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『清少納言に恋した男』拓麻呂でございます。
世界最古の女流随筆集『枕草子』。作者はご存知、清少納言。
このエッセイの中には、現代人が共感できる面白い内容がたくさん記されておりますが、今回はその中でも特に共感を呼ぶと思われる記事をご紹介します。
それは『怠けがちになるもの』・・・現代人にも響く耳の痛い内容です。
それでは、清少納言はどのようなことを怠けていたのかをお伝えします。
怠けてしまった清少納言
平安時代の怠けがちになるものとは??
清少納言が語る『怠けがちになるもの』それは・・・
『当日まで十分に余裕のある準備』。
これは、もう説明不要でしょうってくらい、現代でも頷けることではないでしょうか。
例えば夏休みの宿題。最初からコツコツとやっときゃいいのに、8月31日が近くなって、ヒイヒイ言っていた小学生時代が思い出されます・・・
仕事なんかでもそうですが、期日まで余裕があるとついつい明日でいっか、などと余裕をこいていたら、気づけば期日まで日にちがない・・・。
誰でも一度は、このような経験があるのではないでしょうか?
清少納言は何を怠けていたのか
では、清少納言は何を怠けていたのでしょうか?
残念ながら、枕草子には『当日まで十分に余裕のある準備』とあるだけで、詳細な内容は書き記されていません。
ここからは想像ですが、清少納言は中宮定子(ていし)に仕えていたことから、女房としての経験の中にヒントがあると思われます。 なお、女房とは皇后や中宮にお仕えする女性たちの総称です。
女房のお仕事は『後宮十二司』という、役割分担みたいなものから何となく想像できます。基本的には食事、掃除、裁縫などの日常的な家事全般、さらには定子様の話し相手をすることが、女房たちの主な仕事だったようです。
そして、宮中には定期的に催される『宮中行事』が存在します。つまり、年に一回開催される大イベント。運動会や学園祭などの宮中バージョンと思っていただければ問題ないでしょう。
枕草子には、この宮中行事に関する記事も多く書かれており、『白馬節会(あおうまのせちえ)』、『春の除目(はるのじもく)』といったイベントに女房たちが強い関心を示していたことが読み取れます。
この宮中行事全てに女房たちが関わっていた訳でないですが、少なくとも『二宮大饗(にぐうのだいきょう)』といった中宮定子様が関わる行事には、女房たちも無関係ではいられなかったはずです。
このように毎年行われる宮中行事、その中でも定子様が関わる行事の準備でついつい怠けてしまい、後で焦っている清少納言の姿があったのではないでしょうか。
※一応簡単に補足。『白馬節会』は白馬をみて邪気払いする行事。『春の除目』は新年度の辞令式、『二宮大饗』は1月2日に催される中宮や皇太后が参加する盛大な宴のこと。
計画的に行動しましょう
このように、今からおよそ千年前の平安時代から、時間に余裕がありすぎると、ついつい怠けてしまう事があったようです。想像すると、焦る清少納言の姿が頭に浮かびます。
千年前から人間はついつい怠けてしまい、後で後悔していたんです。やっぱり行動は早めに、そして計画的に実行して方が良いみたいですね・・・。耳が痛い・・・
※参考:枕草子 二六段『たゆまるるもの』より
他の怠けがちになるもの
ちなみに清少納言はこの他にも、怠けがちになるものとして『精進の日のお勤め』と『長期の寺の参籠』という項目を挙げています。これらのことが書かれているのが、枕草子 二六段『たゆまるるもの』です。
こちらの記事では『たゆまるるもの』全文を解説しています。
それにしても『当日まで十分に余裕のある準備』のインパクトが強すぎですね。
もっと枕草子の世界を覗いてみたい方は、こちらからお好みの記事をご覧ください。
では、今回はこのへんで!ありがとうございました。