『春はあけぼの』で有名な清少納言の枕草子。
春は曙。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる
とても有名な枕草子の冒頭部分ですね。
この後に、清少納言は夏、秋・冬と趣ある情景を綴っていくのですが、その内容はどうなっているのでしょうか?
この記事では、意外と知られていない『春はあけぼの』の『冬』の情景を見て行くことにしましょう。
冬はつとめて
清少納言が趣を感じた春の情景が『春はあけぼの』。
これは、『春の明け方は趣がある』という意味です。
では、冬はどうなっているのでしょうか。
枕草子の原文を見てみましょう。
冬はつとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃火桶の火も白き灰がちになりて、わろし
清少納言は春の明け方に趣を感じましたが、冬は雪の降る早朝に趣を感じました。
では、冬の早朝はどのように趣があるのでしょうか?
現代語に意訳した内容を見てみましょう。

冬は早朝が趣がある。
雪の降る日はもちろん風情がある。
白い霜が降りている日ももちろんのこと。
とっても寒い日の朝。
火を起こすため、大急ぎで炭を運んでいる光景も趣がある。
でも、昼間になって燃え尽きた白い炭がほったらかしになっているのは、ちょっといただけない。
このように『雪の降る早朝』に趣を感じています。
現代でも、降り積もる雪には幻想的な雰囲気を感じたりしますね。
ただし、ただの早朝ではなく、正確には『慌ただしい冬の早朝』の趣を感じています。
寒くて仕方がないので、火を起こして暖をとろうとバタバタと炭を持ってくる様子が冬ならではで良い、ということを言っています。
そして、昼間になり気温が上がってくると、暖をとっていた火桶は放置され真っ白になった炭だけが残されている風景。
これを『わろし』といっています。
『わろし』は『悪ろし』で、『感心できない』とか『よろしくない』というような意味。
清少納言は、放置された火桶に、どことなく物悲しさを感じたのかもしれませんね。
それと、ここまで『春はあけぼの』、『夏は夜』、『秋は夕暮れ』と純粋な自然の情景に趣を感じていたのですが、冬だけは人々の営みに目を向けています。
こういった部分も冬の情景の面白さです。
清少納言の着眼点
以上が、枕草子の『冬』の情景です。
一般的に四季の情景を感じるのは、『春は桜』、『夏は海』、『秋は紅葉』、『冬は雪』・・・こんな感じではないでしょうか。
しかし清少納言は違いました。
『春は明け方』、『夏は夜』、『秋は夕暮れ』、『冬は寒い朝の慌ただしい様子』といったように、彼女独特の感性で四季の情景を切り取っています。
それぞれの季節が見せる一瞬の情景に四季の風情を見出す。
こういった独特の着眼点が、枕草子の面白さであり、清少納言の豊かな感受性なのかなと感じます。
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