平安時代の貴族女性の髪形は、とても長いストレートのロングヘアーだった印象がありますよね。ただ、長かったのはイメージできても具体的にどの程度の長さだったのか?と言われると、あまりイメージできなかったりしませんか?
現代であれば、腰くらいまでのロングヘアーでもかなり長い部類に入りますが、平安時代は一体どうだったのでしょうか?実は、現代のロングヘアーなど勝負にならないほどの超長い髪だったのです。
この記事では、平安時代の驚くべきロングヘア―を当時の記録などを元にしてご紹介します。
本記事は音声でも解説しています。本文を読むのが面倒な方や、他のことをしながら聴き流したい方はぜひご活用ください。
驚くべきロングヘアーだった平安時代の貴族女性たち
平安時代の貴族女性の髪型は「垂髪(すいはつ)」といい、自分の身長よりも長いのが普通でした。

平安時代を代表する女性 紫式部(出典:Wikipedia)
「大鏡」という歴史物語に、藤原道長の娘たち4名(彰子、妍子、威子、嬉子)の髪の長さを具体的に記述した場面があるので見てみましょう。
彰子の髪は「着物の裾よりも長い」
妍子の髪は「着物の裾より一尺ほど長い」
威子の髪は「身長より少し長い」
嬉子の髪は「身長より七、八寸長い」
このように、身長や衣装よりも長かったことがわかりますね。特に、妍子と嬉子に関しては具体的な数値がありイメージしやすいので、詳しく見て行きましょう。
平安時代のロングヘアーは170cm以上?
まず、嬉子の髪は「身長より七、八寸長い」とありますが一寸は約3cmです。なので七寸だった場合は21cmくらい。当時の人は現代人より身長が低いので仮に身長150cmくらいだったとしても、髪の長さは少なくとも170cmくらいはあったことになりますね。
そして、妍子の髪は「着物の裾より一尺ほど長い」とありますね。一尺とはなんと約30cm。なので、着物の裾より30cmほど長かったわけですね。

十二単のイメージ(出典:Wikipediaより/ロリ-自分で撮影)
平安時代の女性貴族の服装と言えば上記画像のような「十二単」がイメージしやすいかと思いますが、十二単などの衣装の裾は身の丈よりも長いです。その裾よりもさらに30cm長いわけですから、もしかしたら2メートル以上の長さがあったのかもしれません。
しかし、ここまでご紹介した長さはまだまだ序の口。平安時代にはさらに想像を絶するロングヘアーが存在していたのです。
身長よりはるかに長い驚異的なロングヘアー
またまた「大鏡」の記述によると、第62代 村上天皇の女御(妻の一人)だった「藤原芳子(ほうし)」という女性は、まるでフィクションかと思うほどのロングヘアーだったことがわかります。大鏡の記述を要約すると以下の通り。
出かけようとした芳子様が牛車に乗り込んだのですが、髪の毛の先端はまだ母屋の柱の元にありました。
どうでしょうか。現代の感覚で例えるなら『出かけるため外にある自動車に乗り込んだけど、髪の毛の先はまだリビングにあった』といったところでしょうか。
この記述を参考にすると170cmどころの話ではなく、もはや数メートル級の長さだったことになりますね。
さらにはこんな記述もあります。
芳子の髪の毛を1本だけ紙の上に置いたら、隙間もないほど真っ黒になって紙が見えなくなった。
この記述からも、芳子の髪がとんでもない長さだったことはわかりますね。
もしかしたら多少盛っているのかもしれませんが、いずれにせよ平安時代の貴族女性は今とは比べ物にならないほど長い髪をしていたんですね。
ウィッグを付けている時もあった
平安時代の女性にとって、長いストレートの黒髪は美しさの象徴でした。とは言え、平安時代の人でも髪質は千差万別、ストレートヘアーの人もいれば癖毛の人もいるのは現代と同じですね。
では、癖毛の人はどのようにして長いストレートヘアーにしていたのでしょうか?実は、黒いストレートヘアを再現するための『かもじ』と言う付け毛があったのです。現在で言うところのウィッグみたいなものですね。
枕草子にも「かもじ」に関する記述があり、枕草子の作者 清少納言も「かもじ」を装着していたと思われる記述が存在します。
この記述に関しては以下の記事で詳しくお伝えしていますので、ぜひご覧になってみてください。

癖毛であっても長いストレートヘアーになるためのアイテムが1000年前からあったんですね。
平安時代のロングヘアーまとめ
以上、平安時代の女性たちの髪の長さでした。
当時の女性たちは、自分の身長よりも長い髪をしていたんですね。その中でも、藤原芳子のようにずば抜けて長かった女性もいれば、癖毛などで「かもじ」を付けている人もいたのです。
今では考えられないような髪の長さですが、美しい髪でいたいという願いは今も昔も変わっていないのかもしれませんね。
平安時代の女性たちによる王朝文学、そして個性豊かな女性たち、そんな平安時代の文学作品や女性たちに関してたくさん執筆していますので、↓コチラ↓からぜひご覧になってみてください。

【参考にした主な書籍】