枕草子を書いた清少納言ってどんな顔だったと思いますか?何しろ千年前の女性ですから、写真も無ければ肖像画も残っていないし、ハッキリとは分かりません。
しかし、彼女が書いた『枕草子』の中に、自身の容姿や髪型、声に言及していると思われる部分があります。
清少納言は一体どんな顔をしていたのか?枕草子の記述を元に、可能な限り彼女の顔を復元してみたいと思います。
この記事の画像は、枕草子の記述を元に当ブログ運営者が想像で作成したものになります。
清少納言の容姿を確定するものではありません。
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清少納言はどんな顔だったのか?
清少納言の容姿に触れた言葉
枕草子にこんな記述があります。
まろは、目はたたざまにつき、眉は額ざまに生ひあがり、鼻は横ざまなりとも、ただ口つき愛敬づき、頤の下、頸清げに、声にくからざらむ人のみ思はしかるべき。
どういう意味かと言うと・・・
僕は、目は縦向きで、眉は額の方までつり上がり、鼻が横向きに付いていたとしても、口元が可愛らしくて、あごから首のラインが美しく、声が明るい女性には心惹かれます。
これは『藤原行成(ふじわらのゆきなり/こうぜい)』という男性貴族の言葉で、行成と清少納言が会話をしている時の一幕です。
枕草子によると、藤原行成は清少納言には親しく話しかけてくるのに、他の女性にはあまり話しかけたりしていなかったようです。
つまり藤原行成は、清少納言に対して好意を抱いていたのではないか?と捉えることができます。
そんな藤原行成が清少納言に対して言ったのが、
僕は、目は縦向きで、眉は額の方までつり上がり、鼻が横向きに付いていたとしても、口元が可愛らしくて、あごから首のラインが美しく、声が素敵な女性には心惹かれます。
です。
つまりこの場面は、藤原行成が清少納言を口説いている訳です。
なので、目、眉毛、鼻よりも、口元、あごのライン、声が素敵な女性が僕は好きです!と言って、清少納言の可愛い部分である口元やあごのラインを褒め、遠回しに好意を伝えている場面なのです。
このセリフを踏まえた上で、清少納言の顔を想像していきましょう。
清少納言の顔については音声でも配信中ですので、本文を読むのが面倒な方や、他のことをしながら聴き流したい方はぜひご活用ください。
清少納言はどんな顔?
清少納言の目元
この当時の美人とされる女性の目元は『引き目』と呼ばれるキレ長の細い目です。
ですが、上記の口説き文句を見る限り、藤原行成は清少納言の目元は褒めていません。
なので、清少納言の目元はキレ長ではなかった可能性があります。
逆に言えば、パッチリした垂れ目だったかもしれません。
清少納言の眉毛
この当時の美人とされる女性の眉は『引眉』と呼ばれる、いわゆる『まろ』です。
基本的には、もともとの眉毛は全部抜いてしまい、引眉を書いているのが普通です。
上記の口説き文句を見る限り、藤原行成は清少納言の眉毛は褒めていません。
なんですが、宮仕えしている清少納言が引眉でなかったというのは、ちょっと考えづらいです。
なので、基本的には引眉でしたが、もともとは結構キツめのつり上がった眉毛だったのかもしれません。
清少納言の鼻
この当時の美人とされる女性の鼻は『鉤鼻(かぎばな)』と言われる『筋が通っている』鼻です。
さらに言うと、小さめで鼻筋が通っているのが最も美しかったようです。
ですが、上記の口説き文句を見る限り、藤原行成は清少納言の鼻は褒めていません。
なので、清少納言の鼻は鉤鼻ではなかった可能性があります。
逆に言えば、鼻はあまり高くない、あるいは潰れ気味の『ぺちゃ鼻』だったかもしれません。
清少納言の口元
この当時の美人とされる女性の口は『おちょぼ口』です。
小さめの口の方が好まれたわけです。
そして、上記の口説き文句を見る限り、藤原行成は清少納言の口元を褒めています。
なので、清少納言の口は小さかった可能性があります。
清少納言の顔の形
この当時の美人とされる女性の顔の形は『ふっくらした丸顔』です。
あごのラインが細いのは美人ではなく、下膨れしたラインが美しいとされていました。
そして、上記の口説き文句を見る限り、藤原行成は清少納言のあごのラインを褒めています。
なので、清少納言はふっくらした丸顔だった可能性があります。
清少納言はアニメ声?
藤原行成の口説き文句を見る限り『声が素敵』と言っています。
平安時代にどんな声が好まれたかはさすがに分からないのですが、清少納言って若干落ち着きがないイメージがあるので、あまり低い声ではなかったような気がします。
完全に妄想ですが、遠くまで通る高音のアニメ声だったかもしれません。
清少納言の髪は癖毛?
最後に清少納言の髪型です。
枕草子には、清少納言が自身の髪の毛に言及している箇所がいくつかあります。
そこを読む限り、清少納言は癖毛だった可能性があります。
平安時代の女性は、長いストレートの黒髪が美しさの象徴でした。
ですが、当時の女性がみんな真っ直ぐな髪質だったわけではありません。
現在でも、いろいろな髪質の人がいるのと一緒ですね。
なので、黒いストレートヘアを再現するための『かもじ』と言う付け毛がありました。
現在で言うところのウィッグみたいなものです。
枕草子には、清少納言が髪の毛に自信が無いと愚痴っている場面があったり、『かもじ』を付けていたと思われる描写があったりします。
つまり、清少納言は癖毛であった可能性が高いです。
また、付けていた かもじ と地毛が『黒』と『赤』で、色味が若干違うことを嘆いていたりもします。
なので、清少納言は癖毛なうえに、黒髪ではなく少し茶髪だったのかもしれません。
清少納言の顔を3Dソフトで復元
それでは、清少納言の顔(すっぴん)を復元してみます。
これまでの考察をまとめると・・
- ふっくらした丸顔
- パッチリした垂れ目
- つり上がった眉毛
- 潰れ気味の鼻
- おちょぼ口
- 癖毛で茶髪
ということになります。
もし、清少納言が現代にいたら・・・
きっとこんな顔だったはずです。
免許証の写真みたいになってしまいましたが、いかがでしょうか?
美人かどうかは好みの問題ですが、こういう顔の人は現代でもいる気がします。
まとめと補足
以上、清少納言はどんな顔だったのか?でした。
ちょっと補足ですが、藤原行成が清少納言を口説いた段階で、彼女の顔を見たことがあるのかは微妙だったりします。
と言うのも、当時の宮廷女性は、男性に顔を見られることを恥としていたからです。
扇で顔を隠している宮廷女性の姿を、マンガや映像などで見たことがあるかと思います。
とは言え、当時の男性貴族は女性の顔を見るために覗き見していたりしますし、女房という職業柄、どうしても男性貴族に顔を見られてしまうことはあったと思われます。
また、扇で隠していたとしても一部は見えていたりと、意中の女性の顔を多少は認識していた可能性もあります。
枕草子には、藤原行成が清少納言の顔を見たがっているエピソードも書かれており、結局は顔を見られてしまいます。
そして、清少納言の顔を見た藤原行成は、彼女の元に頻繁に通ってくるようになったそうです。
なので、清少納言の容姿は、藤原行成の好みでだったのではないでしょうか。
そう考えると、枕草子に書かれている清少納言の容姿は、あながち間違っていないのでは?と思っています。
最後にもう一枚、オマケの正装+化粧バージョンです。
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この他にも、日本の歴史上の女性を、当時の記録などを元にして復元しています。