【枕草子 ねたきもの】平安時代のお裁縫での珍事とは?清少納言の失敗談?

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枕草子のこと

枕草子に「ねたきもの」、つまり「癪なもの」という意味の章段があります。

 

この章段はその名の通り、清少納言が「癪に障ったこと」がいくつか列挙されているのですが、この中に「お裁縫」に関するある珍事が描かれています。

 

裁縫は宮仕えする女性にとって必須の技術でもありました。

そんなお裁縫に関する記述なので、平安時代の女房たちの仕事風景を垣間見ることが出来る、非常に興味深い内容となっています。

また、清少納言の失敗談と思われる記述もあるので、彼女に対する親近感も感じることでしょう。

 

今回は、枕草子「ねたきもの」より、定子サロンのお裁縫風景をお届けします。

※本記事は、わかりやすさを重視してしているため、適宜わかりやすい言葉を用いて意訳したり、難しい表現を削除していたりします。なので、正確な現代語訳にはなっていませんのでご了承ください。

 

本記事は音声でも解説しています。本文を読むのが面倒な方や、他のことをしながら聴き流したい方はぜひご活用ください。

 

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やらかした清少納言

まず初めに、裁縫に関する清少納言の失敗談をご紹介します。

 

急いで着物を縫う時に、普段より針を早く動かして、どんどん縫い上げて行って・・・

清少納言
清少納言

さあ!やっと縫い上げた!!!

と思って、針を引き抜いたら、なんと糸のお尻を結んでおらず、意図が全て抜けてしまった時は本当に癪です。

また、裏表逆に縫ってしまった時も癪に障ります。

といった内容が、枕草子「ねたきもの」に記されています。

 

これはおそらく清少納言の体験談に元ずくエピソードと思われるので、彼女にもこんなおっちょこちょいな一面があったと思うと、なんとなく微笑ましく感じますね。

 

宮仕えの仕事風景がわかるシーン

続いて、宮仕えにおける一つの仕事である裁縫の風景が描かれた貴重な一場面を見て行きましょう。

 

南の院に中宮様(定子様)がご滞在の頃、

定子
定子

これは急ぎのお召し物です!女房たちは全員集まって急いで縫い上げなさい!!

と、布地をお渡しになりました。

 

女房たちは南側の部屋に集まり、左右にわけて同時進行で手分けして、誰が早く縫い上げるか競いながら大急ぎで作業を進めます。

皆が自分の作業に集中し、近くに向き合ったりもせず一心不乱に縫う様子は、常軌を逸した熱の入れようです。

 

そんな中「命婦の乳母みょうぶのめのと」が、たいそう早く縫い終わって下に置きました。

清少納言
清少納言

命婦の乳母は、裏表があべこべになっているのに気づかず、糸の縫い目もきちんとせずに、大慌てで下に置いて立ち上がったのです。

 

しかし、片側を縫ったものと合わせてみたら、合わずに食い違っていました。

これには、みんな大笑い!!

清少納言
清少納言

wwwwwww

 

皆は、「これは縫い直さなければなりませんね!」と言いましたが、命婦の乳母は、

女性
命婦の乳母

私が縫ったものは間違っていないのだから、誰が縫い直すもんですかっ!模様の入った綾織なら縫い直さなければなりませんが、これは模様の無い無紋なのだから、縫い直す必要なんてないでしょう!まだ何も縫っていない人に直させればよいではないですかっ!

と言って、周りの意見を全く聞こうとしません。

 

ですが、源少納言や中納言の君が「そんなことを言っている場合ではないでしょう!!」と言いながら、気の進まない表情で縫い直している様子は、とてもおかしいものでした。

といった内容が、ねたきものに描かれています。

このワンシーン、個人的にはとても素敵だなと思うことがあるので、次でお伝えします。

 

大忙しの中でも笑いのある風景

上記では、裁縫風景の一場面を見て頂きました。

この場面を見て、個人的にはとても素敵で微笑ましく感じる部分があります。

 

それは「大忙しの中でも笑いが絶えない」ということです。

 

状況としては、急ぎの仕事を仰せつかっているので、殺伐とした一面もあったでしょう。

しかし、そんな中でも、命婦の乳母のやらかしに対し一同大笑いしている様子は、非常に微笑ましいてすし、この明るさが枕草子の魅力の一つかなと感じます。

 

現代の職場でも、時間に追われる状況だと殺伐さだけになってしまい、そこから笑いが生まれる余裕が無くなったりもするものです。

自身としても、時間に追われピリピリしていて殺気立っている職場環境というのを何度も経験しました。

 

ですが、定子サロンは殺伐さの中にも笑いがありました。

こういった心の余裕は常に意識していきたいなと個人的には思っています。

 

また、失敗を認めない命婦の乳母、そして命婦の乳母の尻ぬぐいをさせられる女房たち。

こういったシーンも現代の職場で時折見かけたりしませんか?

そういった意味でも、1000年前の平安時代を非常に身近に感じられるエピソードだなと感じますね。

 

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女房たちの仕事風景まとめ

以上、枕草子「ねたきもの」より、女房たちの仕事風景をお届けしてまいりました。

 

糸のお尻を結んでいなくて、糸が全て抜けてしまった逸話からは、おっちょこちょいな清少納言の一面が見えて微笑ましく感じます。

また、女房たちの裁縫風景からは、現代の職場でもありがちな殺伐さを感じつつも、そんな中に笑いのある風景で読む者の心を癒してくれます。

 

こういった明るさや微笑ましさが、枕草子の大きな魅力です。

ぜひ、枕草子の他の章段にも触れてみてください。

春はあけぼの!枕草子WEB辞典【清少納言と中宮定子の世界】
このページでは枕草子に関すること、作者の清少納言や周辺の人物に関してなどの情報を発信しています。基本的な部分からマニアック人物まで、新たな記事を日々配信中ですので、随時追加していきます。枕草子で気になる事に是非お役立てください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

【参考にした主な書籍】