紫式部と源氏物語。
日本の歴史上で最も有名な女性、そして最も有名な文学作品と言っても決して過言ではないでしょう。
ですが、「源氏物語の作者が紫式部である」という事実以外、紫式部と源氏物語に関する情報はあまり知られていません。
そこでこの記事では、紫式部を身近に感じ、より源氏物語を楽しく読むための、紫式部&源氏物語に関する初心者さん向けの豆知識を8つに絞ってご紹介します。
ご紹介する内容はこんな感じです。
②かなりの晩婚!結婚した年齢は?
③凄まじい人見知りだった
④卓越した教養の持ち主だった
⑤驚異的な数字だらけの源氏物語
⑥世界最古の記録を持っていた!
⑦夫のアレが執筆理由
⑧世界で愛されている源氏物語
紫式部の豆知識
まずは紫式部自身に関する豆知識を4つご紹介します。
①当初は紫式部と呼ばれていなかった!?
今では「紫式部」という名称で知られている彼女ですが、紫式部と呼ばれる前は「藤式部」という名だったことが知られています。
良く知られている「紫式部」と言う名は女房名と言われるもので、簡単に言ってしまえば宮廷で働く女性の通称のようなものです。
この女房名が、もともとは「藤式部」だったというわけですね。
ちなみに、藤式部の「藤」は彼女の本名に関係しています。
紫式部の本名はなんだったのか?あるいは藤式部が紫式部に変わった理由などは、コチラの記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
②かなりの晩婚!結婚した年齢は?
紫式部は当時としては晩婚だったことでも知られ、だいたい29歳頃に藤原宣孝という男性と結婚しています。
現在の感覚からすると、29歳での結婚は決して遅くはないように感じますが、当時としてはかなり遅い方でした。
同時代の女性である清少納言が30代の頃に書いた枕草子の中で、自身のことを年増扱いしていることからもわかるように、当時の30歳前後は決して若いとは言えない年齢だったのです。
現在の40代~50代が、当時の30代くらいの感覚だったのではないでしょうか。
このように、当時としてはかなり晩婚だった紫式部も含め、同時代の有名人の初婚年齢一覧、そして現代とは全然違う平安時代の結婚事情もコチラで記事にしていますので、ぜひご覧になってみてください。
③いわゆる陰キャだった
紫式部は、あまり社交的な性格ではなかったことでも知られています。
紫式部は源氏物語の他にも「紫式部日記」という作品も残しているのですが、その日記から彼女の性格がなんとなくわかるのです。
また、宮廷出仕を始めたものの、人付き合いが原因で約5カ月間にわたり自宅に引きこもるという事態に陥ったことでも知られてます。
そんな紫式部の性格が分かるエピソード、そして紫式部が宮廷に復帰したとある秘策についてもご紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
④卓越した教養の持ち主だった
紫式部は優れた教養の持ち主だったことでも知られています。
紫式部や清少納言といった宮廷出仕していた女性(女房)には、主君に対する家庭教師のような役割も含まれていたため、優れた教養はもともと必須事項でした。
そんな女房達の中でも紫式部は特に抜きんでた教養を持っていたようで、漢字もたくさん知っていたことから「日本紀の御局」(※)などというニックネームも賜っています。
(※これほど漢字に詳しいということは、きっと日本書紀に精通しているのだろうという噂から付いたニックネーム)
紫式部は幼少期からその才能を発揮していたようで、父親の藤原為時から痛烈な言葉を浴びせられたりもしています。
源氏物語の豆知識
続いて、源氏物語に関する豆知識をご紹介していきます。
⑤驚異的な数字だらけの源氏物語
源氏物語というと、とにかく長いイメージがありますが、その通りです。
全54帖からなる源氏物語は、現代の一般的な400字詰めの原稿用紙2,400枚ものボリュームがあり、その文字数は1,000,000字にも及ぶと言われています。
参考までに筆者が所持している源氏物語は、文庫本で全10巻、1冊あたりのページ数はだいたい400~450ページくらいです。なので、文庫サイズで約4000~4500ページもの分量があるわけですね。
ちなみに、登場人物は約500人もいます。
⑥世界最古の記録を持っていた!?
源氏物語がとある世界最古の女流長編小説と言われています。
諸説あるのですが、女性が書いた長編小説としては源氏物語が世界最古であるため、紫式部自身も世界で最初に長編小説を書いた女性ということになります。
世界的に女流文学の隆盛が認められるのは19世紀以降と言われている中、この日本で約1000年前に源氏物語が生まれた事実は特筆に値するのではないでしょうか。
紫式部を含めた女性たちが大きな原動力となった文学作品の隆盛は、日本の歴史における大きな特徴であるように感じます。
⑦夫が源氏物語の執筆動機!?
紫式部が源氏物語を書いた理由は諸説ありますが、もともとの動機は夫が亡くなった悲しみを紛らわすためだったとも言われています。
執筆当初は個人的に書いていただけで、一部の身近な人にしか読ませていなかったようですが、やがて世間でも評判になってきて、その噂は宮廷にまで轟いていきました。
源氏物語執筆の動機自体は夫を亡くしたことでしたが、有名になった源氏物語は強力なスポンサーを得て完成し、各時代の人々に読み継がれ現在に至っています。
⑧世界で愛されている源氏物語
約1000年前の日本で誕生した源氏物語。21世紀となった現代では、様々な言語に翻訳され世界中で読み継がれています。
日本を飛び出し世界中で愛される源氏物語ですが、日本国内でも実際に読んでみた人はあまり多くないように感じています。
源氏物語が実際にどんな物語なのか、最初のお話を相関図付きで簡単に紹介した記事もありますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。
紫式部&源氏物語の豆知識まとめ
以上、紫式部&源氏物語の豆知識・うんちく8選でした。
①最初は紫式部ではなく「藤式部」と呼ばれていた
②当時としてはかなりの晩婚(29歳頃)だった
③人間関係が原因で5カ月間引きこもっていた
④スバ抜けた教養の持ち主だった
⑤400字詰めの原稿用紙2,400枚、文字数は1,000,000字
⑥世界最古の女流長編小説
⑦夫が亡くなった悲しみを紛らわすため執筆を始めた
⑧日本を飛び出し世界で愛されている
実際に源氏物語を読んでみたい方は是非チャレンジしてみてください。一人でも多くの方が源氏物語に触れて頂ければ幸いです。
【参考にした主な書籍】