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拓麻呂です。
戦国武将 小早川隆景。
中国地方の覇者 毛利元就の三男に生まれ、父元就の才覚を最も受け継いだ息子と言われています。
隆景は父譲りの知略を存分に発揮し、戦国時代という乱世を颯爽と駆け抜けました。その晩年には五大老という、豊臣政権下における要職の一角を担っています。
今回は、『名将言行録』という戦国武将のエピソード集にとりあげられている隆景のエピソードをご紹介します。
このエピソードは、あらゆる場面で通用するような、人生における基本的な事を思い出させてくれます。
隆景のエピソードに隠された本当の意味とは?
それでは、見ていくことにしましょう。
~名将言行録に記された小早川隆景のエピソード~
急ぎの手紙
すぐにでも誰かに知らせねばならない急な出来事。
戦国時代には、当然ながらメールやLINEなどは存在していませんから、手紙をしたため、届けるわけです。
この当時、大名などは自ら手紙を書くことはせず、『右筆(ゆうひつ)』と呼ばれる人たちが書いていました。『右筆』とは主の手紙などを代筆する人のことを言います。
隆景は急ぎの案件を手紙にしたためる際、右筆にこのような言葉を掛けていたと言われています。
『急ぎの案件である!ゆっくり書け!』
急用なのに、ゆっくり書く・・・一見すると矛盾ともとれる言葉ですが、この言葉の真意にこそ、大切な意味が隠されているのです。
隆景の真意とは?
人間と言う生き物は、焦るとろくな事がありません。しかし急ぎとなると、どうしたって焦ります。
焦って手紙を書けば、当然ながら誤字脱字も多くなるでしょう。
このような人間の心理を理解した隆景が、右筆を諭した言葉と言えます。
しかし、この言葉の本質はさらに奥深いものなのです。
手紙とは、どのように使われるものでしょうか?
答えは簡単、手紙を宛てた人物に読んでもらうことです。誰だってそんなことは理解しているはずです。
しかし、焦りの気持ちというものは、そんな当たり前の事を忘れさせてしまうのです。
つまり、焦った人間の書いた手紙は『読んでもらうこと』が目的ではなく、『書き終えること』が目的になってしまうのです。
手紙とは書き終えて終わりでしょうか?違うはずです。手紙を書いたその先には必ず読み手が存在します。
誤字脱字以前に書き終えることが目的になった手紙には、読み手が存在しないのです。
読み手が存在しない手紙では、隆景が本当に伝えたい状況が、正確に伝わらない。
隆景は、読み手に正確な内容を伝える為、手紙が持つ本来の目的を理解して書くことを説いているのです。
~目的を忘れないこと~
このエピソードが示す真意。
一見すると当たり前の事に思えます。
しかし、人間は本来の目的を忘れ、目先の苦難をやり遂げることが目的になっていることが多くあります。
例えば、朝礼などのスピーチ。
スピーチの目的は、話す内容を聞き手に聞いてもらう事です。
みんなに聞こえないような小さい声になっていないだろうか?喋る事だけが目的になっていないだろうか?
このように本来の目的を常に点検することは、とても大切です。
名将言行録に記された小早川隆景のエピソード。人生の参考にして頂ければ幸いです。
~名将言行録について~
冒頭でも少し触れましたが、今回は名将言行録というエピソード集を参考にしています。
この名将言行録ですが江戸時代の末期に成立しており、戦国武将の真実が書かれているかは少々怪しい部分があります。
なので僕は、名将言行録の真髄は戦国時代の史実を理解する書ではなく、人生の参考書だと思っています。
このような視点で名将言行録を読んでみると、沢山の武将が人生の偉大な先輩として、現代に生きる僕たちに人生のヒントを教えてくれるのです。
史実を追い求める事は歴史ロマンの真骨頂です。しかし、歴史の楽しみ方はそれだけではありません。
名将言行録は、歴史を楽しむ一つの方法、つまり人生の参考書として、戦国武将ファンに親しまれ続けています。
他にも、カッコイイ戦国武将は沢山います。あなた好みの男前を是非探してみてください。
では、今回はこの辺で!ありがとうございました。