和歌の達人で、恋に生きた女性「和泉式部」。
和泉式部の和歌はとても情熱的で、いかにも恋多き女性という感じで、百人一首にも選ばれています。
その和歌の才能は、紫式部も認めていたほどです。
この記事では、そんな和泉式部の、百人一種に選ばれた情熱的な和歌をご紹介します。
百人一首に選ばれた和泉式部の和歌
あらざらむ 此よの外の 思出に 今ひとたびの あふ事もがな
(あらざらむ このよのほかの おもいでに いまひとたびの あうこともがな)
この歌が、百人一首に選出された和泉式部の一番有名な和歌です。
意訳すると、以下のようになります。
私は間もなくこの世を去るでしょう。せめて、あの世への思い出に、熱く情熱的に愛し合ったあの方に、もう一度お会いしたい・・・。
和歌が詠まれた背景
なんとも哀愁漂う和歌ですが、これは和泉式部自信が病にかかり、寿命がもう長くはないことを悟った時に詠んだものです。
意訳の中にある、
愛し合ったあの方
が、誰を指しているのは、残念ながらわかっていません。
和泉式部は、かなり色恋沙汰が多かった女性なので予想するのも難しいですが、あえて想像するならば、やはり『和泉式部日記』に綴られている『敦道親王(あつみちしんのう)』あたりでしょうか。
あるいは敦道親王の兄にあたる『為尊親王(ためたかしんのう)』っていうのも有り得るのかなと思います。
いずれにしても、自分の最期を悟りながらも、なお色恋に思考がいくあたり、やはり和泉式部だなぁ、と感じますね。
和泉式部の恋の歌
せっかくなので、和泉式部の恋歌を、他にもいくつかご紹介します。
世の中に 恋てふ色は なけれども 深く身にしむ 物ぞありける
(よのなかに こいちょういろは なけれども ふかくみにしむ ものぞありける)
世の中に『恋』という色は無いけれど、布に染まる色のように、恋は深く身に沁みるものです。
黒髪の 乱れも知らず うち臥せば まづかきやりし 人ぞ恋しき
(くろかみの みだれもしらず うちふせば まづかきやりし ひとぞこいしき)
黒髪が乱れているのも気にせずに一人で横になっていると、この黒髪を撫でてくれたあの殿方のことが恋しくてたまらなくなる。
和泉式部の和歌まとめ
以上、和泉式部の情熱的な和歌をご紹介させて頂きました。
和泉式部の和歌の才能は、実はあの紫式部も認めているほどです(紫式部日記の中で述懐している)。
自らの人生の終わりを前にしても、恋の想い出を和歌に詠んだ和泉式部。
そんな和泉式部は、やはり情熱的な恋に生きた女性だったのでしょう。
和歌の実力を認めつつも、なかなか辛口な紫式部による和泉式部評については、コチラの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧になってみてください。
その他にも、和泉式部に関する記事を多数執筆しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考にした主な書籍】