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拓麻呂です。
戦国時代初期の人物と言えば誰を思い浮かべるでしょうか?
北条早雲?
太田道灌?
細川政元?
尼子経久?
龍造寺家兼?
おおよそ、この辺りは有名かと思います。
しかしながら、戦国初期を見て行く上で絶対に外せない人物がいます。
『長尾景春』です。
景春は北条早雲を並び、下克上の先駆者とされ、戦国時代の扉をこじ開けた人物です。
あまり知られていない人物ですが、戦国時代を俯瞰する際には是非とも抑えておきたい人物なのです。
下剋上の雄!長尾景春
長尾景春の略伝
戦国時代と言うと、織田信長や石田三成、伊達政宗などは有名です。
ですが、彼らは戦国時代後期の人物であり、初期~中期の歴史を見てみないと、戦国の本質はなかなか見えてきません。
そういった意味で、長尾景春という人物を把握しておくことは重要です。
なので、まずは景春の経歴をザックリとご紹介します。
景春は戦国時代の初期の人物で、同時期の武将と言えば『太田道灌』や『北条早雲』です。
太田道灌のライバルとして、生涯に渡り不屈の闘志を燃やし続けた武将であり、北条早雲と並び下剋上の先駆者と言われた武将でもあります。
景春は関東管領(かんとうかんれい)の山内上杉家の家宰(かさい)である長尾家に生まれます。
家宰とは、簡単に言うと山内上杉家の政治を取り仕切るような役職のことです。
ちなみに、ライバルの太田道灌は、『扇谷上杉家(おおぎがやつうえすぎけ)』の家宰です。
景春は『五十子(いらこ)の戦い』で、主君である山内上杉家を蹴散らし、下克上の先駆者として、名を馳せます。
しかしながら、景春の勢力拡大を憂いた太田道灌が立ちふさがります。
奮戦した景春でしたが、残念ながら敗北、秩父の山に逃げ込みました。
その後も攻められ続け、最後の拠点『日野城』が落城し、景春は放逐されます。
なお、これを『長尾景春の乱』と言います。
その後、太田道灌は世を去りますが、道灌の主家『扇谷上杉家』に加担し挙兵。
またしても『山内上杉家』に牙を剥きました。
ところが景春の息子と意見が対立。
結果的に、景春は家督を奪われ隠居に追い込まれます。
これを『長享の乱』と言います。
しかし、景春の戦いはこれで終わりではありません。
山内上杉家が、越後に侵攻すると、北条早雲と同盟を結び、懲りずに挙兵。
が・・・また敗北。
ところが、この時、景春に吉報が入ります。
越後に侵攻した山内上杉の当主が討死。
居城奪還の好機と見た景春は、また挙兵。
対立した息子が守る居城『白井城』奪還を試みますが、ほとんど人物が息子に味方してしまい、またまた敗北。
その後、駿河(現在の静岡県)まで亡命し再起を図りますが、残念ながら寿命が尽きました。
華やかな下克上で時代を先取りするも、その後は負け続き。
しかし、なんど負けようとも不屈の闘志で、ゾンビのごとく蘇り続けた根性の持ち主が、長尾景春という男なのです。
戦国時代の契機は『応仁の乱』だと言われていますが、あくまでそれは西国の話であり、関東を中心とした東国では、応仁の乱より10年ちょっと前から乱世に突入しています。
上記の『五十子の戦い』や『長尾景春の乱』も含めて『享徳の乱(きょうとくのらん)』と言い、応仁の乱に先駆けて東国に乱世をもたらしました。
この渦中にいた人物が長尾景春です。
宿敵!太田道灌
そんな景春の前に立ちふさがった人物が太田道灌です。
そして景春は敗者の側になりました。
道灌は景春のことを器量が無いと言っていますが、それはあくまで当時の敵対関係の中で負けた景春像であるように思います。
後世の目から見ると、景春は凄まじい存在感を示している人物です。
道灌は戦国初期の名将と言われる人物ですが、そのような評価を得ている要因の一つに景春の存在があるような気がしてなりません。
景春の反乱を鎮圧したことで勇名を馳せた側面も、間違いなくあるのではないでしょうか。
二人の対立関係で見れば、道灌は勝者、景春は敗者。
後年の武田信玄と上杉謙信のように勝敗が決まらなかったのとは違いますが、道灌と景春は戦国初期を代表するライバル関係と言えるのではないかと思います。
まとめ
以上、戦国時代の扉を開いた下剋上の雄 長尾景春でした。
結果的に連戦連敗だった景春でしたが、関東を戦乱の世にしてしまった先駆者であったことには間違いありません。
下剋上の先駆者と言うと、北条早雲の名前が思い浮かびますが、関東を引っ掻き回したという意味では景春の方が上です。
歴史的に見れば、早雲も勝者の側なので、道灌と同様に名将として名前が残りやすいのも頷けます。
敗者で終わってしまったため、景春の知名度は低いですが、戦国初期を代表する武将と言って間違いないのではないかと考えています。
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では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。