ご来訪ありがとうございます。
拓麻呂です。
『春はあけぼの』で有名な清少納言の枕草子。
その始まりは、『春はあけぼの』から始まる、清少納言が感じた趣ある春の情景から筆を起こしています。
春は曙。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる
これが、枕草子の冒頭部分です。
この後に、清少納言は夏、秋・冬と趣ある情景を綴っていくのですが、その内容はどうなっているのでしょうか?
意外と知られていない『春はあけぼの』の秋の情景を見て行くことにしましょう。
『枕草子』秋の情景
秋は夕暮れ
清少納言が趣を感じた春の情景が『春はあけぼの』。
これは、『春の明け方は趣がある』という意味です。
では、秋はどうなっているのでしょうか。
枕草子の原文を見てみましょう。
秋は夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近こうなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた、言ふべきにあらず
清少納言は春の明け方に趣を感じましたが、秋は夕暮れに趣を感じました。
では、秋の夕暮れはどのように趣があるのでしょうか?
現代風にした内容を見てみましょう。
秋の夕暮れに趣がある。
遠くに見える山の稜線に日が沈みかけている。
夕日に染まった空を飛ぶのは、寝床に帰るカラスの姿、実に趣があります。
空を飛ぶ雁(かり)の群れが小さくなっていくのも、また趣がある。
日が沈み、風の音や虫の音が聞こえるのも良いね。
このように『秋の夕暮れ』に趣を感じています。
現代でも、秋の夕暮れには何となく切ない雰囲気を感じますよね。
夕日が沈みかけ、辺りがオレンジ色に染まる中、カラスの鳴き声が聞こえる風景。
車のエンジン音などの人工音が無かった平安時代は、現代よりも、もっと趣を感じられてのかもしれません。
これが清少納言の感じた秋の趣あるワンシーンなのでした。
清少納言の着眼点
以上が、枕草子の『秋』の情景です。
一般的に四季の情景を感じるのは、『春は桜』、『夏は海』、『秋は紅葉』、『冬は雪』・・・こんな感じではないでしょうか。
しかし清少納言は違いました。
『春は明け方』、『夏は夜』、『秋は夕暮れ』、『冬は寒い日』といったように、彼女独特の感性で四季の情景を切り取っています。
それぞれの季節が見せる一瞬の情景に四季の風情を見出す。
こういった独特の着眼点が、枕草子の面白さであり、清少納言の豊かな感受性なのかなと感じます。
春夏秋冬をまとめて確認したい方はコチラへお願いします。

春はコチラ。

夏はコチラ。

冬はコチラ

さらに、枕草子を掘り下げたい方は、コチラをご覧ください。

では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。