イワナガヒメとは?ニニギに振られたその後は?古事記の神話や容姿を解説

日本神話

古事記に登場する「石長比売(イワナガヒメ)」という神様をご存じでしょうか?

 

イワナガヒメは、山の神のトップに君臨する「大山津見(オオヤマツミ)」の娘でもあり、さらには可憐で美しい「木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤヒメ)」の姉でもあるとても重要な女神様です。

 

なのですが、嫁入り直前であることが原因となり実家に追い返される、という極めて不遇な扱いを受けてしまった悲しい神様でもあります。

 

この記事では、そんな「イワナガヒメ」の

  • プロフィールや家系図
  • 登場する神話
  • 不遇な扱いを受けたその後

などをお伝えしていきます。ぜひ参考になさってください。

※この記事は、主に古事記の神話を参考にしています。

 

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イワナガヒメのプロフィール

イワナガヒメのプロフィール

【神名】
石長比売
磐長姫など

【神格】
不老長寿の女神、岩の神

【家族構成】
父:オオヤマツミ、妹:コノハナノサクヤビメ

【お祀りしている主な神社】
雲見浅間神社(静岡県)、銀鏡神社(宮崎県)、貴船神社(京都府)など

【略伝】
妹のコノハナノサクヤビメと共にニニギへ嫁ぐ予定していたが、その容姿があまりに醜かったために追い返されてしまった可哀そうな女神。その神名が示す通り『岩のような不変性』を司っており、イワナガヒメを娶らなかったとこでニニギには寿命が設けられてしまい(本来神に寿命は無い)、その子孫である天皇にも寿命が与えられてしまったのです。

霊力:★★★★★★
不老長寿という人知を超えた霊力を持つ女神なので、極めて強い力を持っていると思われる(詳しくは後述)。

戦闘の強さ:★☆☆☆☆☆
古事記ではイワナガヒメが戦っている神話は無い。不老長寿の霊力は強力ではあるが、争いごとに関する神格ではない為、戦闘面には不向きであろう。

登場頻度:★★☆☆☆☆
古事記ではイワナガヒメが登場する神話は、ニニギへの嫁入り時のエピソードのみ。

知名度:★★★★☆☆
妹のコノハナノサクヤヒメとの対比で良く登場するので、まぁまぁ知られている印象である。

不憫さ:★★★★★★
嫁入りの際にあまりにも不憫な経験している。これは夫になるはずだったニニギノミコトの対応にも問題があったと言えよう。(詳しくは後述)

美しさ:★☆☆☆☆☆
極めて心苦しいが、神話上このような評価になってしまうのは致し方ないところであろう・・・。

 

イワナガヒメの家系図

系図の通り、イワナガヒメは「オオヤマツミ」という神様の娘です。オオヤマツミは日本における山の神のトップに位置する神様なので、その娘にあたるイワナガヒメも極めて高貴な女神となります。

また、日本神話の中でも最高クラスに美しいと思われるコノハナノサクヤヒメの姉でもあるので、親族にもかなり恵まれていると言えるでしょう。

 

なのですが、妹のコノハナノサクヤヒメと対照的に、かなり不遇な扱いを受けてしまった神様でもあるのです。

 

古事記に描かれるイワナガヒメの神話

イワナガヒメが登場する唯一の神話と言えば、邇邇芸命(ニニギ)へ嫁ぐ際のエピソードです。なお、ニニギとは天照大御神(アマテラスの孫で、天上世界から地上に降臨してきた神様です。

 

そんなイワナガヒメの神話を要約すると・・・

ある日、ニニギはとても美しい女神(コノハナノサクヤヒメ)に出会いま一目惚れし結婚を申し込みます。

するとコノハナノサクヤヒメは、こう答えました。

女神イメージ
コノハナノサクヤヒメ

私の一存では決められないので、父のオオヤマツミに相談してみてください。

 

早速ニニギはノリノリでオオヤマツミのところへ使者を遣わしました。

するとオオヤマツミは大喜び!なんとコノハナノサクヤヒメの姉である「イワナガヒメ」まで一緒に、ニニギの元へと嫁がせたのです。

 

ところが、美しいコノハナノサクヤヒメと違い、姉のイワナガヒメはたいそう醜い姿をしていたため、ニニギは恐れおののきイワナガヒメを実家に返してしまいました。こうしてニニギはコノハナノサクヤヒメだけを妻に迎えたのです。

 

この仕打ちに姉妹の父であるオオヤマツミはたいそう悲しみこう漏らしました。

イワナガヒメを妻に迎えれば、ニニギの命は岩のように固く永遠のものになり、コノハナノサクヤヒメを妻に迎えれば、満開の桜の如くニニギの一族は華やかに栄えたはずであったのに・・・イワナガヒメを返しコノハナノサクヤヒメだけを娶ってしまったために、ニニギの命は限りあるものとなり、桜の花のように儚く散ってしまうことでしょう・・・

 

神の子孫であるニニギは、本来永遠の命を持っていたはずでした。しかし、イワナガヒメを遠ざけてしまったことで岩のように強固な生命力は失われ、ニニギの命は限りあるものになってしまいました。そして、以降その子孫(皇統)にも寿命が与えられてしまったのです。

以上、イワナガヒメが登場する神話を要約してお伝えしました。

 

率直に言ってしまうと、イワナガヒメはとても不細工だったために、嫁入りに失敗してしまったのです。

「あまりの不細工にビビり散らかしイワナガヒメを追い返した」というニニギの対応も如何なものかと思いますが・・・もっと別の言い方なり方法なりがあったような気もしますね・・・。

 

ともかくも、不老長寿を司るイワナガヒメだけを追い返してしまったがために、ニニギにも寿命が与えられてしまいました。妹のコノハナノサクヤヒメは満開に咲く桜の美しさを司るとともに、あっという間に散ってしまう桜の儚さ(短命)を併せ持つ女神だったのです。

 

こうしてニニギは極めて大きな代償を払うことになってしまいました。

 

寿命を奪った凄まじい霊力

前述の通り、イワナガヒメを遠ざけてしまったことで岩のように強固な生命力は失われ、ニニギの命は限りあるものとなってしまいました。

この「寿命が定められてしまう」という出来事は、イザナギとイザナミの「黄泉の国(よみのくに)」の神話でも似たようなエピソードが語られています。

 

端的に言うと、人間に寿命があるのは「イザナミの呪い」が影響しています。人にはなぜ寿命があるのか?に関しては以下の記事で詳しく書いていますのでぜひご覧になっていみてください。

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人に寿命を与えたイザナミの呪いは非常に強力で、今なお日本に暮らす全ての人々はその影響を受け、いつか必ず死を迎えます。

こうした「寿命」への影響力を司っているイワナガヒメは、その容姿とは裏腹に極めて強い霊力を持った女神様だったのかもしれません。

 

その後のイワナガヒメ

ニニギに追い返されてしまったイワナガヒメですが、古事記にはその後の様子は描かれていません。ですが、日本書紀や地域の伝承には若干ではあるものの、その後の様子が語られています。

 

伝承によると、イワナガヒメは追い返されたことを酷く恥じてしまい、姿を隠すようにひっそりと暮らしていたと言われています。

その際、イワナガヒメは自らの姿を鏡で映してみたのですが、あまりに醜い姿だったため思わず鏡を放り投げてしまったそうです。

そして、飛んで行った鏡が落っこちた場所には銀鏡神社(しろみじんじゃ)が創建され、イワナガヒメが放り投げた鏡がご神体として今も祀られています。

 

また、イワナガヒメはニニギに追い返されたことをずっと根に持っていたとも伝えられています。

筆者は訪れたことがないのですが、イワナガヒメが祀られている神社のひとつ「雲見浅間神社」は、富士山からそれほど遠くないにも関わらず、富士山がこれっぽっちも見えないそうです。

富士山本宮浅間大社にはイワナガヒメの妹「コノハナノサクヤヒメ」が祀られており、コノハナノサクヤヒメはまさに富士山の象徴と言えるからです。

 

そして、雲見浅間神社がある大室山はイワナガヒメの象徴。大室山の山頂からは富士山がよく見えるそうなのですが、ここで富士山を褒めるようなことを口にしてしまうと、イワナガヒメの呪いが発動すると言われています。

大室山山頂から富士山を眺める際には注意してくださいね。

 

縁結びの神様でもあるイワナガヒメ

前述の通り、イワナガヒメは自身の醜さを恥、すっと根に持っていたと言われています。

しかし、京都の貴船神社にある結社(ゆいのやしろ)では、イワナガヒメは「縁結びの神様」として祀られています。

 

ニニギに追い返されはしたものの、コノハナノサクヤヒメの幸せを願い「縁結びの神として良縁を授けん」と言い残し、この地に鎮まったと伝えられています。

あくまで筆者の妄想ですが、もしかしたら自らの不遇を誰にも味わってほしくないという強い願いが込められているのかもしれません。

 

自らは不遇でも、妹の幸せを願い縁結びの女神となったイワナガヒメは、今も小さなお社で恋の成就をひっそりと願い続けています。

容姿は醜くとも、心はとても美しい女神様だったのかもしれませんね。

 

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イワナガヒメのまとめ

以上、石長比売(イワナガヒメ)についての解説でした。

 

イワナガヒメを遠ざけたばっかりに、ニニギノミコトはこっぴどいしっぺ返しを食らってしまいました。岩のようの不変さ(不老長寿)を司るイワナガヒメの霊力は、本当に凄まじいものだったのでしょう。

 

ニニギに追い返された事実を恨みつつも、一方では縁結びの神様として恋の成就を叶える女神イワナガヒメ。

とても優しい心を持った女神様だったのかなと感じます。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

日本神話は、イワナガヒメ以外にも魅力的な神様たちで溢れかえっています。ぜひ今まで以上に日本神話に触れて楽しんで頂ければと想います。

古事記・日本の神話
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