赤染衛門 ~良妻賢母で大人の女性!紫式部日記に見る女流歌人の人物像

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人物のエピソード

赤染衛門。

平安時代中期を代表する女性の一人です。

 

同時代の有名な人物としては清少納言紫式部和泉式部といったあたりですが、今回取り上げる『赤染衛門(あかぞめえもん)』も彼女らに匹敵する才女として知られ、歌人としての評価も高く、その和歌は百人一首にも選ばれています。

 

なんですが、赤染衛門は他の上記3名に比べ、知名度でもやや劣り少々インパクトに欠ける感じがします。

そんな赤染衛門とは、一体どのような人物だったのか?そして、清少納言、紫式部、和泉式部と同じく百人一首に選ばれた歌人でありながら、なぜあまり知られていないのか?

などなど、赤染衛門の人物像に迫ってみたいと思います。

 

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紫式部が見た赤染衛門の人物像

赤染衛門(出典:Wikipedia)

赤染衛門がどのような人物だったのかを知る上で、大きな手掛かりとなるのが『紫式部日記』です。紫式部日記とはその名の通り、紫式部が書いた日記です。

 

紫式部はこの日記の中で、赤染衛門の人物像や和歌の才能について触れているのです。その内容を意訳すると以下のようになります。

 

紫式部
紫式部

赤染衛門さんのことを、みんなが『匡衡衛門(まさひらえもん)』なんてあだ名を付けて呼んでいます。

赤染衛門さんの和歌は格調高くて、下手に歌を詠み散らしたりしません。 ちょっとした時に詠んだ歌こそ、本当に素晴らしい詠みっぷりでなんですよ。

 

赤染衛門の性格や人柄

紫式部日記の記述でまず注目したいのが、赤染衛門の呼ばれ方です。

周囲からは『匡衡衛門(まさひらえもん)』なるあだ名を付けられていたいました。

 

このあだ名は、一体どのような意味なのでしょうか?

 

あだ名の一部『匡衡』とは、赤染衛門の夫である『大江匡衡(おおえのまさひら)』を指しています。

赤染衛門と大江匡衡はおしどり夫婦と伝わおり、その夫婦仲は当時の宮廷でも有名だったと思われます。

 

紫式部日記の主君にあたる彰子藤原道長の周辺でも『匡衡衛門』というあだ名で呼んでいたらしく、宮廷内ではかなり知られた呼び名だったのでしょう。

もしかしたら、彰子や藤原道長も『匡衡衛門』と呼んでいたのかもしれません。

 

また、阿加添衛門は夫 匡衡の出世を強く願い、宮廷内で藤原道長らの権力者に猛アピールしていたとも伝わっています。

また、息子の出世にも一役買っていたりと、良き妻であり母でもあったようです。

 

このようなエピソードから分かる赤染衛門は正しく良妻賢母と言えるのではないでしょうか。

 

赤染衛門の和歌の実力

続いては赤染衛門の和歌について見て行きましょう。紫式部は赤染衛門の歌風をこのように評しています。

紫式部
紫式部

赤染衛門さんの和歌は格調高くて、下手に歌を詠み散らしたりしません。

つまり、赤染衛門の和歌は品があったのでしょう。

 

紫式部は日記の中で、同じく才女の誉れ高き『和泉式部』の和歌についても触れているのですが、和泉に関しては、ざっくり言うと、

紫式部
紫式部

素敵な恋の和歌を詠む人

と評価しています。

 

実際、和泉式部は恋多き女性として有名で、その和歌も激情的な恋の歌が多いのが特徴です。

 

まとめると、

・品があり落ち着いた歌風の赤染衛門。
・恋に生き情熱的な歌風の和泉式部。

と、紫式部は評していて、赤染衛門と和泉式部と対局の存在として評価しています。

 

良妻賢母として知られる赤染衛門なので、歌風が落ち着いていて上品なのも頷けますね。

 

清少納言、紫式部、和泉式部との比較

最後に赤染衛門と同時代を生きた代表的な女性たち、清少納言、紫式部、和泉式部と赤染衛門を比べてみましょう。

 

幸いにもそれぞれが残した文学作品があるので、そこから感じるイメージは以下のようになります。

清少納言
【代表作】枕草子、和歌
【性格】なんか楽しそう、わりと強気、陽キャ
紫式部
【代表作】
源氏物語、紫式部日記、和歌
【性格】冷静、わりとネガティブ、陰キャ
和泉式部
【代表作】たくさんの和歌。和泉式部日記 (彼女の作ではないとする説もあり)
【性格】情熱的、浮気っぽい、恋多き人

 

そして、赤染衛門は・・・

赤染衛門
【代表作】
栄花物語?、和歌
【性格】良妻賢母、品がある、高貴、落ち着いている

といた感じでしょうか。

 

赤染衛門が残したとされる文学作品は『栄花物語』ですが、枕草子や源氏物語、和泉式部日記と比べると知名度ではやや劣るのかなという印象です。(栄花物語は赤染衛門の作といった説があるだけで、実際にはよくわかっていません)

 

赤染衛門もとても魅力的な人物ですが、おてんば過ぎる清少納言マイナス思考過ぎる紫式部恋愛が情熱的すぎる和泉式部、と他3名の個性が強烈過ぎるので、相対的に赤染衛門の印象が薄くなっているような気もしますね。

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一番まともな赤染衛門

以上、赤染衛門の人物像でした。

  • 赤染衛門は良妻賢母だった
  • 和歌の作風は上品で落ち着いている
  • 赤染衛門の印象が薄いと言うより、清少納言、紫式部、和泉式部の個性が強烈過ぎる

 

多くの女房とも交流があったとされているので、ある意味、赤染衛門が一番まともな常識人だったような感じがしなくもないですね。

 

赤染衛門と、清少納言、紫式部、和泉式部らそれぞれとの関係についても記事にしありますので詳細はコチラをご覧ください。

赤染衛門は紫式部、清少納言、和泉式部とどんな関係だったのか?
平安時代の中期に活躍し、百人一首歌人としても知られる赤染衛門。清少納言、紫式部、和泉式部といった有名女房とも同時代の人物です。あまり知られていないのですが、赤染衛門と彼女たち三人と意外な関りがあったのです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

平安時代の女性たちによる王朝文学、そして個性豊かな女性たち、そんな平安時代の文学作品や女性たちに関してたくさん執筆していますので、コチラからぜひご覧になってみてください。

平安時代の女性たちと王朝文学
紫式部、清少納言、和泉式部、赤染衛門、伊勢大輔・・・歴史の表舞台に数多くの才女が登場した平安時代中期。ここでは、日本が世界に誇る女性たち、そして、枕草子や源氏物語などなど、彼女たちが残した素晴らしい文学作品などをご紹介しています。

 

【参考にした主な書籍】