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拓麻呂です。
時は幕末。
薩摩の英雄 西郷さんと同じ志を持ち、新しい日本を夢見て鹿児島県の錦江湾に散った一人の僧侶がいました。
その僧侶の名は『月照(げっしょう)』
京都 清水寺の住職にして、尊王攘夷を掲げ、西郷さんと共に幕末を駆け抜けた『月照』
彼は一体どのような人物だったのでしょうか?
また、西郷さんとはどのような関係だったのでしょうか?
今回は、そんな『月照』をサクッと簡単に把握してみることにしましょう。
月照と西郷さん
月照とは?
では、まず月照とはどんな人物だったのか簡単に把握しておきましょう。
月照は1813年に讃岐国(現在の香川県)で生まれます。
彼は医者の子として生まれ、幼少期を過ごします。
やがて叔父の伝手で、有名な京都 清水寺の住職となります。
月照このとき若干22、3歳。
若くして清水寺(成就院)の僧侶として活躍し始めます。
が・・・
そのまま一僧侶として仏の道に精進していたら、月照は歴史の表舞台に登場出来なかったかもしれません。
月照が生きた時代は激動の幕末です。
欧米列強の脅威が日本に迫ってきた時代です。
そんな時代に生きた月照は、強烈な尊王攘夷思想を持ち始めます。
↓尊王攘夷の記事はコチラ↓

尊王攘夷思想を掲げた月照は、思想を同じくする幕末の志士たちと密に関わって行くようになります。
吉田松陰・・・
梅田雲浜・・・
この時、薩摩藩主『島津斉彬(しまづ なりあきら)』の右腕として、京都で活動していた西郷さんと知り合う事になります。
当時の幕府の動き
当時の幕府は13代将軍 家定の後継者を巡って派閥が二つに割れていました。
なお家定は、有名な篤姫が嫁いだ将軍です。
一方は『徳川慶福』を担ぐ南紀派。
一方は『徳川慶喜』を担ぐ一橋派。
この時、月照が支持したのは『一橋派』でした。
しかし、この選択が月照の運命を大きく揺るがす事となります。
大老『井伊直弼』
当時、幕府で絶大な権力を誇示していた井伊直弼は『南紀派』。
当然ながら月照とは相反する派閥となります。
この時、一橋派を支持する者や尊王攘夷思想を掲げる者を弾圧した事件。
これが有名な『安政の大獄』です。

一橋派に属し、尊王攘夷思想を持っていた月照は、弾圧の対象となりました。
次々に捕縛され刑に処される志士たち。
吉田松陰、橋本左内、梅田雲浜、頼三樹三郎・・・。
このままでは月照の身も危ない・・・。
そう感じた西郷さんは、月照を伴い京都を脱出します。
安政の大獄から逃れる為、西郷さんは故郷の薩摩に月照を匿いました。
そんな中・・・
西郷さんが敬愛していた薩摩藩主『島津斉彬』が突然この世を去ります。
斉彬を失った西郷さんの悲しみは深く、殉死さえ考えていました。
しかし、斉彬の後を追おうとする西郷さんを月照が諭します。
『今こそ斉彬公の意思を継ぎ、志を遂げる時ではないのか!』
月照に諭された西郷さんは、殉死を思い留まったと言われています。
絶望し入水を図る月照と西郷さん
しかし、ことはそう簡単には運びませんでした。
薩摩藩では月照のようなお尋ね者の保護を拒み、お隣の日向国(現在の宮崎県)に追い出し、切り捨てる構えを見せていました。
そんな中でも、安政の大獄は容赦なく進んでいきます。
『もはや逃げられない・・・』
そう悟った月照と西郷さんは、鹿児島県の錦江湾に身を投げました。
尊王攘夷という志を同じくした月照と西郷さんは、最後の抵抗として自ら命を絶つことを選んだのです。
固く抱き合い、錦江湾に身を投げた月照と西郷さん。
しかし・・・・
海に飛び込んだ二人は間一髪で救助されます。
昏睡状態の西郷さんでしたが、数日後に目を覚ましました。
九死に一生を得た西郷さん。
ところが・・・
月照はこの入水で帰らぬ人となりました。
享年46
僧侶の身でありながら、新しい日本を夢見て幕末を駆け抜けた月照の志は、冷たい薩摩の海で潰えたのです。
立場を度外視した男たちのプライド
一人生き残ってしまった西郷さん。
彼の無念と悲しみは相当なものだったことは、想像に難くありません。
僧侶という立場でありながら、尊王攘夷を掲げ、自らの志の為に奔走した月照。
その壮大な志は、彼の辞世の句に全て凝縮されています。
大君の ためにはなにか 惜しからむ
薩摩の瀬戸に 身は沈むとも
西郷さんは日本人が最もすきな日本人と言われています。
当時も今も、西郷さんはとんでもない人気者。
男も女も惚れるのが西郷さんの魅力です。
しかし、そんな西郷さんが、その身を保護するため一緒に薩摩に逃れ、そしてともに身を投げた男。
それが月照です。
今も昔も、男も女も惚れる西郷さんが惚れた男『月照』
月照に関する逸話は決して多くはありません。
しかし、西郷さんが運命を共にするほどの心意気をを持っていた月照。
そんな月照の志。
きっと月照も西郷さんと同じように、男も女も惚れる壮大なスケールを持った人物だたんじゃないのかな?
僕は月照という僧侶に、そんな印象を持っています。
↓明治維新のまとめ記事はコチラ↓

では、今回はこの辺で!
ありがとうございました。