象的に表現している可能性がああります。

 

一般的には、ヤマタノオロチの正体は『斐伊川(ひいがわ)』だったのではないか?と言われています。斐伊川は現在も島根県と鳥取県を流れる実在の川です。

 

斐伊川はたくさんの支流ち、昔はよく氾濫する川として知られていたそうです。また斐伊川の上流では砂鉄が採れ、鉄分で赤くなる川でもありました。これらの特徴がヤマタノオロチの特徴といくつか一致しています。

  • 『無数に枝分かれした支流』→『ヤマタノオロチの首と尻尾』
  • 『鉄分で赤くなる川』→『ヤマタノオロチの赤い目と血の滲んだ腹』
  • 『氾濫しやすい』→『洪水で娘を亡くした老夫婦』

 

また神話に中でも、

老夫婦には8人の娘がいたのですが、毎年ヤマタノオロチがやってきて1人ずつ食べられてしまい、残る娘は『クシナダヒメ』ただ一人。そして間もなくクシナダヒメを食べにヤマタノオロチがやってくる時期だったのです。

というように『毎年』や『時期』という表現があります。

上記はかなり簡略化したものですが、実際の神話上でも同様の表現があるため、川が氾濫する雨期に亡くなる人が絶えなかったのではないでしょうか。

 

よくよく考えてみれば、スサノオが川岸を歩いていた時に出会ったのが、ヤマタノオロチに娘を食べられた老夫婦(名前はテナヅチとアシナヅチ)でした。この川が斐伊川だったのではないかと思われます。

 

尻尾から出てきた剣とは?

なお、スサノオがヤマタノオロチを退治し尻尾を斬った時に、中から剣が出てきています。

 

この剣は『天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)』と言い、後に『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』と呼ばれるようになります。この剣は『八咫鏡(やたのかがみ)』、『八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)』と並び、三種の神器のひとつです。

三種の神器の想像図

三種の神器がどのようにして入手できたか、あるいは製造されたかは、全て神話の中で語られており、今も現存しています。

 

八咫鏡は伊勢の神宮内宮に、八尺瓊勾玉は宮中に、そして草薙剣は熱田神宮に安置されています。

 

スポンサーリンク

ヤマタノオロチまとめ

以上、ヤマタノオロチの正体や神話のあらすじについてでした。

その正体や解釈については諸説あるのですが、今回は最も知られている斐伊川説をご紹介しました。

 

神話はあくまで神話なので、史実と混同しすぎずに楽しむのが良いと感じる一方で、何かしらの事象が反映されている可能性も十分にあり得ますし、考古学の成果により、史実を再現していたと思われる部分も判明しつつあります。そういった意味でも、神話は古代ロマンを感じさせてくれる壮大な物語だなと感じますね。

 

神話は神話であると留意しつつも、神話の真相を探っていくのも楽しいものです。ぜひ、ロマンに想いを馳せながら日本神話を楽しんで頂ければと思います。

 

日本神話は、ヤマタノオロチ以外にも魅力的な神様たちで溢れかえっています。ぜひ今まで以上に日本神話に触れて楽しんで頂ければと想います。

古事記・日本の神話
ここでは当ブログの中でも特におすすめの「古事記・日本神話」関連の記事をご紹介します。神様ごとの特徴を円グラフにしたり家系図を用いたりしながら、初心者の方でも入門用としてお読みいただけますので、ぜひご覧になってみてください。

 

【日本神話が楽しめるオススメ書籍】

 【超初心者やお子様向けはコチラ】